CD番号 ドイツグラモフォン POCG-3564/6(3枚組)
収録年 1980年
評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)
総 合 B+ 綺麗ごとだけで終わってしまっている魔笛
指揮者 B+ ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)
管弦楽団 B+ ベルリンフィルハーモニー
合唱団 B+ ベルリン ドイツオペラ合唱団
ザラストロ A- ヨセ・ファン・ダム
夜の女王 A- カリン・オット
タミーノ B+ フランシスコ・アライザ
パミーナ A+ エディット・マティス
パパゲーノ B+ ゴットフリード・ホルニック
音 質 A+ 魔笛初のデジタル録音
”聴きどころ”
☆パミーナ役マティスの最後の名唱
第二幕パミーナのアリア”愛の喜びは露と消え”
私 見
カラヤンは公開されている範囲で5回魔笛を録音しているがこれが最後の録音である。この盤が魔笛に対する彼の集大成なのだろう。
良く言えば、テンポがゆっくりとして、全体的に落ち着いていて哲学的な雰囲気を感じさせる。悪く言えばまるで元気の出ない魔笛で、あの情熱的な1950年盤とまるで正反対の方向に位置している。
こうした印象の原因の一つは、タミーノ役にあると思う。もう少し、はつらしさが欲しい。アライザはカラヤン好みなのだろうが、この大オペラの主役を張るには、やや元気が足りない。相方のパミーナ役のマチスが透き通った声質の理想的なソプラノに近いだけに実に惜しい。
おまけに、パパゲーノ役も何だか野性味が足りない。この魔笛は何だか全体的にカラヤンの貴族趣味で統一されている印象を受ける。
タミーノ役とパパゲーノ役がこれでは楽しさ、自由奔放といった魔笛に欠かせない要素が感じられないし、庶民向けとして作曲したモーツァルトの意思にもそぐわない。