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板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

落語は素晴らしい

2018-06-07 17:07:04 | 

  月亭方正師匠自身の人生と落語のネタを結びつけて、 落語人生を振り返る1冊。四〇歳からの高座は楽ではないはずであり、それまでのタレントとしての芸風とは一新した一人芝居の落語を大いに語ります。

 例えば、「九.ゆとりを持って生きるために 失敗をあまり気に病まない」では、

 「失敗したくないから、何もしないようになる」のではなく、「どんどん挑戦していくことが、芸人」だから、「失敗しても、前へ前へ進みたい」

と述べていらっしゃる。「格好つけてスべるのを嫌がっている」のではなく、笑っていただけるように努める「サービス精神」の持ち主こそが芸人であるという定義は、落語をやっている私にもよ~くわかりますね。しかし、これは落語家だけの話ではなく、一般人でも同じことですよね。

 また、落語論として、

 「落語の素晴らしさは演者と聴き手が一体化できること」

という言葉は身に染みて感じます。高座で必死に演じる、つまり、自身の存在を消して、役に徹しきると、ツボでは大いに笑いが取れます。これは、店で言えば、店のスタッフとお客様との呼吸、店主とスタッフのベクトルが同じ方向になれば、自ずと繁盛するのではないでしょうか?演者のやる気が先ですがね・・・。

 落語に登場するのは街にいる普通の人たち。彼らの姿は我々でもあるのですから、聴けば聴くほど、生きることにも関係しつつ、笑っていける、本当に、落語って素晴らしい!

『落語は素晴らしい - 噺家10年、根多 〈ネタ〉が教えてくれた人生の教え』(月亭方正著、ワニブックス、本体価格1,389円)

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