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アイヌ通史」邦訳に反響 英国出身・マークさん 「差別の構造 考えてほしい」

2022-02-17 | アイヌ民族関連
北海道新聞02/16 08:22 更新
 【白老】アイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の国立アイヌ民族博物館に勤務するマーク・ウィンチェスターさん(42)が、恩師の歴史社会学者リチャード・シドル氏の著書を邦訳した「アイヌ通史」(岩波書店)が、反響を呼んでいる。明治から現代に至るまでのアイヌ民族の被差別と抵抗の歴史や差別を生んだ日本の社会構造に目を向けた一冊で、マークさんは「アイヌ民族の差別の歴史をどう捉え、なぜ語るべきなのか、考えるきっかけにしてほしい」と話している。
 原著は1996年に英国で刊行。和人社会から「滅びゆく民族」と位置づけられながらもアイヌ民族が「先住民族」としてアイデンティティーを確立していく過程を描く。著者のシドル氏は日本における人種差別や多文化主義について研究し、北大の特任教授も務めた。
 マークさんは英国出身。8歳で空手を始め、日本に興味を持った。英国の大学でシドル氏に師事し、日本の差別史を研究。24歳で来日し、一橋大大学院に進学した。2013年から神田外語大(千葉市)で専任講師を務め、ウポポイが開業した20年に国立アイヌ民族博物館のアソシエイトフェロー(研究員)に着任した。
 邦訳は知人から希望されたことを契機に4年ほど前から手がけ、昨年7月に出版された。「原文に近い形で伝えることを心掛けた」という。日本版独自の年表も付し、昨年、日本テレビの情報番組「スッキリ」であったアイヌ民族への差別表現なども紹介している。
 マークさんは「アイヌ民族に対するイメージがどのように生まれ、そしてどのように社会に影響を及ぼしてきたのかを知ってほしい。歴史を知らないまま前向きな志向を推し進めるのではなく、きちんと向き合ってほしい」と願う。
 アイヌ通史を読んだ識者らからは称賛の声が上がる。「近代アイヌ教育制度史研究」などの著書がある小川正人さん(58)は「今も日本社会に根強く残る人種の問題に注目し、アイヌ民族の歩みを丁寧に描いていることなど、他の類書にはない特色と意義がある。直弟子である訳者によって、この時代に日本語訳が刊行されたことはうれしい」と評した。
 A5判438ページ、5830円。道内外の主要書店で扱っている。(小林彩乃)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/646153
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