丸〆猫についていろいろと記してきたのですが、丸〆は猫だけではないんですね。画像は一見何の変哲もない今戸焼の裃狐の土人形なのですが、(しかし、狐にしては口先が尖っていないので猫?)振袖に描かれた紋をご覧ください。丸〆と描かれています。顔料などから明治の出来だと思います。また型全体のフォルムから、今戸人形の福助の型を修正して狐(やっぱり猫?)にしたものではないかと思います。
この人形には丸〆の刻印はありませんが、印だけ描かれています。また明治の出来ですから、これより古い丸〆猫はあったわけです。しかし考えてしまうのは、、。
①丸〆猫が丸〆印の発祥なのか?「丸〆」という言葉が先に流行っていて、印のデザインとなり、遂に招き猫に合体したのか?
②だとすれば招き猫に限らず、「丸〆」の印はいろいろなものに使われていたのか?
「占子のうさぎ」という言葉があります。歌舞伎の滑稽な演目のひとつに「法界坊」というのがあって、劇中に「しめこのうさうさ」「しめこのうさぎ」というおふざけがあります。占子は〆子であってもよいわけですね。ラッキーな時「〆た」とか「しめしめ」と言いますね。 古いものではないと思いますが、端歌の「木遣りくずし」の歌詞に「君は小鼓調べの糸よ しめろ しめつ緩めつ おや音をいだす」という件があって「締める」ですけど「〆る」とも書くことができます。「〆太鼓」というのもあります。清元の舞踊に「神田祭」という演目があります。(初演天保10年)外題「〆能色相図(しめろやれいろのかけごえ)」、、、これらは単に言葉としての「〆」なんですけど、、。
旧家や老舗、商標、屋号で丸〆というのもありますね。呉服屋、日本料理屋、米屋などなど。これらのデザインは「丸〆猫」の〆と同じだったりします。ただ、ネットで見たところ一番古いので創業100年。しかしネットには引っ掛からない本当に古い旧家や無くなってしまった老舗もあったかもしれません。自分の家の家財道具につける焼き印というものがありますね。丸〆、¬〆というのもあります。
ここまで来ると、確実に嘉永5年より古いものがまだ確認されないんで(猫に限らず)、卵と鶏どちらが先か堂々巡っているだけのようです。どなたかご存じの方、お教えください。
「丸〆猫」についてはとりあえず、ここで〆たいと思います。
丸〆猫に関する記事は①から⑭まであります。お時間ありましたら通してご覧くださると幸いです。
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