見もの・読みもの日記

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ワイン展+渋川春海と江戸時代の天文学者たち(国立科学博物館)

2015-12-26 23:55:34 | 行ったもの(美術館・見仏)
国立科学博物館 特別展『ワイン展-ぶどうから生まれた奇跡-』(2015年10月31日~2016年2月21日)

 だいぶ前に職場の同僚から招待券をもらっており、時間ができたので行ってみた。体験型の展示で、思ったよりも面白かった。余市のニッカウィスキー蒸留所も面白かったけど、私はものづくり(特に食品関係)の展示を見るのは好きなのだ。はじめはブドウの品種や栽培方法について。食用とワイン用の品種は違うこと、日本でよく見る棚づくりは欧米では一般的でないことなどを知る。

 ワインの歴史は西アジアのコーカサス地方で始まったと考えられている。エジプトではワインよりビールが珍重された。それはビールの方が製造が難しかったからだという。日本で本格的なワインの生産が始まったのは明治以降。高野正誠、川上善兵衛(岩の原葡萄園)、神谷伝兵衛(牛久のシャトーカミヤ)の名前があったと思う。高野正誠(たかのまさなり)は、山梨県から伝習生としてフランスに留学し、ワイン醸造を学んだ人物。東大農学部に古い記録文書が残っているのに感心した。しかしブドウ自体はもっと古くから日本で(山梨などで)栽培されているんだよね。そこも知りたかった。瓶に入った日本最古のワインとか、難破船から引き揚げられた世界最古級のシャンパーニュも地味に展示されている。

■同館・日本館1階 企画展『日本の科学者技術者展シリーズ第11回~渋川春海と江戸時代の天文学者たち』(2015年12月19日~2016年3月6日)

 特別展のチケットで参観できる企画展。私が日本史を習った頃、渋川春海は、高橋至時や伊能忠敬に比べると格段にマイナーな存在だったが、小説『天地明察』(2009年)であっという間に有名になった。映画では、イケメン岡田准一が演じていたし。今年は渋川春海(1639-1715)が亡くなって300年にあたることから、春海の業績・人物像と、その流れを継ぐ江戸時代中後期の天文学者を紹介する展示である。

 国立天文台、神戸市立博物館などが所蔵する書籍、文書、観測器具はともかくとして、けっこう見たことのない「個人蔵」の資料が出ていて興味深かった。天球儀の複製をマウスで回転させたり、春海の棋譜を碁盤に再現する演出も面白かった。浅草天文台の地図や絵図を壁一面くらいに拡大したパネルも単純だがインパクトがあった。市井の天文学者では、大阪の間重富が面白くて魅力的だなあ。

 すごくいい展示なのに、図録どころか展示リストもないのが非常に残念である。理科系の展示って、あまりそういうことを欲しないのだろうか。なお、企画展示室の向かい(日本館1階南翼)にも天球儀や望遠鏡の展示がある。科博の常設展示って、最近全く見たことがなかったので、初めて知った。2月6日の講演会は、都合がつけば聞きにいきたいと思っているところ。
コメント (2)
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