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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

村上華岳(山種美術館)+神仏・異類・人(国学院大学博物館)

2015-12-21 23:23:00 | 行ったもの(美術館・見仏)
山種美術館 特別展《裸婦図》重要文化財指定記念『村上華岳-京都画壇の画家たち』(2015年10月31日~12月23日)

 2014年に山種美術館が所蔵する『裸婦図』が、村上華岳(1888-1939)の作品としては2件目の重要文化財に指定されたことを記念し、その画業を振り返る展覧会。という謳い文句を聞いて見に行ったので、華岳の作品がもっとスラズラと並んでいるのだと思っていた。そうしたら、華岳の作品は、下絵や小品を含めて十数点ほどで、京都画壇の先人や学友たちの作品が圧倒的に多かった。まあ、おかげで小野竹喬や福田平八郎など好きな画家の作品を見ることができた。菊池契月『少女図』など、京都国立近代美術館や京都市美術館のコレクションが、たくさん出陳されていたのがめずらしかった。竹内栖鳳の『斑猫』など動物を描いた名品が多かったのも楽しかった。

 華岳の作品で最も印象に残ったのは、油絵の自画像。あと、卒業制作の『羆(ひぐま)』はディズニーのクマみたいで、どことなく可愛かった。

国学院大学博物館 平成27年度第5回企画展『神仏・異類・人-奈良絵本・絵巻にみる怪異-』(2015年11月21日~2016年2月7日)

 現実にはありえない不思議なこと(怪異)を描いた、江戸時代の奈良絵本や絵巻を特集展示。20数点ほどの小規模な展示だが、私は怪異や異類が大好きである上に、最近、この手のチープなメディアがすごく気に入っている。「芸術」や「文芸」の専門家が本気で論ずることなど絶対にない作品の数々。怖い場面なのに怖くなく、泣ける場面なのにゆるくて可笑しい。『俵藤太物語』の竜宮おもしろいなあ。亀(?)があちこちにいる。タコやアワビ、サザエは擬人化されているが魚はそうならないのか。『異代同戯図』では鐘馗が双六に興じ、カルタの札とにらめっこする文殊さまが可笑しい。

 参考展示の『嵯峨本・伊勢物語』を見て、これが和文の物語をはじめて印刷したものという説明に、いまさらながら驚く。それまでは仏典・漢籍など漢文で書かれた古典のみが印刷され、和文の物語は写本のみで伝わっていたのだ。文化の画期だったことを再認識。また、伊勢物語・芥川の「鬼ひとくち」が、能や歌舞伎など各種の怪異物語の原型になったという説明も非常に腑に落ちた。
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