見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

北京・1990年代/わが家の犬は世界一

2005-05-11 08:13:06 | 見たもの(Webサイト・TV)
○路学長(ルー・シュエチャン)監督 映画『わが家の犬は世界一』

http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD6689/

 1990年代半ば、急速な経済発展を背景に、中国の都市生活者に俄然起こったペットブーム。1994年、北京市は犬の飼育制限を決定し、公安への登録と高額な登録料の支払い(5,000元)が義務づけられた(その後、規定が一部改定され、登録料は5分の類1の1,000元まで引き下げられたという)。

 主人公は、北京の高層アパートに暮らす平凡な3人家族。アパートには薄暗い電灯がともり、旧式のエレベーターがのろのろと動いている。明るい室内にはモノがあふれているけれど、お父さんとお母さんの服装はまだつつましい。外国人の身で、こう言うのも可笑しいが、映像のディティールを、すごく「なつかしく」感じてしまった。

 校則で禁止されたファッションで意気揚々と登校する息子。自転車に乗った彼が、見向きもせずに通り過ぎていく天安門に掲げられた毛沢東の肖像。学校の授業では、相も変わらず、国家を賛美する歌が教えられている。街に出れば、天を圧するような高層ビル。高い教育を受け、最新のファッションを見につけ、屈託なく自信にあふれた若者たち。一方には、昔ながらの石造の住宅にひっそり暮らす老人たちがいる。古いものと新しいものが交差する北京の90年代を、映画は淡々と描いていく。

 BGMもないし、効果音も特殊なカメラワークもなくて、物語は淡々と進み、そして唐突に終わってしまう。後ろで見ていたおばさんたちが「え、これで終わりなの?」「ヘンな終わり方ねえ」と呆れていた。確かに。でも、こういうスタイルの中国映画って、わりと多いように思う(ジャ・ジャンク―の『一瞬の夢』『プラットホーム』など)。まあ、一般受けはしないだろうなあ。

■新浪網《卡拉是条狗》(中国語)
http://ent.sina.com.cn/m/f/f/kaladog/
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする