「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

高値を呼ぶ真空管

2014年12月11日 | オーディオ談義

前回のブログに記載したように、たいへん稀少な1920年代製の真空管(以下、「特別管」)を不注意な取扱いによって1本ダメにしたのでその旨を同じ「AXIOM80」仲間のKさんに連絡したところ、次のようなコメントが返ってきた。

「非常に残念なことをしましたねえ!しかし、90年ほど前のとても旧い真空管ですから生き残っているだけでも大したもんですよ。まあ、10本購入したとしたらハズレが3本程度あると思った方が賢明でしょう。そういう考え方をしないと古典管を持つ資格は無いと言ってもいいくらいです。

それからエージングの方法をお伝えしておきます。〇〇さんは「2A3」真空管アンプをお持ちですよね。この2A3はヒーター電圧の規格が2.5V(ボルト)になってますので、特別管のヒーター電圧の規格5Vに対して低いので、差し換えてのエージングにはもってこいです。ピン配列は同じですし、非常に緩やかな理想的なエージングが出来ますよ。」

なるほど!これは大変有益な情報。

次に話は「WE300B」真空管の話に移った。

「オークションに出品されていた刻印付きのWE300Bがとうとう911000円で落札されましたね。もしかして〇〇さんが落とされたのではないですか?」と、Kさん。

「いいえ~、私はWE300Bにこれ以上投資するつもりはありませんよ。もう特別管があれば十分です。」

ようやく「足るを知る境地」になってきた今日この頃(笑)。

Kさんが仰るWE300Bの刻印については、このところKさんと大いに盛り上がった話題だった。まずオークションの概要を記してみよう。

          

「WE ウエスタンエレクトリックの直熱3極出力管WE300Bです。 言うまでも無く、WEの代表的銘球で、出品していますのはWE300Bでも最初期の刻印ベースのものです。
どちらも新品元箱入りで、WE300B刻印の未使用品は現在では入手困難になっていると思います。 1940年頃の製品。
どちらも新品元箱入りで(片方の元箱には一方のふたが無くなっているなどいたみが見られます)、今回出品のため測定しただけです(足ピンもぴかぴかの状態)。 特性はTV7/Uにより確認済みです。 測定値は基準値58に対しどちらも82となっています。入札価格は2本セットの価格です。 よろしくお願いします。 」

と、あった。

顔の見えないオークションでの法外ともいえる値段には誰もが警戒心を抱くのは当たり前だが、今回のケースは出品者がメチャ信頼の置ける「〇〇ヴァルブ」さんだったので、皆さんも安心して入札に参加したのだろう。

それにしても2本で91万円だから驚く。これは憶測だが、落札者は中国ルートではないかと思える。国内のマニアがこういう高価な球を音楽鑑賞用に使用するとはどうしても思えないのだ(笑)。

通貨「元」の為替価値の将来について不安を持つ向きが将来にわたって絶対に値下がりのしない確実な品物に代えておこうという魂胆は十分あり得るのではあるまいか。しかも先日のテレビ番組「何でも言っていいん会」では、「元」の下落どころか「中国崩壊説」が真面目に論議されていたほどだった。言論の自由が無い国の末路は“推して知るべし”なのか。

ま、そういうわけで確実に再生産のきかないWE300B、それも刻印付きとあれば投機対象としても不足はないだろう。

11月の下旬に我が家にお見えになったSさん(東京在住)は我が家と同じく「AXIOM80」(最初期版)を使用されているが、「AXIOM80はこれからも絶対に値上がりします。たとえ100万円になってもおかしくありませんよ。こういうツクリのスピーカーは絶対に出てこないんですから~。貴重な文化遺産を是非国内に留めておきたいものですね」と、しみじみ述懐されていた。

話を戻そう。

我が家にもまだWE300Bはある。1951年製が2本、1988年製が2本、1967年製が1本、そして中国製が2本。日頃、使っているのは「1988年製」だが何だか勿体ないので、つい先日左チャンネルに1967年製を、そして右チャンネルに中国製(4300BC)を挿して聴いてみたところ、あまり違和感がなかった。

2本とも中国製の場合は明らかに「音が高域寄りになって変な音」がするのだが、片方をWE300Bにするだけで一変するのだから正直言って驚いた。

自分の耳はあまり当てにならないので(笑)、実際にWE300Bを自宅で聴いておられるAさん(大分)に聴いていただいたところ、「まったく区別がつきません」とのことだった。

これまで散々中国製を謗ってきたのだが、こういう有益な使い道もあるので簡単に捨てるわけにはいかない。

ちなみに、特性の違う真空管が2本あったとすると優秀な方を左チャンネル用に使うか、それとも右チャンネル用に使うのかここはちょっと迷うところだ。「どちらに使っても同じことだろう」というマニアは明らかに修業が足りない(笑)。

いつかあるとき、我が家に試聴にお見えになったKさんにその点をお訊ねしたところ言下に「それはもう左チャンネルに決まってますよ。」とにべもなかった。

オーケストラの主要パートは左側だし、コンマス(コンサートマスター)だって左側に位置している。それに人間の「利き耳」は左側の耳が多いという説を聞いたことがある。周知のとおり右手の機能は左脳が支配しているので、右利きの数が多いだけ「左脳 → 左側の耳」優位ということだろうか。

なお、自分は「右利き」で、「利き耳」は左である。スピーカーににじり寄って音を確認するときはいつも左側の耳を押し当てるクセがあるのでよく分かる(笑)。
 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする