ブナの林に分け入ると、
そこにはブナの世界が広がっていた、
存在感のある木が、動き出しそうに見えてくる、
初めて、ここに迷い込んだ人は、木の精を思うのであろうか、
何かを語りかけているが、理解できないもどかしさ、
倒れまいとする、そのけなげさに、
これ程の苦しみを、何故自ら背負うのか、と思うばかりに、
性格の違う二人、しかし二人は一人、
後から後から、集まってくる、どこから来るのか、
天空に全身を差し伸べ、叫んでいるかのよう、
見つめる者、
自分の重みで倒れてしまった者も、
心の中から外を見れば、
叫び、
朽ち果てたかのような、しかし、若葉が、
しかし、ブナの林は、淡い日のひかりを受けて、誰かが来るのを待っている。