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コケと聞いて思い浮かべるのは、初めて陸に上がってきた植物であり、お寺の庭や日本庭園には瑞々しい苔の庭があるぐらいです。しかし、今や、コケブームらしく、そう言えば、「コケテラリウム」の実用書も出版されていましたね。本書はコケの入門書。美しいコケの写真がカラーで満載しています。
海から上陸したコケが一番気にするのは、もちろん乾燥対策であり、乾燥に弱いところを集中的に守る進化を遂げています。その構造は非常にシンプルで、体の表面から水分や養分を吸収できます。
日本人にとってのコケのイメージは、日本庭園のように「わび・さび」であったり、屋久島やトトロの森のように「神秘的」であったりします。
コケの生息地は海以外、都会から渓流、農村、里山、深山、高山まで広範囲です。高山のコケは、中国から偏西風に乗ってやってくるPM2.5に曝されている研究結果が出ており、季節によってはマスクが必要になりますね。コケが森で果たす役割は①小さなダム(すぐに土へ浸透させず、じわじわと蒸発し、森を潤す)②ミネラルなどの栄養素の貯蔵庫となっています。コケは枯れると土になり、シダ類以降の植物の土台となってもいます。屋久島では一枚岩で形成されており、コケが屋久杉を作ってきたそうです。
そんなコケに人類は大注目しなければなりません。地球環境の急変動、悪化、特に温暖化において一番先に影響を受けるのがコケであり、我々は猛暑でもエアコンを使用すればいいですが、直に曝される彼らが我々からも指標となることを認識しなければなりません。人間も生命の進化では大先輩のコケに敬意を示し、地球環境の改善に注力するべきです。
『コケはなぜに美しい 』(大石善隆著、NHK出版新書、本体価格1,200円)
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