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文化伝承に力、多様性守る 法人格取得した白老アイヌ協会・山丸和幸理事長に聞く

2019-06-06 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2019/6/5配信

「地元アイヌ文化の伝承に力を入れたい」と語る山丸和幸理事長
 白老アイヌ協会が5月下旬、一般社団法人格を取得し、新生の協会としてスタートを切った。白老に伝わる地元アイヌ文化を伝承し、振興への新たな事業も目指す。理事長に就任した山丸和幸氏(70)に法人取得の意味、今後の取り組みについて聞いた。
―法人化した目的は何か。
 白老町で来年4月に開設される民族共生象徴空間(ウポポイ)に地元協会として関わっていくことを目指すため、一般社団の法人格を取得した。委託業務など何らかの事業の受け皿にもなればと考えている。ウポポイ整備の国の方針を受けて2年前から準備を進め、実現した。
 白老に国立アイヌ民族博物館を核としたウポポイが誕生することは喜ばしい。だが、地元協会としては心配な点もある。アイヌ文化は儀式の作法、踊りも含めて各地域で異なり、多様性がある。白老伝統の文化の発信は旧アイヌ民族博物館が担ってきたが、国の施設ウポポイは国内外にアイヌ文化を紹介するナショナルセンターの位置付けのため、地元独自のアイヌ文化を伝える部分がどうしても弱くなると思う。
 ウポポイではイオマンテリムセなど白老本来の踊りが紹介されるというが、それは一部。だからこそ、白老アイヌ協会は目に見えない精神性を含めて地元文化をかたくなに守り、これまで以上に伝承に力を入れなければならないという意味においても、しっかりとした組織体制を目指して法人化した。
 多様性を守ることに関して言えば、例えばウポポイ近くに設けられるアイヌ民族の慰霊施設で慰霊儀式を行う際、それぞれの作法を持つ各地域の司祭が持ち回りで儀式を仕切ることを考えてもいいのではないか。
―まずは何に取り組むか。
 今年度についてはアイ・オロ・オ・コタン慰霊祭、しらおいチェプ祭など従来事業を中心に進めるが、カフェなど新たな活動にも挑みたい。
 アイヌ民族を先住民族と位置付けた新法(アイヌ施策推進法)が5月に施行され、民族支援の地域計画を作る市町村に交付金を出すことが盛り込まれたが、これには大いに期待している。
 計画を作る白老町に対しては、協会として文化伝承、人材育成に関する事業を提案したところだ。協会の中には伝統文化を身に付けたさまざまな人材がいる。こうした人たちを生かし、新たな活躍の場の創出につながればと思う。交付金が文化振興へ有効活用されることを願っている。
 教育現場で子どもたちにアイヌ文化の多様性を知ってもらうためにも、白老の文化を伝えることも大切と考えており、そうした機会も探りたい。
 いずれにせよ、法人格を得て良かったと、会員に喜ばれる組織にしていきたい。
https://www.tomamin.co.jp/news/area2/16444/
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