八重山地方の魅力は様々な表情を見せる島々があることです。これらの島へと向かう高速船業者についてご紹介したいと思います。
[航路は?]
石垣島の離島ターミナルをハブにして各島へ航路が放射状に伸びています。ごく一部に限られますが離島間を結ぶ離島間航路も存在します。
[運航している会社は?]
以下の会社があります。カッコ内は略称です。個人客向けのツアーも催行していますので詳細は各社のサイトで確認してみて下さい。
・安栄観光(安栄)
老舗の業者で、この3社の中では唯一波照間島への定期路線を持つことが特徴。
・八重山観光フェリー(八重観・YKF)
石垣島の観光業者である平田観光の船舶部門が母体となり発足。かつてはホバークラフトを就航させるなど高速化に熱心です。現在は比較的大型の高速船も持っています。
・石垣島ドリーム観光(IDT)
地元業者の出資により新規に参入した業者です。客室に空気清浄機を置いて船に酔いにくいことをアピールしています。土日の朝はカウンター付近でマスコットキャラの「ドリカンくん」が出迎えています。
以下2社についてはここでのご紹介にとどめ、以降は省略します。
・波照間海運
波照間島航路の海運会社で、フェリーと高速旅客船を持っています。安栄観光の波照間航路が定期航路に昇格した関係で波照間海運への補助金が打ち切られ2011年から休業中です。貨物が滞留したときにフェリーが臨時運航することがありましたが、現在はそれも行っていないようです。
・福山海運
与那国島行きの海運会社で、フェリーのみの運航です。与那国島の発着港は久部良ですが、まれに祖納港になりますのでご注意下さい。船内は清掃が行き届いていないとのレポートがあり、清潔さを求めるなら飛行機の方がいいでしょう。
[共同運航]
八重山地区の業者が3社になったものの期待していたほど観光客が伸びないことから過当競争になっています。このため安栄観光と八重山観光フェリーは乗船券の共通化を行っており両社どちらの乗船券でも乗船できます。お互いのダイヤも整理されより使いやすくなりました。
かつて安栄と八重観は同じ行き先の船を同時刻に出し、相手より1秒でも先に目的地に着かせるべく激しい戦いを繰り広げてきただけに驚きです。
[使用している船は?]
大きく分けて高速旅客船と車両も運べる小型フェリーに分かれます。
高速船は軽量船体に大出力のエンジンを積み、各社とも30ノット、速いものですと40ノットを出すことができます。各社とも20t前後の小型高速船と80t前後の大型高速船の2種類を揃えており、例えば八重山観光フェリーでは「サザンキング」「サザンクイーン」「ちゅらさん」あたりが小型、「ちゅらさん2」あたりが大型です(他社はWebサイトで確認下さい)。使用される船の名前は離島ターミナルの電光掲示板に掲示されています。
フェリーはいずれも自動車を数台くらいしか運べない小型船です。各社とも曜日によってルートが異なるようです。速度は各社で異なりますが石垣島ドリーム観光のフェリー(25ノット)のように高速船並みに速い船もあり、検討に値すると思います。乗客も乗せてくれますから時間が合えば利用してもいいでしょう。
高速船でも手で運べる程度の荷物(20kgくらいまで)なら無料で運べます。ただし発発や燃料などは事前相談が必要です(断られる可能性もあります)。
[離島間航路]
石垣と離島の航路ではなく、離島と離島とを直接結んでいる航路です。例えばこのような航路があります。
・西表大原-竹富間
・小浜-竹富間
・西表大原-波照間間
・鳩間-西表上原間
これらの航路は石垣便に比べて本数は少ないものの、上手く使うと早く移動でき経済的です。島巡りをする際にはぜひ検討してみて下さい。事前予約の必要な航路もありますので詳しくは各船会社にお問い合わせ下さい。
[切符は?]
石垣島では離島ターミナルの各社カウンターで扱っています。周遊券などお得な切符はこちらで購入して下さい。各島では出航時間が近くなるとターミナルで販売しているほか、島内の代理店(商店が多い)でも販売しています。ギリギリの時間ですと桟橋でがま口や手提げ金庫を持って販売しています。
[安く乗りたい]
東日本大震災以降八重山への観光客が減っており、各社とも乗り放題の乗船券を発行したり割引サービスを行っています。各社のサイトでご確認下さい。
これらの割引乗船券は石垣で扱っています。他島では代理店が乗船券を扱っているため対応できない場合があります。石垣では帰り券のみの発券もできますので積極的に利用して下さい。
[就航状況は?]
各社のwebサイトに加え、電話での問い合わせや離島ターミナル各社カウンターで確認できます。台風接近時など最新情報が必要な場合は電話かカウンターでの問い合わせが確実です。安栄の運航規定によると、概ね風速で15m/s、波の高さで2.5mを超える場合は欠航となるようです。
[揺れは大丈夫ですか?]
石垣島と西表島に挟まれた海域は石西礁湖と呼ばれる穏やかな海域ですのでそれほど揺れることもなく高速船を運航できます。ただし冬場は季節風で波が高くなりますし、夏場でも高速船同士がすれ違う際にはお互いが起こす波で船が大きくジャンプすることがあります。不用意に立って歩かないようにしてください。
比較的揺れやすいのは波照間・西表上原(鳩間含む)です。逆に竹富は船に弱い方でも問題ないと思います。船に弱い方は大型の高速船にする、酔い止めの薬を飲む、乗船を出発間際まで遅らせる、できるだけ船体の中央付近(客室中央ではなく船の中央)に座るなどの自己防衛策を取って下さい。配船はツアー客の有無等を勘案して当日に決まるようですから、当日確認してください。
[離島ターミナル]
各社の発券カウンターや乗り場を統合した石垣港のターミナルです。石垣島内のバスを運行している東運輸のバスターミナルに近く、お土産や弁当の販売店も充実しています。食堂や釣具の販売店もあり、館内は冷房が効いているので時間つぶしにも最適です。
コインロッカーのほか、各社のカウンターでも荷物預かり(有料)を行っており便利に使えます。
[チャーター運航]
時間が合わない場合、定期船のない無人島へ行く場合はチャーター運航もできるそうです。一定人数(5名以上?)集まればOKとのこと。このほかツアーのチャーター便に余裕がある場合は特別に乗せてくれたという例もあるようです。いずれも事前に相談してみて下さい。
[西表島の注意点]
西表島には北東部の上原行きと南東部の大原行きの2系統があります。互いは車で一時間ほど離れており、間違わないようご注意下さい。西表で宿泊する際は宿泊先がどちらに近いか必ず確認しましょう。
上原港は風や波の影響を受けやすく、冬場は欠航になる日が多いようです。上原欠航のときは上原行きの乗船券を買って大原行きに乗れば大原-上原間をバスで送り迎えしてくれるサービスもあります。詳しくは各船会社にお問い合わせ下さい。
[鳩間島の注意点]
鳩間島は西表上原行きの途中寄港という形です。従って上原行きが欠航の場合は鳩間行きも欠航です。上原先回りの場合でも上原で途中下船しなければ直行便と同じ運賃で利用できます。
[波照間島の注意点]
波照間海運が運休してしまったため揺れやすい安栄観光の高速船しかないのが現状です。西表島を過ぎると海流を横切るためによく揺れます。船体が何度もジャンプするようなこともあります。航海時間が約60分と長いこともあり船に弱い方は特にご注意下さい。乗客が少ない場合は座席で横になることも有効な船酔い対策です。
波照間島も冬場は欠航が多いようです。
[新城島の注意点]
竹富町には他に新城島があります。新城島への定期航路はなく、基本的に島民もしくはツアー客向けの不定期運航扱い(西表大原便の途中寄港)になっています。運航しているのは安栄観光のみです。
詳しくは安栄観光まで。webサイトでは新城島の件は一切案内していませんので電話もしくはカウンターで直接お問い合わせ下さい。