秋も深まり、燈火親しむの頃となった。9月は6冊本を読んだが、10月に入り行事があったり、所用で出かけることも多く(遊びも含めて)腰を落ち着けて読書できなかった。それとフェイスブックを始めたので、そちらに気がいってしまっていたのかも知れない。フェイスブックは投稿するとコメントも入ってくるので、時機を逃さず返信するのも大変だ。フェイスブックはソーシャルユーティリティサイトと言われるが、登録すると関係のありそうな知人の名前がザーッと入ってきたが、どんな情報を基にしているのか不思議だ。中には退職する前年に在校していた教え子の名前もあった。早速友だちとして承認してもらったが、若い女性と情報交換するのも楽しいものだ。
10月27日から11月9日までの2週間は読書週間だ。読書週間のほぼ真ん中の11月1日は「古典の日」と今年から法律で定められた。1008年(寛弘5)のこの日、源氏物語をめぐる記述が「紫式部日記」に初めて出てくるようだ。これを機に先を越されてしまったが、2012年本屋大賞受賞作「船を編む」をいっきに読んだ。辞書作りに情熱をかける主人公が描かれていて結構面白かった。本を読んで辞書が完成するまでの、大変な労力と本文用紙も大きなウエイトを占めていることがよく分かった。ページ裏に印刷されている字が透けて見えない裏写しや、いかに薄く、軽くするかがポイントであり、それに加えて指の腹で1枚1枚めくる「ぬめり感」も大事なのだそうだ。裏写しやぬめり感という言葉も初めて知った。普段何となく使っている辞典を書棚から取り出し、検めてめくってみて、なるほどと思った。日本語大辞典は2302ページもあった。本を読んで分からない言葉は、できるだけ辞書で調べるようにしている。朝日新聞の日曜版に語彙・読解力検定欄があって、毎週チャレンジしている。今週の問題は「禍々しい」であった。正しい使い方を間違っていたりして、日本語は奥が深い。
「船を編む」は映画化も決定していて、来年4月に全国ロードショウだそうだ。2010年本屋大賞受賞作の「天地明察」も映画化されて、いま上映中だ。どちらも宮崎あおいが出演して、一番売れっ子の女優さんのようだ。「天地明察」は大分前に読んでいて、もう内容は忘れかけているが、日本独自の暦作りに邁進した男の物語で、「船を編む」の主人公と一脈通じるものがあるようだ。