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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

民族共生、記す一歩 知事、魅力発信に力 コロナ禍、集客は多難

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/12 05:00
 鈴木直道知事は11日のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」開業記念式典で、開業を新型コロナウイルスの影響で停滞した道内観光の再生につなげたい思いを強調した。就任後からPR役を自任し、認知度の向上に努めてきた。ただ、開業が3カ月近く遅れた上に、感染対策に伴う入場制限もあり、年間来場者100万人の目標達成には息の長い取り組みが求められる。
 「近い将来、日本中、そして世界の多くの方々に、ウポポイがあるからこそ北海道に行きたいと思ってもらえる日を実現させる」。鈴木知事は式典で、感染対策を講じながらアイヌ文化の魅力を国内外に発信する考えを語った。
 ウポポイは、鈴木知事の後ろ盾とされる菅義偉官房長官肝いりの施設でもある。昨年4月の知事就任後、催しでのPRといった公務の場だけでなく、自らのツイッターなども駆使して発信を続け、認知度を上げる取り組みをしてきた。
 知事は道の本年度予算編成で、今夏に予定されていた東京五輪マラソン札幌開催と並ぶ重点施策に位置づけ「成功の連鎖をつくり出す」と強調した。道が昨年8月に行った道民の認知度調査では35・4%にとどまっていたが、今年2月には72・4%まで上昇した。
 ただ、ウポポイは感染対策のため開業を約3カ月遅らせた上、今後も事前予約制で1日当たりの入場を平日は約2千人、土日は約2500人に制限。大半の外国とも渡航制限が続き、想定した外国人観光客の来場も当面は見込めない。
 知事は10日の記者会見で、先住民族の文化に関心を持つ外国人をターゲットにした動画配信や、ウポポイ訪問への需要調査の実施を政府に要望したと説明。「物理的に来れなくても来たい人がいることも示していくべきだ」と語ったが、当初の想定通りに集客を図るには、課題の多い船出となった。(村田亮)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439725

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集客不透明地元に焦り 駅周辺整備は難航/温泉街循環バスなし ウポポイ開業

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/12 05:00
 【白老】ウポポイが12日に開業する胆振管内白老町では観光振興に期待が高まっている。一方、観光客の受け入れ拠点となるJR白老駅の周辺整備は難航し、観光ルートづくりも順調ではなく、地元では十分な集客効果を発揮できないと焦りの声も出ている。
 戸田安彦町長は11日の開業記念式典であいさつし、「周辺自治体と連携し、ウポポイを拠点とした道内観光を広めたい」と期待を込めた。
 町は開業日の12日、ウポポイと町内の商店街を結ぶ1日26便の循環バスの運行を始める。観光客を商店街に誘導するのが狙いで、各店は店先にアイヌ文様の入った紺色の看板を設置し、開業を盛り上げている。
 だが、バスが運行するのは町中心部だけ。ウポポイから約15キロ離れた虎杖浜地区の温泉街にあるホテル「ぬくもりの湯」の池田広恵支配人(48)は「このままではウポポイ開業の経済効果は十分に得られない」と述べ、町にバス運行など誘客のための支援を求める。
 星野リゾート(長野県軽井沢町)がウポポイ近くで計画する温泉ホテルも資材高騰などで開業予定が当初より1年半近く遅い来年冬に先送りされた。
 さらに深刻なのは白老駅前の観光商業ゾーンの開発だ。町は昨年2月から0・5ヘクタールの敷地で民間の参入を募集してきたが、札幌の企業のホテル計画が頓挫するなど事業者参入の見通しは立たないままだ。
 新型コロナウイルス感染症対策で当面、ウポポイの入場者数が制限される中、白老町商工会の熊谷威二会長(76)は「事業者も集客効果を読み切れないのではないか」と指摘する。町役場内でも「事業者の誘致はますます厳しくなるだろう」と懸念する声が上がっている。
(斎藤佑樹)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439714

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アイヌ民族「感無量」 苦難の歴史も知って ウポポイ12日開業

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/12 05:00
 【白老】胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」開業を記念する11日の式典には道内各地のアイヌ民族も参加した。政府の有識者懇談会が整備を提言して11年。「感無量」の声も上がり、アイヌの文化や歴史の発信に向けた期待と注文が相次いだ。
 「これまでの礎を築いた先祖やアイヌ文化を正しく後世に残すため尽力してくれた研究者…、多くの方々に感謝したい」。白老アイヌ協会の山丸和幸理事長(71)は感慨深げに語った。
 その上で「今日はあくまでもスタート。国は全てのアイヌ民族のため、今後どう政策を進めるか真剣に考えてほしい。来場者にはアイヌの苦難の歴史に理解を深めてほしい」と話した。
 千歳アイヌ協会の中村吉雄会長(70)も「やっとここまでこぎ着けた。民族の失われた歴史と文化を取り戻す出発点」と開業を評価し、「舞踊一つとっても各地で多様な形がある。統一された文化ではなく、細かな違いや意味をしっかり伝えてほしい」と注文した。
 式典ではアイヌ民族の古式舞踊も披露され、平取アイヌ協会の木村英彦会長(56)は「若い人たちの熱量ある踊りを見て感無量だ」と感激した。萩生田光一文部科学相がアイヌ民族への差別を「価値観の違い」と述べたことを踏まえ、「差別も含め、あったことを率直に伝えることでアイヌと和人が分かり合う場になってほしい」と願った。
 本別アイヌ協会の小川哲也会長(48)も「苦労して文化を伝えてきたエカシ(長老)やフチ(おばあさん)も喜ぶのでは。アイヌの文化や歴史を国内外に発信してほしい」と期待した。
 一方、アイヌ民族らでつくる市民団体「ピリカ全国実行委員会」(札幌)は11日、白老町内で式典反対のデモを行った。約30人が参加し、代表の川村シンリツ・エオリパック・アイヌさん(69)は「アイヌ文化を若い人や海外に伝える上でウポポイは良い施設だ」としつつ、「併設する慰霊施設に収容された遺骨や副葬品は各コタン(集落)に返還するべきだ」と訴えた。(斎藤佑樹、小宮実秋、斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439713

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「差別の事実 受け止める」 文科相、「価値観」発言を釈明

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/12 05:00
 【白老】萩生田光一文部科学相は11日、アイヌ民族が差別されてきた歴史について「価値観の違い」と述べた10日の自らの発言の真意を記者団に問われ、「多数のアイヌ民族が差別され、貧窮を余儀なくされた歴史的な事実を厳粛に受け止めなければならない」と述べ、10日の発言を軌道修正した。胆振管内白老町で行われたアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」開業記念式典に出席後、記者団に答えた。
 萩生田氏は「困難な時代を乗り越えてきたアイヌの人たちがいたことも事実。(ウポポイでは)そういったことも含めて正しく伝承しながら、アイヌ文化の素晴らしさを発信してほしい」とも述べた。
 萩生田氏は10日の記者会見で「原住民と開拓する人の間で価値観の違いがあったと思う。差別という言葉でひとくくりにすることがいいかどうか」と述べ、ウポポイで差別の歴史を発信することに消極的な姿勢を示し、アイヌ民族の一部から撤回や謝罪を求める声が出ていた。(斎藤佑樹)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439710

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民族共生重い一歩 政府、問われる本気度 配慮欠く発言相次ぐ

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/12 05:00
 安倍晋三政権がアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」やアイヌ施策推進法の整備に取り組んできたのは、東京五輪・パラリンピックを控え、国際社会に多文化の尊重や共生への取り組みをアピールする狙いがあるからだ。ただ、閣僚からアイヌ民族への配慮を欠く発言が相次ぐほか、海外の人権問題への対応も一貫性を欠くケースが目立つ。専門家からは人権問題への姿勢について「本気度が感じられない」との指摘も上がる。
 菅義偉官房長官は11日、ウポポイを視察後、記者団に「民族共生の理念に共感していただけるよう、魅力向上へ全力で取り組む」と語った。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発令以降では初の地方出張で、九州などで大雨による被害が相次ぎ、コロナの感染拡大も続く中、菅氏は式典出席にこだわった。
 安倍政権は2014年に民族共生象徴空間を胆振管内白老町に整備する基本方針を閣議決定。19年にはアイヌ民族を「先住民族」と初めて明記したアイヌ施策推進法を成立させた。
 政府には東京五輪をにらみ独自の文化を持つアイヌ民族に関する政策が、多様な価値観を尊重する姿勢を国内外にアピールできるとの読みがある。安全保障関連法制定などで印象付けられた「タカ派」で強権的なイメージを和らげる狙いもあったとみられる。
 だが、政権にアイヌ民族の歴史や現状に対する理解が浸透しているわけではない。麻生太郎副総理や首相側近の萩生田光一文部科学相、自民党議員から配慮を欠く発言が相次いでいるからだ=表=。
 政権の共生や人権に対する意識は、海外での人権問題に対しても、腰の定まらない対応となって表れている。米国で白人警官の暴行で黒人男性が死亡した事件をきっかけに6月に全米でデモが拡大した問題を巡り、菅氏は「注視している」と述べただけ。トランプ大統領が軍派遣を辞さない考えを示す中、日本政府は「そんなに暴動はひどくない」(政府筋)として、表立った発信を控えた。
 一方、中国が6月末に制定した言論の自由弾圧につながる香港国家安全維持法に対しては、制定前に外務省が孔鉉佑駐日中国大使を呼んで「深い憂慮」を伝達。制定後には菅氏が表現を強めて「遺憾」の意を表明し、米国への対応との違いが浮き彫りになった。
 アイヌ民族を巡っては、政府が先住権をどう回復するかなど残された課題の解決に動く気配はない。アイヌ民族の歴史や政策に詳しい東北学院大の榎森(えもり)進名誉教授は「安倍政権には人権問題を前面に打ち出した政策もみられず、民族共生などの理念も名ばかりに感じる」と話している。(石井努)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439709

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歴史を直視する

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/12 05:00
大阪市浪速区の大阪人権博物館が5月末限りで閉館し、35年の歴史に幕を下ろした。被差別問題を中心に幅広く人権問題を取り上げ、無知が招く偏見の恐ろしさを伝えた拠点の喪失は残念でならない▼閉館は、無償提供していた市有地の返還などを求めて大阪市が起こした裁判で、大阪地裁が示した和解案の受け入れに伴う判断だ。展示内容がネガティブだなどと問題視されたという▼過去の歴史から目をそらしても教訓は得られないだろう。運営財団は寄付を募り、移転先を探している。貴重な史料は人権教育にいかしてもらいたい▼負の歴史をいかに広く伝えるか。多くの施設がその解を模索する。昨年リニューアルされた広島平和記念資料館では、実物資料と再現展示のバランスも議論となった。精神的ダメージに配慮し、年齢制限を設ける施設も少なくない▼歴史に影はつきものだ。世界遺産に登録される長崎市の端島(はしま)炭坑には戦時徴用の犠牲があった。海商都市リバプールは大英帝国の繁栄と奴隷取引が表裏一体の関係にある▼アイヌ文化復興拠点となる胆振管内白老町の「民族共生象徴空間(ウポポイ)」がきょう、開業する。差別のない多様で豊かな文化の発信が期待される。知ることは理解への第一歩だ。アイヌ民族に苦痛を与えた過去の同化政策もしっかりと学びたい。歴史を直視してこそ、実りある文化の発展につながろう。2020・7・12
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439707

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ウポポイ開業 アイヌ文化を学ぶ拠点に

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/12 05:00
 胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」がきょう開業する。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月開業が2度延期となっていた。この日を待ち望んだ人は多かろう。来訪者も施設も感染防止策を徹底してほしい。
 ウポポイは「存立の危機にあるアイヌ文化を復興・発展させる拠点」であり「先住民族の尊厳を尊重し、差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築くための象徴」と位置づけられる。
 その理念を共有して理解し合い、確かなものにするための発信源として期待は大きい。
 アイヌの人々は、和人が住むはるか昔から北海道、樺太(サハリン)、千島列島などの豊かで厳しい風土に根差して生きてきた。そんな先住民族の知恵や文化に学ぶ姿勢が欠かせない。
 同時に世界の潮流に後れをとる権利回復の議論を前進させ、多文化共生で魅力ある北海道を築く一歩にする必要がある。
歴史を知るのが重要
 ウポポイは道内初の国立博物館となる国立アイヌ民族博物館、伝統的なコタン(集落)を再現した国立民族共生公園、各大学などが保管するアイヌ民族の遺骨を納めた慰霊施設からなる。
 中核施設の博物館は、外洋船「イタオマチプ」を含め約1万点を収蔵し、約700点を展示する。見応えは十分だ。
 例えば、仕事の展示では伝統の狩猟や漁業から、文化を受け継ぐ今の料理人や林業従事者まで紹介している。地域ごとの民族衣装や祭具のイナウなども並ぶ。
 アイヌ文化の多様な魅力を国内外に発信することが重要である。
 施設の展示解説や案内板はアイヌ語を第1言語として表示している。アイヌ民族が解説文を執筆し、主語を「私たち」とするなど民族の視点で伝えている。
 明治政府の同化政策で今やアイヌ語は消滅の危機にある。生業である狩猟や漁業、土地などを奪われ、結婚や就職などで差別を受け、貧困に苦しんできた。
 およそ150年間に失われたものはあまりにも大きい。
 言語の復興に全力を挙げ、こうした歴史をきちんと伝えるべきだ。それがアイヌ民族の名誉と尊厳を回復し、いわれのない差別や偏見を防ぐことにもつながろう。
 政府は年間入場者100万人の目標を掲げる。あまりに観光に偏重しすぎてはいないか。ウポポイはアイヌ民族の復権を息長く支える施設でなくてはならない。
権利回復への道筋を
 慰霊施設には昨年末までにアイヌ民族の遺骨1287体が集約された。明治以降、旧帝国大の研究者らが墓地から掘り起こすなどして収集されてきた。
 これに対し、アイヌ民族から「祖先が埋葬されていた元の土地に戻すことが尊厳ある慰霊だ」との批判が起きるのは当然だろう。
 米国には遺骨がどの集団に帰属するか特定する調査や再埋葬の費用を国が支援する法律がある。こうした事例を参考に、政府は積極的に解決を図るべきだ。
 紋別アイヌ協会会長が道に許可申請せず川でサケを捕獲し告発された問題は、権利回復の議論が進まない現状を浮き彫りにした。
 資源保護に配慮し、アイヌ民族に一定量の自由な捕獲を保障するよう求める主張は、過去の歴史を顧みれば理解できよう。
 2007年採択の先住民族の権利に関する国連宣言は、遺骨の返還やサケの捕獲を含め先住民族の権利を保障するとし、日本政府も賛成票を投じている。
 権利保障に関し、衆参の国土交通委員会は国連宣言の趣旨を踏まえるよう昨年施行のアイヌ施策推進法の付帯決議に盛り込んだ。
 先住民族政策を進める国際社会への責任を果たすため、政治がリーダーシップを発揮すべきだ。
 カナダや米国、オーストラリア、ニュージーランド、北欧などは権利回復が進んでいる。これらの国々の先住民族とのネットワークを強化することも大切だろう。
自然との共生伝える
 「(アイヌ民族は)必要最小限のみを採取し、大方は天然資源に手をつけずに利息のみを食べるように心がけてくらしていた」
 アイヌ文化の伝承者、萱野茂さんは自著にこう記した。アイヌの人々は自然と人間の共生を大切にし連綿と命を紡いできた。経済合理性が優先される現代社会では忘れられがちな考え方だ。
 新型コロナなど次々と出現する感染症の病原体は動物が起源とされる。人間が森林を破壊し、動物たちが持つウイルスを引き寄せた結果だと指摘されている。
 アイヌ民族の思想には、今を生きるヒントがあるのではないか。ウポポイがこうした学びの場となるように期待したい。
◆「イタオマチプ」のプは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439701

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アイヌ文化発信、観光振興も期待 いよいよ、共生空間12日開業

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/12 05:00
 【白老】12日開業するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」で11日行われた記念式典には、菅義偉官房長官ら政界の有力者をはじめ、道内自治体の首長ら計約170人が出席し、国や北海道を挙げてアイヌ民族と共生を目指す姿勢を印象づけた。出席者からはアイヌ文化の継承とともに観光振興の役割を期待する声も上がった。
 ウポポイ開設を主導し政府のアイヌ政策推進本部長も務める菅氏は「美しい景観と四季折々の豊かな自然の中で、アイヌ文化の魅力を実感できるウポポイの開業を迎えたことは格別の思い」とあいさつ。さらなるアイヌ文化の復興や発展に向けて、政府としても地元と連携して全力で取り組むことを約束した。
 萩生田光一文科相は、ロンドンの大英博物館で昨年開催された漫画展で、アイヌ民族の少女らが活躍する人気漫画「ゴールデンカムイ」が紹介されたことに触れ「諸外国でもアイヌ文化が注目されるようになってきた」と強調。ウポポイの開業について、「訪日外国人観光客の誘客にもつながる」と期待を込めた。
 白老町の戸田安彦町長は関係機関に感謝の言葉を述べた上で「アイヌ民族に対して正しい歴史と理解が促進され、愛される施設になるよう願っている」と述べた。
 ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団職員によるアイヌ民族の古式舞踊も披露され、息の合った踊りに大きな拍手が送られた。式典後はウポポイ施設内を自由に見学し、アイヌの文化や歴史への理解を深めた。
 12日は午前9時に開業。11時半からは開業を記念して、俳優の宇梶剛士さん、演劇ユニット「TEAM NACS」の森崎博之さんや戸次重幸さんらによるトークショーが行われる。(斎藤佑樹、小宮実秋、工藤雄高)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439682

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アイヌ文化復興へ新時代 ウポポイ12日開業 知事ら出席し式典

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/12 00:27
【白老】政府がアイヌ文化復興の拠点として胆振管内白老町に整備した「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が12日、開業する。11日には現地で道内各地のアイヌ協会関係者や関係閣僚ら約170人が出席して開業記念式典を行った。ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団(札幌)の職員が古式舞踊「イオマンテリムセ(クマの霊送りの踊り)」を披露し、開業ムードを盛り上げた。
 式典には菅義偉官房長官や萩生田光一文部科学相、鈴木直道知事、ウポポイ開設に尽力した北海道アイヌ協会の加藤忠前理事長らが出席した。菅氏はあいさつで「ウポポイはわが国が多様で豊かな文化を持つ社会を実現していくための象徴だ。国内外から一人でも多く訪れ、アイヌ文化の素晴らしい体験をしてほしい」と述べ、政府としてウポポイの魅力向上やアイヌ文化の復興発展に引き続き取り組む姿勢を強調した。
 加藤氏もあいさつに立ち、アイヌ民族が差別を受けてきた過去を振り返り、「開業は大きな歴史の始まりだ。人間の価値は民族の属性に宿るのではない。ウポポイが人類の和合や共生の精神に寄与する拠点となることを確信している」と声を詰まらせながら呼び掛けた。
 ウポポイの中核施設は、北日本初の国立博物館となる国立アイヌ民族博物館で、アイヌの言葉や精神世界、歴史、暮らしなどを常設展示で紹介している。伝統的なコタン(集落)を再現したエリアや歌・踊りを鑑賞できるホールのほか、大学などが保管していたアイヌ民族の遺骨を納めた慰霊施設も整備された。総工費は約200億円。
 政府は当初、4月24日の開業を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ2度延期していた。年間来場者数100万人を目標に掲げているが、当分は感染対策として事前予約制にして入場者数を制限する。12日のチケットはほぼ完売している。13日は休館日で、14日以降は空きがある。(工藤雄高)
◆「イオマンテリムセ」のムは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439703

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菅氏、国内観光振興に意欲 コロナ緊急事態後、初出張

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/11 22:55 更新
 菅義偉官房長官は11日、北海道白老町で記者団の取材に対して、国内観光振興への意欲を示した。新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図りつつ、観光割引の「Go To キャンペーン」の活用を呼び掛けた上で「日本の素晴らしさに触れる機会の拡大に取り組む」と述べた。菅氏の地方出張は、4月7日の緊急事態宣言発令後、初めて。
 菅氏は、2030年に訪日外国人旅行者を6千万人とする政府目標について、来年には東京五輪・パラリンピックが控えているなどとして「実現は十分、可能性がある」と強調した。
 これに先立ち、同町のアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(愛称ウポポイ)」を視察した。施設内に整備された国立アイヌ民族博物館や慰霊施設を訪問。観光客誘致について、北海道の鈴木直道知事ら地元関係者と意見を交わした。12日に開業する同施設の記念式典にも出席した。
 菅氏は政府のアイヌ政策推進本部長を務めている。菅氏の出張は緊急事態宣言前の3月末、那覇市を訪れ観光支援に取り組む意向を表明して以来。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439635

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<教授陣のマンスリー講座>前田亮介氏(政治史) 北海道150年 元勲が夢見た「一国二制度」

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/11 09:57
 「北海道150年」を記念した10年がかりの道史編さん事業が一昨年から始動している。この経験で考えさせられたのは、「北海道150年史」は「日本」史にいかに組み込みうるかということだった。身分制の論理が解体した末に人びとの行動パターンや価値観の巨大な変革が起こった、「内地」のサブナショナルなレベルでの近代化の動態と違った力学を、北海道という地に感じていたからである。
 北海道開発が全国の脚光を浴びたのは、明治維新期と戦後復興期だった。いずれも先の見通しが流動的な国家形成の過程であることが共通しており、北海道を焦点に《1》地理的境界の再編《2》新しい規範の急速な流入・造形―が交錯する構図が繰り返された。日本の近代化と民主化のフロンティアとしての先端性を担ったわけである。
 これは、戦前はキリスト教、戦後は革新政党の北海道での存在感を想起するとわかりやすいだろう。ただ、リベラルな勢力だけがフロンティアを代表したわけではない。近代国家の枠内で「一国多制度」的な想像力をいち早く発揮したのはアイヌ民族の強制移住を前提とした明治新政府の入植プランナーたちだった。
 明治維新は日本の版図が「周辺」へ膨張する起点となったが、北のフロンティアほど革命政権の指導者たちを興奮させたものはなかった。たとえば岩倉具視は、「皇威(こうい)を海外に輝し候(そうろう)儀は、蓋蝦夷地(けだしえぞち)開拓著手より始まるものならん」と述べ、財政を度外視しても北海道開拓を最優先するよう訴えた。岩倉は東京と西京(京都)にならぶ天皇の都として「北京(ほっきょう)」建設をめざし、開拓使廃止に抵抗した。聖性の保持と民権派の排除のためにも、「皇国」の先端たる北海道の内地府県化は認めがたかった。
 新生日本のナショナル・プライドを北海道に託した岩倉の夢は、黒田清隆も共有していた。イデオロギーよりは開発独裁的な観点から、黒田は「一国二制度」を実質化すべく、現代の経済特区的な発想を掲げた。明治国家は外資導入に警戒が強く、経済ナショナリズムを内地で制度化していたが、黒田は北海道でのみグローバル市場との連結をむしろ歓迎している。こうした例外は軍隊(屯田兵)や紙幣、地方議会構想にもみられた。東京を核とする公式の「日本」との緊張はさまざまな次元で生じていたのである。
 これら建国期の「一国二制度」モデルは財政制約を無視しており、立法府(帝国議会)の開設で訴求力を失っていく。とはいえ、全北海道でまず外国人との雑居を先行する構想は、条約改正交渉でも選択肢の一つだった。仮に実現していれば、札幌は今日よりはるかに国際的な都市になっていたかもしれない。
 ともあれ、150年の日本列島の歴史における北海道は、領域内秩序の一体性という近代国家の理念型にとって「すわりの悪い」空間でありつづけてきた。そうした「すわりの悪さ」の積極的な可能性に光をあてることで、実際は複雑な多様性を抱えてきたこの広大な島しょ大の歴史的文脈も発見できるだろう。そこから浮かび上がる「日本」の近代は、北海道史を経ないそれとおそらく大きく異なってくるはずである。
<略歴>まえだ・りょうすけ 1985年東京都生まれ。東大大学院修了、博士(文学)。日本学術振興会特別研究員を経て2014年から北大大学院法学研究科准教授。「全国政治の始動―帝国議会開設後の明治国家」でサントリー学芸賞。35歳。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439569

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<ウポポイとわたし>10 地名の意味にも触れる観光を 道南バス社長・長谷川義郎さん=室蘭市

2020-07-12 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/11 09:50
長谷川義郎さん
 室蘭市出身で、子どもの頃から地域の歴史を学ぶ中でアイヌ文化に触れてきました。歴史を学ぶのは今も好きです。観光に携わる者として、旅行者には温泉や食だけでなく、地名の意味や歴史もぜひ感じ取ってもらいたいと常々思っています。
 ウポポイの開業に先立ち、アイヌ民族の少女らが活躍する漫画「ゴールデンカムイ」の登場人物が描かれた都市間バスを室蘭―札幌間で走らせました。SNS(会員制交流サイト)でも「乗ってみたい」と話題になっています。開業後はウポポイを経由して登別温泉―札幌間を往復する新規路線で走る予定です。周辺地域の盛り上げに一役買いたいです。
 2018年には、国と日高管内平取町から打診を受け、同町内を走る路線バスでアイヌ語の放送を始めました。「イランカラプテ(こんにちは)」で始まるあいさつや行き先の案内、乗車に当たっての注意などを流しています。「シートベルト」などアイヌ語に元々ない言葉は専門家の助言を得て翻訳しました。
 アイヌ文化は道内でも地域によってさまざまです。ウポポイに足を運んだのを機に、他の地域のアイヌ文化にも興味を持ってもらえたらと期待しています。(聞き手・今関茉莉)
◆「イランカラプテ」の「プ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/439566

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