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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

惜しみなく分かち合う精神『大地よ!-アイヌの母神、宇梶静江自伝』

2020-05-28 | アイヌ民族関連
レイバーネット日本(2020/5/28)

(宇梶静江著 春秋社 2020年3月 2700円+税)評者:佐々木有美
 コロナ禍の下で無為な日々を送りながら、何かしら心の拠り所を求めて出会ったのがこの本だ。著者の宇梶静江は、1933年北海道浦河郡のアイヌ集落に生まれた。小学校2年生のとき、まわりの子どもから「アイヌ」と言われ、そのことばが「刺さった」という。わけのわからない差別の初体験である。「思えばアイヌの『あ』の音、例えばアイスクリームという言葉にすら怯えさせられてきました」と彼女は振り返る。
 1899年に制定された「北海道旧土人保護法」は、アイヌの土地を奪い、アイヌ語の使用も禁止した。文字を持たないアイヌは、口伝で歴史を語り伝えてきた。「言語の否定は、アイヌの魂の否定 (著者)につながった。そうした中でも「両親の日々の生活ぶりがアイヌとは何かということを教えてくれました。太陽の神が見ているから間違った行いはしてはいけない、他の動物に負担をかけてはいけない、自然の恵みを全部とってはいけない、といったことを繰り返し、繰り返し教えてくれました」
 差別を受けながらも、美しいものが好きで花が好きだった少女は、両親や兄弟姉妹とともに、田畑で労働に明け暮れる日々を送った。一家は貧しかったが、敗戦後の日々、飢えた子どもたちを引き取り、朝鮮人の子どもたちにじゃがいもをふるまった。あるとき、著者が山で植林の仕事をしていた時、和人の同僚の妻が訪ねてきた。彼女は妊娠していた。「大きなお腹が半分ほど衣服からはみだしていて、おへそがまる見えでした。その様子を見て、私は何とも言えない気持ちになりました」。著者は、母親からもらって大切にしていた新品の服を、この女性に上げてしまった。そのことがわかってのちも、母親は一言も服のことを言わなかったそうだ。
 23歳ときの上京し、喫茶店勤めをしながら定時制高校に通う。結婚して子どもを育てる中、33歳で詩を書き始め、『詩人会議』でデビュー。詩は評価されるが、本当に書きたかったアイヌについては書けず、内心は揺れていた。1972年38歳のとき、朝日新聞に「ウタリたちよ、手をつなごう」を投稿。自らアイヌであることをカミングアウトし、同胞の結集を呼び掛けた。これは、東京のアイヌの実態調査や、「東京ウタリ会」の設立につながった。しかし、呼びかけに応える人々は少なく、彼女は「自身の内なるアイヌと決着をつけかねて」いた。*写真右=古布絵「赤い目のフクロウ」1996年(本書より)
 決定的な転機が訪れたのが63歳の時。古い布と刺繍を組み合わせた「古布絵(こふえ)」との出会いだった。「そうだ、アイヌの村に住むシマフクロウの眼を真っ赤につくり『アイヌはここにいるよ。見えますか?』という意味を込めて描こうと思った」。アイヌとしての表現を古布絵に見出した宇梶は、古布絵作家としてデビューし、海外も含め様々な地で展覧会を開いていく。求め続け、探し当てた人生である。
 本書を読んで最も感じたのは、著者や家族、そしてアイヌ民族の持つ、惜しみなく分かち合う精神である。アイヌは、大地、水、風、火などすべての自然に神が宿るとし尊重する。そして自然と対話し、分かち合う。コロナ禍も、自然を破壊し尽くした人間への、自然からの手痛いしっぺ返しなのだろう。3・11を通過してもなお何も変わらなかった日本。アイヌ民族(先住民族)の精神から、いま学ぶことは大きい。
*「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美、根岸恵子、杜海樹、ほかです。
http://www.labornetjp.org/news/2020/hon160

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白老 建設工事始まる 星野リゾート 界ポロト21年冬開業へ アイヌ文化や北海道の自然体感

2020-05-28 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2020/5/27配信
 総合リゾート運営会社の星野リゾート(本社長野県軽井沢町)は、白老町若草町1のポロト湖畔で高級温泉宿泊施設の建設工事を始めた。民族共生象徴空間(ウポポイ)の隣接地に整備する施設は42室を備え、アイヌ文化や北海道の自然を体感できる設計とし、「…
この続き:786文字
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https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/20224/

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川越宗一、伊吹有喜らの小説 7選 こんな時だからこそ欲しい言葉の力

2020-05-28 | アイヌ民族関連
CREA WEB 2020/05/27 17:00

 当たり前だと思っていた日常を失って戸惑っている人、困難に直面している人、自分が大切にしているものは何か、揺らぎ、悩んでいる人へ。
 こんな時だからこそ、より響く言葉があります。
 コロナ禍で変容してしまった社会のなかで、これからどう生きていくのか――。
 伊吹有喜の『ミッドナイト・バス』、 川越宗一の『熱源』など、 今、届けたい物語をセレクトしました。文藝春秋の文芸担当編集者からの熱いメッセージとともに――。
夜を越えて、進んでいくことを信じよう
『ミッドナイト・バス』
“恐れずに進めばいい。
 たとえ今が夜のなか、先も見えない暗がりのなかにいたとしても。
 そんな時をいくつも越えてここまでやってきた。そして今夜も越えていく。”
【本のポイント】
「人が生きていく中で、どうしても暗い夜を何度か通り過ぎることになります。でも、その夜を越えて、進んでいくことを信じようという作者のメッセージが、今、いろいろな意味で心にしみます」(担当編集)
【あらすじ】
東京での過酷な仕事を辞め、故郷の新潟で深夜バスの運転手として働く利一。ある夜、彼が運転するバスに乗ってきたのは、16年前に別れた妻だった。父親と同じく、仕事を辞めて実家に戻ってきた長男、夢と結婚の間で揺れる長女。一度ばらばらになったが、人生の岐路で向き合うことになった家族の再生と再出発を描く。
ミッドナイト・バス
著者 伊吹有喜
文春文庫 880円
懸命に生きる人々の物語
『風に舞いあがるビニールシート』
“平和はかくも美しい。ボケでもなんでもすばらしい。どうかこの美しさが、すばらしさが永久に続きますように。彼らがその下に敷いたビニールシートをしっかりと大地に留め、荒ぶる風に抗いつづけますように――。”
【本のポイント】
「難民を保護し支援する国連機関UNHCRで知り合い結ばれた里佳とエド。フィールドに出ることを自らに課し続ける夫と、彼を理解しようとしながらも二人の周囲にあたたかな世界を築くことを拒まれ悩む妻。
 自分にとって一番大切なもののために、懸命に生きる人の生き方はずるくて、弱くて、滑稽なところもあるけれど、あたたかくて力強い。
 それはお金なのか、仕事なのか、家族なのか、命なのか――。
 もっとも優先すべき価値観に直面している今だからこそ、心を打たれます」(担当編集)
【あらすじ】
才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられる人、犬のボランティアのために水商売のバイトをする人、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しむ人……。自分だけの価値観を守って、お金よりも大事な何かのために懸命に努力し、近づこうと頑張って生きる人々の1日を描いた6つの短編集。第135回直木賞受賞作。
風に舞いあがるビニールシート
著者 森 絵都
文春文庫 600円
大切な人との絆を描く短編集
「バルタン最期の日」(『モノレールねこ』所収)
“俺たちザリガニは、たとえ命よりも大切なこの両のハサミを失ったとしても、見事再生させることができる……脱皮することによって。
 人間もそうだといいのに、と思う。傷ついた心とか、無くしかけた自信とか。そういうものが、魔法みたいに、簡単に癒えてしまえばいいのに。”
【話のポイント】
「短編集に収められた『バルタン最期の日』の語り手はなんとザリガニ。お父さん、お母さん、小学生の息子という普通の家族の悩みを、台所の隅の水槽から見守るバルタン君。
 お母さんの「脱皮」による奮闘、そして再び前を向こうとする家族。彼らを救った小さなザリガニのことを思うと、勇気が湧いてくるのです」(担当編集)
【本のあらすじ】
小学生のぼくは、ねこの首輪に挟んだ手紙で「タカキ」と文通をする。ある日、ねこが車に轢かれて死に、タカキとの交流は途絶えたが……。表題作の「モノレールねこ」のほか、ザリガニの俺が、家族を見守る「バルタン最期の日」など、夫婦、親子、職場の同僚といった、日常にさりげなく現われる、大切な人との絆を描いたハートウォーミングな8編。
モノレールねこ
著者 加納朋子
文春文庫 560円
鎮魂と生への祈りをこめた長編
『ムーンナイト・ダイバー』
“私自身も、もっと深く知りたいと思いました。あの災害が、私たちにどんな衝撃を与え、どんな影響を残し、いまに至っているのか。また未来に対して、何を語り得るのか。”
【本のポイント】
「東日本大震災後、深夜に海に潜り、被災者たちの遺留品を回収することを続ける男が主人公の物語。福島の原発や帰宅困難地域なども取材して書かれた、『悼む人』の著者らしい3.11への鎮魂の書です。
 上記の引用文は、厳密にいうと本文からではなく、文庫化にあたり書いてもらった『失われた命への誠実な祈り〈文庫版あとがきに代えて〉』より。単行本刊行から3年経って、思うところを書いていただいたもの。
 小説はもちろんですが、この〈あとがき〉まですべて読んでほしい熱のこもった文章で、『あの災害』を『コロナ騒動』に置き換えても読めると思います」(担当編集)
【あらすじ】
ダイビングのインストラクターをつとめる舟作は、立入禁止の海域で被災者たちの遺留品の引き揚げを行っていた。「あの日」がまだそのまま残された海底。ある日、遺族の一人である女性が現れ、なぜか亡くした夫の指輪を探さないでほしいと言う──。3.11後のフクシマを舞台に、生への祈りをこめた作品。初出は『オール讀物』1000号記念となる2015年8月号。
ムーンナイト・ダイバー
著者 天童荒太
文春文庫 640円
アイヌの戦いと冒険を描く歴史大作
『熱源』
“弱きは食われる。競争のみが生存の手段である。そのような摂理こそが人を滅ぼすのです。だから私は人として、摂理と戦います。人の世界の摂理であれば、人が変えられる。”
【本のポイント】
「明治から太平洋戦争の終結まで、ある樺太アイヌとポーランド人の政治犯二人を主人公にした本作は、第162回直木賞を受賞しました。
 いわれなき迫害と差別を受けても力強く生きた人々の矜持に、胸が熱くなります」(担当編集)
【あらすじ】
樺太で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われたのち、天然痘やコレラの流行で妻や友人を亡くした彼は、名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。一方、リトアニアに生まれたブロニスワフ・ピウスツキ。ロシアの同化政策により、母語であるポーランド語を話すことを許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。文明を押し付けられ、アイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く──。
熱源
著者 川越宗一
文藝春秋 1,850円
『熱源』特設サイト
https://books.bunshun.jp/sp/netsugen
家出少女たちの物語
『里奈の物語』
“みんななんでか、女が男より強いって気づくんだよ”
【本のポイント】
「ベストセラーとなった『最貧困女子』をはじめ、長年にわたり、裏社会、触法少年少女を取材してきた筆者、初の小説です。
 これまでのルポでは書ききれなかったこと──主人公の家出少女・里奈が怒り、叫び、笑い、泣きながら、路上を駆け抜けていく物語です。
 いささかハードな本かもしれません。が、この状況下、私の脳裏をよぎったのは、里奈たちはどうしているだろうか、ということでした。
 親に棄てられ、施設で育ち、中学卒業とともに家出し、都会の裏通りで、必死で生き抜こうとする少女たち。もちろん、住民票も保険証も、帰る家もありません。
 著者の鈴木大介さんは、そうした少女たちを、いわゆる社会の底辺に生きる弱者としてではなく、喜怒哀楽を持った人間として描こうとして、小説という形式を選びました。
 今回の騒動のなかで、彼女たちの姿を見過ごさないでほしい。
 引用の一文は、長年の取材活動から、著者自身が体感した言葉だと思います。生きづらい今を生きている女性たちへの、この熱いメッセージが届いてほしい、と切に願っています」(担当編集)
【あらすじ】
北関東の地方都市に生まれた里奈は、親に棄てられ、小学校にもろくに通えず、児童養護施設にひきとられる。中学の卒業式を待たずして地元を棄て、東京近郊を転々としながら売春を生業に生き抜き、ついには十数名の家出少女を統括する売春組織のリーダーになりあがるが──。
里奈の物語
著者 鈴木大介
文藝春秋 1,900円
八咫烏が支配する異世界でのファンタジー
『烏に単は似合わない』
“これだけは言っておこう。私は、悪意が無ければ、全てが許されるのだと知っている者を、決して許すことは出来ない。許すべきではないと思っている”
【本のポイント】
「20歳という史上最年少で松本清張賞を受賞した、阿部智里さんの本作品はあらゆる意味で“予想を裏切る”問題作です。
 四人の貴族の姫君たちが、正妻の座を争った先には何があるのか――。
 現在累計130万部を超える大ヒットとなっている『八咫烏シリーズ』の原点を読み、さらにその先へ進めば壮大なファンタジー世界が待っています」(担当編集)
【あらすじ】
人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」では、世継ぎである若宮の后選びが今まさに始まろうとしていた。朝廷での権力争いに激しくしのぎを削る四家の大貴族から差し遣わされた四人の姫君。肝心の若宮が一向に現れないまま、次々と事件が起こる。侍女の失踪、謎の手紙、後宮への侵入者……。后選びの行方を不穏なものにしようと企んでいるのは果たして四人の姫君のうち誰なのか?
烏に単は似合わない
著者 阿部智里
文春文庫 700円
『烏に単は似合わない』特設サイト
https://books.bunshun.jp/sp/karasu
文・撮影=文藝春秋
https://news.goo.ne.jp/article/crea/trend/crea-26584.html

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ゴールデンカムイ:サッポロビールとコラボ 杉元、白石、牛山のゴールデンカムイ缶 大きな牛山缶

2020-05-28 | アイヌ民族関連
MANTANWEB 2020/05/27 12:00

 野田サトルさんのマンガが原作のアニメ「ゴールデン「ゴールデンカムイ」とサッポロビールのコラボビジュアル(C)野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
カムイ」とサッポロビールがコラボすることが5月27日、分かった。第3弾となるコラボで、杉元佐一、白石由竹、牛山辰馬がデザインされたサッポロ クラシックのゴールデンカムイ缶が、7月21日から北海道で数量限定で販売される。
 杉元、白石デザイン缶は350ミリリットルで、牛山デザイン缶は500ミリリットル。杉元、白石がデザインされたオリジナルデザイン乾杯タンブラーをプレゼントする「ゴールデンカムイで乾杯ッ!!」も実施する。
 「ゴールデンカムイ」は、2014年から「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載中のマンガ。かつて日露戦争で活躍した“不死身の杉元”が、北海道で死刑囚が隠した埋蔵金の手掛かりをつかみ、アイヌの少女らと共に冒険を繰り広げる姿を描いている。テレビアニメ第1期が2018年4〜6月、第2期が同年10〜12月に放送された。第3期が10月から放送される。
https://news.goo.ne.jp/article/mantan/entertainment/mantan-20200526dog00m200055000c.html

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炭治郎に見えた「隙の糸」とは…? 忍耐、我慢、努力の積み重ねで得られる“大きな武器”/『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方③

2020-05-28 | 先住民族関連
ダ・ヴィンチニュース 2020/05/27 19:00

『『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方』(井島由佳/アスコム)
マンガ『鬼滅の刃』の炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助が、どんどん強くなれるのはなぜか…。大切な人を守るため、敵を倒すため。思い通りにならないことがあっても、投げ出さずに立ち向かう。『鬼滅の刃』から学べる強い心のつくり方を、印象的なセリフとともにご紹介します!
積み重ねた先に見えてくる「隙の糸」とは?
 積み重ねることで得られるものは、磨かれた技術と強くなった心だけではありません。その経験があったからこそわかるようになる「特別な感覚」も身につきます。
 たとえば南米のアマゾンに住む先住民族には、私たちの常識では考えられない、人間離れした感覚を持っている人たちがいます。
 静まり返ったジャングルの中で目を閉じ、耳をすまし、獲物のいる方向を的確に言い当てたり、川の水面の様子や風の吹き具合から雨が降ることを予言したり……。
 これらの感覚は、一朝一夕に習得できる能力ではありません。
 積み重ねた経験から身についた、その人たちにしかわからない、まさに「特別な感覚」です。
 鱗滝から与えられた最終課題の大きな岩。これを斬ることに成功したとき、炭治郎はその要因について、心の中で次のように分析しています。
「俺が勝った理由 〝隙の糸〟の匂いがわかるようになったからだ」
(1巻 第6話「山ほどの手が」より)
 この〝隙の糸〟とは、相手の急所や弱点を意味する炭治郎ならではの表現で、実際には存在しない糸が見えるという独特の感覚のことを指します。鬼殺隊に入隊し、さまざまな鬼と戦うときも何度となく「隙の糸が見えた」という心の声が『鬼滅の刃』の作品内で描かれてきました。
 この隙の糸こそが、経験を積んだからこそ得られる感覚。
 いわば、炭治郎だけにある直観力です。
 心理学において人間の知能を説明するとき、「結晶性知能」と「流動性知能」の2つを示すことがあり、隙の糸のような感覚は結晶性知能と言えるでしょう。
 説明できないけれども出てくる答え。
 経験を積み重ねることで生まれてくる知恵。
 俗にいう、おばあちゃんの知恵袋。
 このように、問題を解決するためにこれまでの知識を応用させるものが結晶性知能で、学校での勉強やさまざまな経験、文化の影響を強く受けます。
 この知能は年齢を重ねることで増えるといわれ、いくつになっても維持することが可能だといわれています。
 一方の流動性知能とは、新しい環境や場面にすばやく適応していくことのできる知能で、情報を処理する力、計算する力、暗記する力などがこれに含まれます。この知能は年齢とともに衰えるといわれ、若者のほうが優れているとされます。
 作中で描かれている炭治郎は十代後半にも満たない若者ですが、厳しい鍛錬によって隙の糸という結晶性知能を向上させることができました。そして、この能力が、強力な鬼たちを次々に撃破していく大きな武器になります。
 炭治郎にとって禰豆子を人間に戻すことが最大の目的であり、鬼舞辻という〝ラスボス〟にたどり着くためには、降りかかってくるさまざまな問題(鬼)を解決していく(倒す)必要があります。
 隙の糸は、その名の通り問題解決の糸口。
 義勇や鱗滝に会うまでは持ち合わせていなかった感覚です。
 この隙の糸をめぐる一連のエピソードから得られる教訓は、忍耐、我慢、努力は決して無駄にならず、乗り越えた者にしかわからない「特別な感覚」、問題を解決する能力を身につけられるということです。
 たくさんの学びと経験などから発達していく結晶性知能は、高めれば高めるほど失敗は減り、ものごとがうまく運ぶようになります。強い自分をつくる大きな武器になるのです。
https://news.goo.ne.jp/article/ddnavi/bizskills/ddnavi-622068.html

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長倉洋海さんの写真絵本シリーズ最終巻 タイトル「さがす」に込めた思い

2020-05-28 | 先住民族関連
(GLOBE+ 2020/05/27 13:00

玉(ギョク)の市場で出会った少年(中国・新疆ウイグル自治区)
アフガニスタン抵抗運動の若きリーダー、南アフリカの鉱山労働者、南米アマゾンの先住民……。世界の国々でひたむきに生きる人間の姿を記録してきたフォトジャーナリストの長倉洋海さんが、今を生きる子どもたちと、かつて子どもだった大人たちに向けて発行してきた写真絵本シリーズが、第5巻となる「さがす」(アリス館、6月5日発売)で完結します。「世界は広くて美しいということを伝えたい」と語る長倉さんにお話を伺いました。(写真・長倉洋海 聞き手・後藤絵里)
人生は大切なものを探す旅
――シリーズは順に「いのる」「はたらく」「まなぶ」「つながる」「さがす」。なぜこうしたテーマを選んだのですか。
長倉洋海さん(以下、長倉) 最初の「いのる」は写真展がきっかけで出版社から話がありました。2冊目の「はたらく」は僕自身がやりたかったテーマ。世界を旅する中で、家族を支えるために働くたくさんの子どもたちと出会いました。その姿が子どもの頃に家業を手伝っていた自分と重なったんです。そうして人が生きることをいろんな側面から、子どもの姿を通して描きたくなった。すべてに共通するテーマは「生きる」です。
戦乱で焼失し窓枠だけが残った家。それでも人は生きていく。カモミールが咲き乱れる庭には子どもたちの遊び声が響いていた(コソボ共和国)
小学校高学年向けですが、大人も読める本を意識しています。子どもと大人の境界線って曖昧ですよね。「いつ大人になったの?」と言われて「○年○月○日です」って言えないでしょう。僕らはいつ大人になったんだろう。いつ子どもを忘れてしまったんだろう。そんなことを思いながら、子どもがふとした瞬間に見せる大人の表情、大人の中にある子ども心みたいなものを撮ってきた。子どもって相手の職業や国籍で壁を作らない。お金持ちだろうが大臣だろうが嫌な人は嫌。そんなところも面白いよね。
戸板が外れて風が吹き込む海沿いの粗末な家で、家族は「私たちのクーラーよ」と笑った(スリランカ)
――生きることをテーマにしたシリーズの最終巻は「さがす」なのですね。
長倉 人生は大切なものを探す旅のようなものだから。遠くに出かけて見つける人もいるし、すぐそばで見つけられる人もいる。いま見つからなくても、誰かが何かを大切にする姿を心に留めておけば、時を経て人生のステージが変わるときに気付くかもしれない。世界を回り、「生きるって何だろう」と考えてきた僕なりの答えが「さがす」でした。
ただ、どこから読み始めてもいいんです。働き、祈り、人や世界とつながり、ふたたび探しに行ってもいいし、つながることから始めてもいい。新型コロナ感染症対策で活動が制限され、人と会えなかったり、話ができなかったりすることがこんなにも空しいものかと痛感している人も多いと思います。生きるためにつながり、つながるために学び、探すために祈る。生きるということは円のようにぐるぐる回っているものだと思う。
クラウドベリーを採る極北の先住民族ネネツの家族(ロシア)
――「生きるってなんだろう」を探し続けて、わかったことはありますか。
長倉 人はみな、貧しい人もお金持ちも、幸せになりたくて生きているということ。どうすれば幸せになれるのかはわからずにね。
エルサルバドルの難民キャンプで生まれ育ったヘスースという女の子を1歳から結婚するまで被写体として追い続けました。彼女の境遇を、「難民キャンプが故郷だなんてかわいそう」と思うかもしれない。でも彼女は結婚式で、難民キャンプは人生の思い出が詰まった宝石箱なのだと言っていました。
誰しも生きてるからには幸せになりたくて、そうなれる場所や手段を探し続けていますが、幸せの総量は人や境遇によってそれほど変わらないのかもしれない。小さな幸せでもたくさんに感じることもできるし、他人から見ればちょっとの不満でも、それにばかり目がいって幸せを感じられないこともある。人は生まれる場所や境遇を選べない。そこでどう生きるかが大事だと教えられたんです。
叔父さんの農園で働くヘスース(エルサルバドル)
海の底のヒラメのように
――小さな子どもが家族の中で大切な役割を担っているシーンが多いですね。
長倉 僕の実家は雑貨店を営んでいて、僕も子どもの頃から店を手伝っていました。あの頃は嫌で仕方なかったけどね(笑)。でも生きるためには働かなければならない。家族の生活が安定しなければ学校へも通えない。市場の物売りにしても、鉱山の採掘者にしても、だれかが働いてくれるおかげで人々の生活が成り立っている。世界各地で出会った子どもたちは、働いて家族を助け、誰かの役に立っていることに誇りを持っていた。
あの子たちも学校に行きたいと思う瞬間があるでしょう。大人になってからチャンスが訪れるかもしれない。僕は、働くことと学ぶことを行ったり来たりすればいいと思うんです。先の先まで計画しても、計画通りいかない可能性はある。世の中いつどう変わるかもわからない。海の底のヒラメのように世界をぐるりと見渡せば、いろんな生き方が見えてくる。
ちょっぴりの勇気と、喜びや幸せを感じる力があれば、世界に飛び出していける。それが生きることでもあるんだね。
学校から帰り、山から降りて来た家畜を一階に入れる(アフガニスタン)
――子どもの頃に知っておけばよかったと思うことはありますか。
長倉 特にないなあ。僕が人生についてこんなふうに思えるのは、年齢を重ねていろんな経験を積んだから。小さい頃は(出身地の)釧路が嫌で、早く外に出て自分の居場所を見つけたいと思っていた。もしあの頃に幸せは自分の中にあると気付いていたら、釧路を出なかっただろうし、世界を見ることもなかったでしょう。色々な「探しかた」があると思いますが、僕には外に出ることが必要でした。
シリーズを通して伝えたいのは「世界は広くて美しい」ということ。たとえあちこち旅できなくても、誰にでも想像する力がある。1枚の写真や絵から想像を膨らませ、自分の根っこに栄養を与えて、いつか花を咲かせてほしい。10歳、12歳の子どもたちに、67歳のおじさんが言いたいことのすべては伝わらないかもしれないけれど、クエスチョンが残ればいいんです。ある日、写真を撮るヒゲのおじさんが学校に来て話をしていった、すごく楽しそうだったけど、なぜだろう――と。大人になった時、クエスチョンの答えに気付く瞬間がくるかもしれない。そういう種をまければいいと思っています。
生きているあいだ、探しつづける(スリランカ)
長倉洋海さんプロフィール
1952年、北海道釧路市生まれ。同志社大法学部卒、通信社勤務を経て1980年に独立。アフガニスタン抵抗運動の指導者マスードや難民キャンプの少女ヘスースらを長期間追い続ける等、人間に迫る独自の視点が高い評価を得る。2006年にフランスの国際フォトジャーナリズム祭に招かれ写真展「マスード―敗れざる魂」を開催。代表作に「マスード 愛しの大地アフガン」「サルバドル救世主の国」など。近著に「女、美しく…わが旅の途上で」(エー・ティー・オフィス)。
「さがす」(アリス館)
https://news.goo.ne.jp/article/globe_asahi/world/globe_asahi-13401934.html

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「グッチ」がコロナ禍で増加している暴力から女性と少女たちを救うためのキャンペーン開始

2020-05-28 | 先住民族関連
WWD 5/27(水) 16:00配信
「グッチ(GUCCI)」によるグローバルプロジェクト「チャイム フォー チェンジ(CHIME FOR CHANGE)」は、ケリング ファウンデーション(Kering Foundation)と協力して、新型コロナ禍で増加している女性への暴力を含むジェンダーの不平等に立ち向かうキャンペーン「#StandWithWomen」を立ち上げた。同キャンペーンはイタリアやイギリス、アメリカ、ブラジル、中東などに拠点を置く、女性と少女を支援する非営利団体の資金拡大を目的としたもの。この活動への参加は、アメリカのNGO団体「グローバル ギビング(Global Giving)」が運営するクラウドファンディングサイト内から可能だ。
国連機関「UN Women」と世界保健機関(WORLD HEALTH ORGANIZATION、WHO)によると、新型コロナウイルスの感染拡大によって世界的に家庭内暴力(以下、DV)の事例が増加しているという。これはグーグル トレンド(GOOGLE TRENDS)のデータでも確認されており、5月2日時点でDVに関連する検索が143%増加している。
この状況を受け、サルマ・ハエック・ピノー(Salma Hayek Pinault)「チャイム フォー チェンジ」共同発起人兼ケリング ファウンデーション理事は、20日のキャンペーン開始に合わせてメッセージ動画を公開。医療や他のリソースへのアクセスが制限されている今、有色人種、トランスジェンダー、先住民族、障害者を含む全ての女性の安全と健康、正義のために立ち向かう姿勢を明らかにした。そして、「今こそ世界中の女性と少女の健康や安全、人権を守るために共に取り組むべき。私たちはジェンダーによる暴力を廃絶するため、あらゆる場所にいる女性と連帯している。ジェンダーの平等を求める長い闘いの中で築いた進歩をここで止めてはいけない」と語った。
ケリング ファウンデーションはこれまでも中国、イタリア、フランス、アメリカでの新型コロナ感染拡大による被害への支援を呼びかけ、「グッチ」は「団結して共に危機に立ち向かおう(We Are All In This Together)」というメッセージをインスタグラムの公式アカウントなどに掲載し、200万ユーロ(約2億3400万円)を寄付した。また「#YouAreNotAlone」という啓発キャンペーンにも取り組んでおり、DVサバイバーの女性に情報などを提供したり、支援を受けられる欧米の専門機関を紹介したりしている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/496797cd3516fd2bd3d56acc508ab77278eac6ae

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