空き店舗が商店街にあるのは当たり前になっています。最大の悩みは後継者問題かもしれませんが、後継したいと思えるような業態でなくなっているのが実情かもしれません。我々書店でも同じです。井戸書店のスタッフにも、私は次のようにつねづね言っています。
「お客さまが目的の本を探し求めにいらっしゃるのに在庫がない。肩を落として帰られる。これに対し、ネット通販では、家から一歩も出ることなく、または、外にいても、パソコンやスマホで、在庫の確認ができ、注文すれば翌日には必ず到着する。これでは、お客さまが来店されないのは当たり前。では、どうすればお越しになるかを考えて、行動に移すのが我々の使命。」
この本の前半部でも、ネット通販はIT技術を駆使し、いかにリアルに近づけるかを模索しています。この部分を読めば、もう諦めの念も抱きますが、後半部では再生への道が明確に書かれています。
「小売業者が取り組むべきは、独自性とインパクトと価値ある体験を創り出すこと。」
音楽業界でライブが重要視されているのと同じように、その商品に関して、生の体験を店舗側からアピールすること、それが価値あるものであれば来店して下さるだろうし、その体験価値を買っていただける。いかに売るかの視点に立ち、自ら発信していけば、再生への道は約束されています。
『小売再生 リアル店舗はメディアになる』(ダグ・スティーブンス著、プレジデント社、本体価格1,800円)