CD番号 RCA GD86511(3枚組)
収録年 1970年
評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)
総 合 A- 高い水準にあるが、やや淡白で水彩画のような魔笛
指揮者 A- オトマール・スイトナー(1922~ :’06.7.18付けで引退)
管弦楽団 A- ドレスデン・シュターツカペレ
合唱団 A- Rundfunkchor・Leipzig
ザラストロ B+ テオ・アダム
夜の女王 A- シルヴィア・ゲスツィ
タミーノ A+ ペーター・シュライアー
パミーナ A+ ヘレン・ドーナト(DONATH)
パパゲーノ B- ギュンター・ライブ(LEIB)
音 質 A+ 奥行き、セパレーション、透明感に優れている
”聴きどころ”
☆タミーノ役とパミーナ役の主役2人が名コンビとして極めて充実している
☆教会における録音のためホール・トーンが実に鮮やか、音質抜群
第一幕タミーノのアリア”何という美しい絵姿”
第二幕パミーナのアリア”愛の喜びは露と消えて”
〃 タミーノとパミーナの二重唱”おお何という幸福”
私 見
大変素晴らしい録音で左右に十分広がったセパレーション、適度な奥行き、みずみずしい明瞭な音質は出色だった。
歌手陣ではタミーノ役のシュライアーはやはり好感度抜群だった。シュライアーは結局、公開録音ではこの1970年盤に加えて1972年盤、1982年盤、1984年盤の4つの魔笛に出演している。いわば、前半と後半に分けられるがどちらかといえば声質の艶で勝負するタイプではないので、経験を積み深い読みに支えられた後半の分がじぶんは好きである。
次にパミーナ役のドーナトも名唱だった。二人の主役がこれほど高い水準でそろった魔笛も珍しい。
夜の女王のゲスツィは音程は正確無比だが軽量級なので惜しくもやや凄みに欠ける。
ザラストロ役のアダムは同じ声質で比較的高音から最低音域までしっかりとカバーしたのには恐れ入ったが、もっと厚みと重々しさが欲しい。
パパゲーノ役はやや声量に物足りなさを感じる。野性味も足りない。致命傷とはいかないまでも大事な役どころなので随分のマイナス・イメージになる。
この盤は、録音もいいし、主役の二人もそろっているし、指揮者スイトナーの奇を衒わない指揮も好ましい。高い水準にあるが、パパゲーノ役の影響だろうか、やや淡白すぎる感がある。もうひとつ濃厚な色彩感がほしい気もする。