あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

小売再生

2018-06-28 17:33:00 | 

 空き店舗が商店街にあるのは当たり前になっています。最大の悩みは後継者問題かもしれませんが、後継したいと思えるような業態でなくなっているのが実情かもしれません。我々書店でも同じです。井戸書店のスタッフにも、私は次のようにつねづね言っています。

 「お客さまが目的の本を探し求めにいらっしゃるのに在庫がない。肩を落として帰られる。これに対し、ネット通販では、家から一歩も出ることなく、または、外にいても、パソコンやスマホで、在庫の確認ができ、注文すれば翌日には必ず到着する。これでは、お客さまが来店されないのは当たり前。では、どうすればお越しになるかを考えて、行動に移すのが我々の使命。」

 この本の前半部でも、ネット通販はIT技術を駆使し、いかにリアルに近づけるかを模索しています。この部分を読めば、もう諦めの念も抱きますが、後半部では再生への道が明確に書かれています。

「小売業者が取り組むべきは、独自性とインパクトと価値ある体験を創り出すこと。」

 音楽業界でライブが重要視されているのと同じように、その商品に関して、生の体験を店舗側からアピールすること、それが価値あるものであれば来店して下さるだろうし、その体験価値を買っていただける。いかに売るかの視点に立ち、自ら発信していけば、再生への道は約束されています。

『小売再生 リアル店舗はメディアになる』(ダグ・スティーブンス著、プレジデント社、本体価格1,800円)

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全文完全対照版 孫子コンプリート

2018-06-28 16:49:18 | 

 日本人にとって、中国古典では「論語」と双璧で読まれている「孫子」。これを完全現代語訳で読める1冊。もし、まだ読んでいらっしゃらないのなら、是非お薦めします。

 兵法書ですが、戦争は極力避ける、できれば外交で始末をつけるべし!なぜなら、戦争は国家財政を圧迫するだけだけでなく、国家の存亡にかかわる一大事であるから。誠に正論です。米朝の関係もこの観点から見れば、話し合いで解決するのが当たり前。

 しかし、戦わなければならない場合は、どうすればよいかに関しても事細かに書かれています。有名な章句、「彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず」や「風林火山」、「呉越同舟」などをに触れましょう。守りを固め、必勝の形を作ることが先決です。

 さて、この「孫子」は兵法としてだけでなく、人生論として読んでも価値があります。例えば、

 「夫(そ)れ兵の形は水に象(かたど)る」

では、水のように臨機応変に形を変えるように、自分の置かれている環境に合わせて自らも変化対応していくことが重要です。

 また、

「軍争より難(かた)きは、迂(う)を以て直(ちょく)と為し、患(かん)を以て利と為す。」

は、ことわざ「急がば回れ」を意味し、遠回りしてもすべきことは必ずせよ!という教えです。論語同様、2500年前の思想はまだ息づいています。

『全文完全対照版 孫子コンプリート』(野中 根太郎著、誠文堂新光社、本体価格1,500円)

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