西本智実指揮イギリスの名門オーケストラであるロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会が神戸国際会館こくさいホールであり、昨日の午後演奏会に神戸に行く。西本智実は人気上昇中の若手女性指揮者でスタイルも抜群である。しかも関西出身でその人気は相当なものである。3年前にも大阪フェスティバルホールでロシア交響楽団を指揮しチャイコフスキー:未完成交響曲「ジーズニ」やチャイコフスキー:交響曲第5番を演奏して好評をはくした。その時もダイナミックな指揮ぶりに大いに感銘を受けたものである。今回は演奏曲目がベートーヴェンの交響曲の中でも一番好きな、明快でビートのきいた「交響曲第7番」であったので尚更であった。第4楽章の狂喜乱舞状態の現出になると、自然に体が動きだしリズムをとりたい衝動にかられそうな程、演奏に酔いしれた。終わってもその余韻がまだ残っていた。他の人も同様に感動を受けたようで、楽団員が退席し、観客も席を立ち始めても拍手はなりやまず、コンサートマスターと共に再びステージに現れ拍手に応えていた。今月は、他にズービン・メータ指揮のウィーン・フィル、10月にはアラン・ギルバート指揮のニューヨーク・フィル等の大物が来日し、芸術の秋に相応しくクラシック業界も大賑わいである。ウィーン・フィルは昨年も来日しその時の指揮者はリカルド・ムーティであった。彼は実力、人気とも兼ね備えた世界的な指揮者で、何時かの演奏会ではCDが早々と売れ切れてしまっていた。
先週は彼岸があり、突発的な用事もでき結構忙しい日々が続き、心労も重なり精神的にもかなり疲れていたので、よい命の洗濯になったようだ。昨夜は久し振りに朝まで熟睡であった。病気にも音楽療法と言うのがあるようだが、音楽の効能は大である。
そもそもクラッシックが好きになったきっかけは、学生時代に友達に誘われて、イスラエル・フィルが来日し、その時初めてクラシックの演奏会に行ってからである。その日は1960年12月8日で鮮明に憶えている。あれからはや半世紀近くにもなる懐かしい青春のひとコマである。演奏曲目はベートーヴェンの「交響曲5番・運命」であった。音楽とはこんなにも素晴らしいものか、その時は鳥肌が立った。それ以来クラシックの虜になってしまった。余程印象が強かったと見え、いまだに大事にその時のチケットをしまっている。朝日新聞の音楽評欄には「弱奏の美しさに驚く、試練に絶えた魂の叫び」「すばらしい弦楽器」と絶賛している。たまたま退職の年、2000年3月4日にズービン・メータの指揮によるイスラエル・フィルの演奏会が大阪シンフォニーホールであり、弦楽器の奏でる美しさに感動し、退職記念の思い出として心に残っている。
それ以後もクラシックの中でも主にオーケストラの演奏会にはよく行ったものだ。ウィーン・フィル、ベルリン・フィルはじめ、ロンドン・フィル、サンクトペテルブルグ・フィル、ライプチヒゲバントハウス・フィル、アムステルダム・フィル、ミュンヘン・フィル、チェコ・フィル、ニューヨーク・フィル、フィラデルフィア・フィル、モントリオール・フィル等世界の主だったオケには大体行っているようだ。
イスラエル・フィルは來春にも来日の予定のようで是非行きたいと思っているが、同じ頃にミュンヘン・フィルの演奏会もあり、演奏曲目がベートーヴェンの「交響曲5番・運命」のようで、どちらにしようか迷っちゃうな。いずれにしても楽しみなことである。