広重画 「浄るり町繁華の図」 (嘉永5年)改めて全体を見てみます。描かれている人物が全て、浄瑠璃の登場人物を市井の物売りや大道芸人に「見立て」てあるのが楽しい。
左上が「軍法富士見西行」の西行と遊女で丸〆猫屋。
右上は「妹背山女庭訓」の杉酒屋の娘、お三輪が焼酎を売っていて漁師鱶七実は金輪五郎が買いに来ている。
中段左は「本朝廿四孝」筍掘りの場の慈悲蔵が筍を売っていて横蔵と越路が買っている。
中段右は「伊賀越道中双六」の唐木政右衛門玉煙草を売っているのは饅頭のもじり?巡礼姿のお谷が買っている。
下段右は「双蝶々曲輪日記」の濡髪長五郎と放駒長吉。二人の名前が長だから双蝶々という外題なのは有名だけれど、二人揃って蝶々のおもちゃを売っている。この手のおもちゃは確かにあったらしくて、雑司ヶ谷の鬼子母神にもあったらしい。
右下から二段目は「神霊矢口渡」の頓兵衛が売っているのはふのりだろうか?その脇に娘のお舟。
右最下段は「国姓爺合戦」の和藤内と錦祥女。紅流しといって、錦祥女が胸を刀で突いて自害して川に流れる血を見て「南無三紅が流るる」という名台詞なのが、錦祥女のやっているのはマーブリングの紅流し。こういう商売ってあったんですね、、。覗いているのが和藤内。石橋の上から川面を覗いているのと同じような姿。
どの登場人物も、浄瑠璃のあらすじに因んだものを売ったり見せたりしているところがミソですね。他に6枚あるんですが、全部は大変なので、この辺で、、。
丸〆猫に関する記事は①から⑭まであります。お時間ありましたら通してご覧くださると幸いです。
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