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板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

依存症ビジネス

2015-01-12 10:51:50 | 

  新年の初売セールの日、神戸・元町を歩きましたが、複数(7~8個)の大丸のショッピングバックを持った人と多くすれ違いました。お買い得なのは理解できますが、本当に欲しいものなのかなぁと感じつつ、「依存症」のことを考えてしまいました。というのも、現在の依存症はひょっとしたら誰もが罹患しているのではないか。iPhone、スイーツ(砂糖)、麻薬、危険ドラッグ、処方箋薬、お酒、SNS、買い物、ゲーム、ギャンブル、オンラインポルノと、多種多様なものが手の届くところに入手可能な状態で存在し、私たちを誘惑しています。

 これらを依存しているとき、脳内には快楽物質のドーパミンが満ち溢れているらしい。「ドーパミンは『好き(嗜好 liking)」という衝動よりも、『欲しい(希求 wanting)』という衝動のほうに深くかかわっている」のだから、さらに求める行動へ移るのでしょう。そして、恐れるべきことは、「依存症の力学とと自由市場の力学には、あまりにも共通点がありすぎる」という分析です。ストレス社会の下、人々は意志力を弱め、逆に企業は人の心理を読み、さらには依存症の専門知識を学習、応用し、ビジネスに取り組む構図が描かれています。

 新年2日に取り上げた、『資本主義の終焉と歴史の危機』では、経済は成長を目指すため、新しい市場を求め、スピードを競う。それも征服してしまうと、現在の顧客にさらに購入してもらう方向に進む。そして、依存症は発生すると考えるのも不思議ではないのかもしれません。人は信念を持って、常にシンプルを目指さなければ、消費経済の渦に巻き込まれるでしょう。

『依存症ビジネス 「廃人」製造社会の真実』(デイミアン・トンプソン著、中里京子訳、ダイヤモンド社、本体価格1,700円)

 

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