生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信1035 ・「抵抗の意思を示す時」――大江健三郎

2011-10-08 06:27:21 | 日記
 
 おはようございます。今年のノーベル平和賞は、アフリカ・中東の3人の女性に決定。「アラブの春」を主導したリベリアはアメリカから解放された奴隷が作った国。国名のリベリアは「自由」の意。受賞者のサーリーフさんは、投獄されながらも闘い続け、アフリカ初の女性大統領へ。日本を追い抜く「真の民主主義」が力をつけつつあるように見えます。
 生き生き箕面通信1035(111008)をお届けします。

・「抵抗の意思を示す時」――大江健三郎

 「さようなら原発 5万人集会」が9月19日に東京の明治公園で開かれました。その集会でスピーチした呼びかけ人のひとり、大江健三郎さんのスピーチの内容が、「世界」(11月号)に掲載されましたので、本日の「箕面通信」はそれを転載することにしました。

・抵抗の意思を示す時  大江健三郎(作家)
 二つの文書を引いてお話します。第一は、私の師匠渡辺一夫(仏文学者)の文書です。
 〈「狂気」なしでは偉大な仕事はなしとげられない、と申す人々も居られます。それはうそであります。「狂気」によってなされた事業は、必ず荒廃と犠牲を伴います。真に偉大な事業は「狂気」に捕えられやすい人間であることを人一倍自覚した人間的な人間によって、誠実に地道になされるものです〉
 この文書はいま、次のように読み直されうるでしょう。
 〈「原発」の電気エネルギーなしでは偉大な事業はなしとげられない、と申す人々も居られます。それはうそであります。原子力によるエネルギーは、必ず荒廃と犠牲を伴います〉
 私が引用します第二のものは、新聞に載っていた談話です。原子力計画をやめていたイタリアが、それを再開するかどうかの国民投票を行い、反対が9割を占めた。それについて日本の自民党の幹事長が、こう語ったそうです。
 〈あれだけ大きな事故があったので、集団ヒステリー状態になるのは、心情として分かる〉
 もともとイタリアで原子力計画がいったん停止されていたのは、25年前のチェルノブイリの事故がきっかけです。それから長く考えられたうえで、再開するかどうかを、国民投票で決める、ということになった段階で、フクシマが起こったのです。幹事長の談話の続きはこうでした。
 〈「反原発」というのは簡単だが、生活をどうするのかということに立ち返ったとき、国民投票で9割が「原発」反対だから、やめましょう、という簡単な問題ではない〉
 「原発」の事故が、簡単な問題であるはずはありません。フクシマの放射能物質で汚染された、広大な面積の土地をどう剥ぎ取り、どこへ始末するか。すでに内部被ばくしている大きな数の子どもたちの、健康をどう管理するのか。
 いま、単純なほどはっきりしていることは、イタリアではもう決して、人間の「いのち」が「原発」によって脅かされることはなく、私らは、これからもさらに深刻にそれを恐れねばならぬ、ということです。
 私たちは、それに抵抗する意思を持っている。私らはその危機にあることを、さきの発言者のように想像力も知識もない政治家たちに、経団連の実力者たちに、はっきり知らしめねばなりません。
 そのために、私たちに何ができるのか。私たちには、このような民主主義の集会、市民のデモンストレーションしかないのです。
 しっかりやりましょう。

 *今日から3日間、千里中央のコラボ(千里文化センター)で
     「脱原発ポスター展・豊中」が開かれます。入場無料です。
  「猫の手工房の坂本洋さんがひとりで頑張って開催までこぎつけました。やったね!
   より詳しくは、下のアドレスをクリックしてください。僕も朝、見に行ってきます。

http://homepage2.nifty.com/yous/catshands/nekonotekohboh/no-nukes-posterten.htm