CD番号 フィリップスCD422 543-2(3枚組)
収録年 1984年
評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)
総 合 A+ 本格派、正統派といった表現がピッタリの魔笛
指揮者 A+ コリン・デービス(1927~ )
管弦楽団 A- ドレスデン・シュターツカペレ
合唱団 A- ドレスデン聖十字架・ライプツィヒ放送合唱団
ザラストロ A- クルト・モル
夜の女王 A+ ルチアーナ・セッラ
タミーノ A+ ペーター・シュライアー
パミーナ A+ マーガレット・プライス
パパゲーノ A- ミカエル・メルバイ
音 質 A+ ドレスデン聖ルカ教会での録音は臨場感豊かである
”聴きどころ”
☆豪華な歌手陣
☆主役(タミーノ役とパミーナ役)のバランスが完璧
第二幕タミーノとパミーナの二重唱”おお、なんという幸福”は情緒たっぷりの上に神々しさを感じる。まぁ、43セット中でNo.1だろう。
この盤は約20年ほど前に購入したもので、遠距離通勤を利用してクルマの中で繰り返し聴いたものだった。いわば魔笛が「刷り込み現象」のように自分の頭の中に入っているCD盤だが、それが、今回のように連続試聴の中で、どういう位置づけを占めるのか興味があった。なお、デービスは2003年に再び魔笛をDVD盤で収録している。
録音場所がドレスデンの聖ルカ教会、管弦楽団がドレスデン・シュターツカペレ、そしてタミーノ役があのシュライアーということで、♯9のスイトナー盤と同様である。
まず特筆すべきことは、メインとなる5人の歌手が、レベルが高く与えられた役柄のイメージをきちんと表現している印象を持った。
特にタミーノ役のシュライアーとパミーナ役のプライスは絶妙のコンビで、これほど高い水準でそろっているのも珍しい。
また、台詞からアリアや重唱に移っていくときなどのテンポとリズム感が実にいい。こんこんと泉が自然に湧き出てくる感じだ。このヴァージョンで台詞部分をカットした2枚組のCD盤も保持しているが、何か不自然な印象を受ける。この盤ばかりは台詞入りが良い。
録音もベストだし、主役が5人ともいいし、歌劇としての盛り上がりも十分でとにかく非の打ち所がない魔笛だが、一方でやや冷たい肌触りの印象も受けた。
なお、ペーター・シュライアーは魔笛の公開録音ではこの盤が最後となり、ヴンダーリヒと並ぶ理想のタミーノ役を失うことになった。
風の便りだが、1935年生まれで当年71歳となるシュライアーは現在バッハ等を主なレパートリーにした指揮者となって故郷で活躍しているようだ。
とにかく、この盤はじぶんにとってやはり永遠の魔笛だった。