2月8日(水)
最近また寒くなってきました。風邪もはやっているようです。みなさんも気をつけて下さい。僕は去年の夏海で一杯太陽を浴びたので今年は大丈夫そうです。前の年の夏に一杯海風や太陽を浴びた時はいつもなぜか風邪をひきません。うそだと思う方は今年の夏にためして見てください。きっと効果があると思います。
さて今日は第3弾の仲間の話ですが、M氏の話をしたいと思います。あれはもう11年前の話ですが私が東京から転勤で、ある県の営業のマネージャーとして赴任した時の話です。システム営業を担当していたM氏は昔ながらの実直なおじさんでした。もともと工事屋さんだったので営業の経験は浅く、研修で学んだことを着実に実践していましたが、あまり大きなシステムは販売した経験がありませんでした。ある時ちょっと大きな入札案件の情報を入手してきて、どうしましょうと相談を受けました。もちろん応札するさと言ったところ、この案件は既にどこかの会社が提案していたもので入札とは言っても勝ち目はないから・・・。でもチャレンジしなければいつまでたってもノウハウは身につかないよ。ダメもとで応札するからと、SEですぐに見積もってもらうようにしながら、ところで相手の会社はどこなのかわかりますかと言ったところ”わしゃ入札なんて初めてだし説明会に来ていた会社はわかるけどどこが提案していたのかもわからん”とのことでした。そこで僕はつい冗談で、”初めてでわからないんだったら来ていた会社に片っ端から、入札の仕方を聞いてみたら、なんかわかるかもしんないよ”と言ってしまいました。でもまさかほんとうに彼が聞くとは思っていませんでした。ところが彼は自席に戻り片っ端から電話をかけたようで、”○○、わかりましたよ”と僕の所に飛んできました。”F、N、M、O社は結構親切に応対してくれたんだけどH社とT社は応対の途中で電話を切られたり、そんなことを聞くわしに冷たい反応をしたので、きっとこの2社のどちらかだと思います。”僕はおどろきました。多分僕だったらそんなこと聞けない人間なので彼の純粋さや真摯な一生懸命さがうらやましく思いました。きっと利害に関係ない会社の人達の親切心を引き起こし、そんな差がでたのかもしれません。とにかく僕の会社が応札することは明白に相手に伝わったようです。そして応札しない会社から少しは情報をもらうこともできました。でもそのあとが大変でした。応札の条件を追加され、□□の資格を持った人の名前を提出しろとか○○工事の資格を持っていることを示す書類を提出しろとなり、SEは大慌てとなってしまいました。とにかく東京の本社で書類の印鑑をもらいに行ったりしてなんとかぎりぎりで提出書類を間に合わせました。そしていよいよ価格をいくらにするかをトップと打合せしたのでした。しかし我々が参戦したことにより価格は予算より相当下げられることが予想され、まず勝ち目のない戦いは目に見えてました。トップには初めての入札ですし、今回M氏はいろんなことを勉強してここまで持って来たので勝負にこだわらずやらせてくれるようお願いしました。当時のトップO氏は”おもしれぇじゃねぇか。お前いくらだったらいいと思うのか””赤字になるけど、このくらいでいかせて下さい”
”よし、わかった。やってみろ。そんなの心配すんな。”と言っていただき入札に臨んだのです。しかし、結果は2番札で負けました。あれだけ一生懸命やったM氏のためにも、また赴任したばかりの自分のためにも取りたかったのですが一番札のH社は予算より大幅な値引き価格で取ったのでした。M氏には”僕らも赤字だったのだからきっともっと相手も赤字だよ。でも次には勝とうな。”となぐさめながら、僕もトップのO氏に飲み屋でなぐさめられていました。
それから2年後M氏は2億数千万円の入札案件を黒字でとることになるのでした。彼の真摯な姿勢はにがい経験をバネに、もっと大きな花を咲かせたのです。彼は決してよく弁の立つ男でもなく新しい技術を持っている訳でもありませんが、お客様のところで素直にものを言う姿勢や誠実さが、周りの人を動かし、最後にはいい結果をもたらしたのだと思います。失敗は成功の母とはよく言ったものです。負けを恐れずチャレンジしてみましょう!ただ周囲に見守ってくれる存在があれば最高にラッキーでしょう。僕も当時のトップのO氏にはいまでも感謝しています。