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板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

ペンギンは空を見上げる

2018-06-04 16:26:16 | 

   北海道朝見市に住む小学6年生佐倉ハルくんは、風船で宇宙撮影をすることを目指し、すべて独力でやり遂げようと努力している。将来はNASAやJAXAで働くことを夢見て、英語の家庭教師も受けていました。

  その彼の小学校に、鳴沢イリスという名のハーフの女の子がワシントンから転校してきました。金髪の彼女は、親の転勤ですぐに移動することが多く、

  「日本語はあまりとくいでないです。でも、どうせすぐむこうに帰りますから、なかよくしてくれなくていいと思います」

が初めての挨拶の言葉。ある事件をきっかけに、教室では浮いている存在だったハルくんも、彼女の前途には暗雲が垂れ込めていると感じます。

 彼女の大切にしていたぬいぐるみが見当らないことが放課後に起こり、ハルくんは英語を駆使し、探すことを手伝うことから、彼女とは仲良くなります。クラスでは彼女に対するいじめが勃発するも、ハルの風船ロケット2号の発射に、彼女も立ち会います。

 言葉通り、彼女はアメリカに戻ることになり、2号では失敗した宇宙撮影を、彼女に見せてあげようと、3号機「グッドラック」を設計組立、発射へ。

  夢への挑戦はとても美しく、ガガーリンの言葉である、
「地球は青い。神様は宇宙には見当たらない」
を風船ロケットで確認し、ハル君の家族、そして、彼の人生を、また、イリスとの将来を応援することになるでしょう。

  さて、この風船ロケットに関しては、その第一人者である岩谷圭介氏の存在抜きには書かれなかったことでしょう。本書を読み、風船ロケットによる宇宙撮影の映像を観て、感動しました。皆さまも、是非ご覧くださいね。

https://www.youtube.com/watch?v=PVIiXm_F2dA

『ペンギンは空を見上げる』(八重野統摩著、東京創元社、本体価格1,600円)

 

 

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