見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

関西美術展めぐり補遺

2005-05-09 00:06:07 | 行ったもの(美術館・見仏)
○東寺宝物館『東寺名宝展―墨と仏の造形 東寺の書跡・典籍と彫刻―』

 ずいぶん欲張ったタイトルだなあと思ったら、開館40周年記念だそうだ。久しぶりに本物の「風信帖」を見た。「宋版一切経」「宋版大般若経」など経典類がたくさん出ていたのも興味深かった。彫像では、老僧の姿をした「聖僧文殊菩薩像」(平安時代)が珍しいと思った。文殊菩薩って、童形から老人まで、学究肌から武闘派まで、実に変幻自在である。


○伊丹市立美術館『笑いの奇才・耳鳥斎!~近世大坂の戯画~』

http://www.artmuseum-itami.jp/

 大阪で商売を営むかたわら、戯画や風俗画に才能を発揮した耳鳥斎(にちょうさい)の作品展。江戸中期、円山応挙や曽我蕭白の同時代人である。滑稽なポーズを強調する長い手足(”鳥羽絵”と言うらしい)、鼻を省略した丸顔など、横山隆一の「フクちゃん」とか、近代以降のマンガの絵柄とそっくりなのが興味深かった。


○愛知県美術館『自然をめぐる千年の旅―山水から風景へ―』

http://www-art.aac.pref.aichi.jp/jhome.html

 「愛・地球博を機に愛知県を訪れる国内外の方々に、日本美術の歴史的名品の数々を一堂で観られるまたとない機会を提供する」という、壮大かつ大胆な趣旨で開催中の展覧会。確かに古美術と近代絵画の垣根を取り払って、めったに一緒に並ぶことのない作品が並んでいる図というのは面白いものだ。雪舟あり、応挙あり、若冲あり、また、横山大観、下村観山、果ては黒田清輝という具合で、新も旧も入り乱れて、もう頭の中がぐちゃぐちゃである。残念ながら、古美術に関しては、前期のほうがよかったと思う。近代ものでは、初見の川合玉堂「行く春」が印象に残った。
コメント
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