東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

広重画「浄るり町繁華の図」より②

2010-04-07 21:32:00 | 錦絵

2007_0101_000000p1010271_2 丸〆猫についての記事で、このシリーズの錦絵1枚を採り上げたところ、他の絵についても、というご要望がありましたので、、、。

簡単なところから、、、。

画面左上は「水売り」商売?碁石の容器が噴き出す水に踊っているからこれは「祇園祭礼信仰記」の金閣寺の場。黒い裃の男が此下藤吉でお客は雪姫と松永大膳ということになる。昔の水売りの「ひゃっこい」という売り声で商売しているのだろうか?

右上は志渡寺のもじり。果物を売っているのは森口源太左衛門という悪人。小坊主は源太左衛門に父を闇討ちにされた坊太郎。その左は坊太郎の乳母でお辻。坊太郎のために断食しているが、果物だけは食べているというあらすじから果物屋にしてあるのが皮肉。浄瑠璃外題は「花上野誉碑」。

中段中央の下駄屋は遊女梅川と忠兵衛の実父、孫右衛門。有名な「新口村」。外題は「恋飛脚大和往来」。雪道でつまずいた孫右衛門の鼻緒が切れ、梅川がこよりですげるという場面からきている。

その左の祭文売り?男の被りに「源」の字があり、女は風呂敷包みを前で結んでいるので、煙草屋源七実は坂田蔵人行綱と荻野屋八重桐?源七はお姫様の気散じに歌を歌わされるが、外を歩いていた恋文代書渡世の八重桐がその歌声を聞いて昔の恋人だと知るというストーリー。八重桐は金太郎(坂田金時)のお母さんになります。外題「嫗山姥」。

右下は菊を売っているし、扮装も舞台そのもの「菊畑」の場(鬼一法眼三略巻)。左の若衆は奴虎蔵実は牛若丸。菊を眺めているのが鬼一で、右に立っているのがその娘、皆鶴姫。

左下は漁師が魚を売っている。立っている男の提灯に「治」とある。ほとんど上演されないし、見たことがない演目なんですが、「阿漕浦」というのがある。それかも、、。ちょっと自信がありません。

中段右、団扇を売っている。こういう演目も最近出ません。昔の役者絵を調べてみたら、これは「姫小松子日遊」という浄瑠璃で、売っているのがお安、立っているのが俊寛僧都であらすじでは二人が両手に手鏡を持って揉み合うという場面らしいのですが、詳しいことはわかりません。手鏡から形の似ている団扇売りにパロっているわけですね。この二人の人形は中京地方の古い土人形にあるのを見たことはあります。昔は人気のあった演目なのかもしれません。

この錦絵シリーズの「丸〆猫屋」の描かれている図についてはこちらをご覧ください。