JF4CADの運用日誌2.5

アマチュア無線局JF4CADの活動内容紹介ブログです。

24泊25日という小笠原の過酷さ

2016-02-12 | シャック便り
一部ネットニュースで流れていますが、「24泊25日」問題について取り上げたいと思います。

移動運用先としても人気の高い小笠原には都立小笠原高校があります。普通科もあって当然大学進学を考えている学生さんがおり、進学のためにはセンター試験を受けなければなりません。ところが小笠原はセンター試験の会場に指定されておらず本土である都内での受験となります。

ところが・・・なのです。ちょうどセンター試験のあたりは小笠原への唯一の渡航手段である「おがさわら丸」のドック入りと重なるのです。試験を受けるには慣れない本土に来て24泊25日を過ごさないと試験が受けられませんし、小笠原にも帰ることができません。これが「24泊25日」なのだそうです。ちなみに今年は1/16父島発・翌17に竹芝着がドック入り前最後の航海で、次に竹芝を出るのは2/2でした。1/16に父島を出ても当日の試験には間に合いませんから、1/10の便に乗らなければなりません。1/10~2/3まで島に戻れないのです。


ということで小笠原村のある村議が解決を求めて立ち上がっているのですが、これが壁にぶち当たり続けているそうです。考えられそうな解決策とその問題をまとめますと以下の通りです。

(1)小笠原を試験会場にする
小笠原でセンター試験を受けることができれば高校生たちにはベストです。ところが「協力してくれる大学」「問題と解答用紙をあらかじめ現地に送ること」「解答用紙を指定期日までの本土に送り返すこと」の3つが必要なのだとか。もっとも困難なのが解答用紙の返送なのだそうです。なにせ郵便輸送にも使われるおがさわら丸はドックに入り就航できません。ドック入り中の郵便物は「第二十八共勝丸」という東京-小笠原間の貨物船に乗せられるのですが、おがさわら丸より遙かに小型の貨物船でして、海の荒れる冬場には八丈島などに避泊することもあり、いつ目的地に到着するか分からないそうです。ということで厳しいそうです。

(2)第二十八共勝丸に乗せてもらう
ならば貨物船の第二十八共勝丸に学生さんを乗せて運べばいいのでは?となります。実は第二十八共勝丸には9名ほどの乗客を乗せることのできる客室があり、かつては東京-小笠原間でお客を乗せていました。食事付きでおがさわら丸より安いために口コミやネットで広まるとマナーの悪い乗客が乗るようになり、清水(真水)を出しっぱなしにして危うく清水タンクが底をつきかけた事件があり、会社が「もう乗せない」と旅客の乗船を断るようになりました。またいつ目的地に着けるか分からないこともありこちらも厳しいです。

(3)他の船を借りる
ドック入りの間に代船を借りるという方法です。実はかつて小笠原海運の親会社である東海汽船から貨客船を借りて代船としていた時代がありました。先年引退した「かめりあ丸」も小笠原に行ったことがあるそうです。また現在の橘丸・さるびあ丸ともに航海資格が近海なので小笠原までの航海は(法令上)可能です。ところが黒潮の流れが強く十分な速力が出ないこともあり、かめりあ丸では東京-小笠原間で2泊を要したと言われています。加えて東海汽船は大型客船を2隻に絞り込んでおり、かつてのように代船を送ることができなくなりました。1隻は三八航路に入りますし、残る1隻も冬場はジェット船の就航率が落ちるため片航路に入りますからお手上げです。

他社で航海資格が近海となっている船は非常に少なく、代船を探すことも厳しいのが現状です。

(4)現在のおがさわら丸を代船に確保する
おがさわら丸は今年夏より新しい船に交替します。ならば今のおがさわら丸を予備船として置けないのか・・・となりますが維持費だけでも年間億単位でかかります。誰がこの費用を出すのか、古い船なのでいつまで稼働できるのか、という問題が立ちはだかります。

(5)自衛隊の飛行艇を借りる
小笠原で急病人が出た場合は自衛隊に依頼し飛行艇を出してもらっています(それでも時間がかかり手遅れになることもあるそうです)。急病の場合は人道的見地から飛行艇を出してくれるでしょうが、受験生の輸送となると難しいようです。


このように有効な解決策がないそうです。受験生の苦しみを何とか解決してあげて欲しいですね。

ちなみに同じく南の島である沖縄の石垣島ですと沖縄県立八重山高校がセンター試験の会場に指定されており、石垣島で受験できるとのこと。解答用紙は石垣空港から空輸されるそうです。



話をハムに戻しますが、この「おがさわら丸」のドック入り期間中に開催されるコンテストでは小笠原のマルチが取ることは絶望的ではないでしょうか?JD1YAAという手もあるでしょうけど、あの局はコンテストには出てくれないでしょうね。各主催者さんはご理解いただけているのかなぁと思います。
コメント
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