北海道新聞 05/14 11:34 更新

アイヌ民族有志が普段着から民族衣装に「変身」する動画を制作し、インターネット上で配信している。新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続く中、別々の場所にいる出演者が1本のメークブラシをリレーしているように編集し、それぞれが衣装を披露。4月ごろから海外の先住民族の間で広がった取り組みで、出演者たちは「自分たちの文化を大切に思う気持ちを伝えたい」と願う。
普段着姿の出演者が手に持つブラシで画面を覆うと、明るくなった時には民族衣装姿に「変身」。出演者がブラシを放り投げると画面が切り替わり、そのブラシを受け取ったように見える次の出演者が、また民族衣装姿に―。
映像は3分21秒。札幌や日高管内平取町、東京など道内外の22人が出演した。4月29日からフェイスブックなどで公開し、再生回数は5万7千回に達した。
同様の動画は「パス・ブラシ・チャレンジ」と題し、4月ごろから動画投稿サイト「ユーチューブ」などに投稿され始めた。誰が始めたかは不明だが、カナダのイヌイット版やニュージーランドのマオリ版などがあり、アイヌ民族版の制作はその動画を偶然、見たアイヌ民族の団体職員川上竜也さん(44)=札幌市=が呼びかけた。
川上さんは「ステレオタイプなイメージではなく、日常の中でアイヌとしてのアイデンティティーを大事にしていることが伝わる」と、完成した動画に太鼓判を押す。
千葉県の会社員石沢藍さん(25)は妹の看護師沙依(さよ)さん(21)と、祖母の着物で出演。背面に施された文様をきれいに見せようと「テイク10くらい撮り直した」と笑い、「会ったことのない同じ民族の人と間接的に共演できてうれしかった」と振り返る。
新型ウイルスの感染が拡大する中、ネット上には「人に会えず寂しかったが、動画を見て温かい気持ちになった」との声も。平取町の主婦古川久美子さん(45)は「知人に会えない日が続いているので『私は元気だよ』と伝えたかった。いろんな地域の出演者が集まったので、着物の違いなどアイヌ文化の奥深さも感じてもらえるはず」と話す。
大トリを務めた札幌市の団体職員早坂由似さん(27)は、長男の結翔(ゆいと)君(5)と出演。伝統舞踊のステップを踏む由似さんの隣りで、クルクルと回りながら手をたたく姿はネット上でも「かわいい」と話題だ。由似さんは「普段の私たちを知ってもらい、アイヌ文化が自然に社会の中にあるようになるといい」と願う。
動画はフェイスブックページ(https://www.facebook.com/105594284468084/videos/261938708536050/?v=261938708536050)などで見られる。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/420792

アイヌ民族有志が普段着から民族衣装に「変身」する動画を制作し、インターネット上で配信している。新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続く中、別々の場所にいる出演者が1本のメークブラシをリレーしているように編集し、それぞれが衣装を披露。4月ごろから海外の先住民族の間で広がった取り組みで、出演者たちは「自分たちの文化を大切に思う気持ちを伝えたい」と願う。
普段着姿の出演者が手に持つブラシで画面を覆うと、明るくなった時には民族衣装姿に「変身」。出演者がブラシを放り投げると画面が切り替わり、そのブラシを受け取ったように見える次の出演者が、また民族衣装姿に―。
映像は3分21秒。札幌や日高管内平取町、東京など道内外の22人が出演した。4月29日からフェイスブックなどで公開し、再生回数は5万7千回に達した。
同様の動画は「パス・ブラシ・チャレンジ」と題し、4月ごろから動画投稿サイト「ユーチューブ」などに投稿され始めた。誰が始めたかは不明だが、カナダのイヌイット版やニュージーランドのマオリ版などがあり、アイヌ民族版の制作はその動画を偶然、見たアイヌ民族の団体職員川上竜也さん(44)=札幌市=が呼びかけた。
川上さんは「ステレオタイプなイメージではなく、日常の中でアイヌとしてのアイデンティティーを大事にしていることが伝わる」と、完成した動画に太鼓判を押す。
千葉県の会社員石沢藍さん(25)は妹の看護師沙依(さよ)さん(21)と、祖母の着物で出演。背面に施された文様をきれいに見せようと「テイク10くらい撮り直した」と笑い、「会ったことのない同じ民族の人と間接的に共演できてうれしかった」と振り返る。
新型ウイルスの感染が拡大する中、ネット上には「人に会えず寂しかったが、動画を見て温かい気持ちになった」との声も。平取町の主婦古川久美子さん(45)は「知人に会えない日が続いているので『私は元気だよ』と伝えたかった。いろんな地域の出演者が集まったので、着物の違いなどアイヌ文化の奥深さも感じてもらえるはず」と話す。
大トリを務めた札幌市の団体職員早坂由似さん(27)は、長男の結翔(ゆいと)君(5)と出演。伝統舞踊のステップを踏む由似さんの隣りで、クルクルと回りながら手をたたく姿はネット上でも「かわいい」と話題だ。由似さんは「普段の私たちを知ってもらい、アイヌ文化が自然に社会の中にあるようになるといい」と願う。
動画はフェイスブックページ(https://www.facebook.com/105594284468084/videos/261938708536050/?v=261938708536050)などで見られる。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/420792