語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】WHOが認めた耳のツボ ~耳鳴りの東洋医学療法~

2017年05月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 ツボ療法は中国に起源を持つ伝統的な東洋医学療法だが、ツボの位置や考え方には国や地域によってバラつきがあった。2006年にはWHO(世界保健機関)が、国際基準を設け、ツボ療法はめまいや眼精疲労、頭痛、神経痛、リウマチ、胃腸炎などに対して有効であると認めている。
 現在、WHOにより認められたツボの位置は、361あるそうだ。その中の一つで耳鳴りに有効とされているツボに「耳門(じもん)」がある。耳の付け根の上部前側で、軽く口を開けるとへこむ場所で、指を充てると脈打っている。
 このほかに、耳の付け根付近には耳鳴りや難聴に関わるツボが複数集まっている。聞こえにくかったり、耳の詰まりを感じたら、指の腹でゆっくり押してみよう。
 方法は「息を吐きながら押す」「心地よい痛みを感じるまで押しながら2呼吸する」「指をゆっくり離す」
を1回として10回1セット。これを朝晩習慣にするといいようだ。耳管など顔周りのリンパの流れをよくするとされるツボなので、顔のむくみとりにもよさそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「耳の不調にツボ押し ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年5月29日)を引用
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【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~

2017年05月29日 | 詩歌
【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。

<長谷川櫂選>
 ①帰省子の未だ東京の匂ひせず (可児市)豊田正己
 ②花茣蓙(はなござ)や丸太ん棒のやうに母 (我孫子市)藤崎幸恵
 ④ウクライナ美しかりし麦の秋 (川崎市)竪山道助
 ⑥草笛の拙(つたな)きことも愛さるる (奈良県田原本町)小林博明
 ⑩薔薇剪(き)つて今日でなければならぬこと (高松市)桑内繭
 【評】一席。春に東京へ出たばかりの娘あるいは息子。まだ子どものまま。二席。昼寝の図。萬鉄五郎の裸婦のように、たくましいお母さんである。(後略)

<大串章選>
 ①少子化に抗ふごとく鯉のぼり (香芝市)矢野達生
 ③☆人類史角番(かどばん)にあり夏に入る (東京都)望月清彦
 ⑦鯉のぼり風を磨いてをりにけり (塩尻市)古厩林生
 ⑩傘雨忌や生家に残る句碑一つ (愛西市)小川弘
 【評 第一句。青空に翻る鯉(こい)のぼり。「抗ふごとく」に力感あり。少子化に負けてはならない。(中略)第三句。一触即発を懸念させる昨今の世界情勢。まさに「角番」である。

<稲畑汀子選>
 ①地響きに滝の重さのありにけり (熊本県菊陽町)井芹眞一郎
 ②着くまでを残る期待の花吉野(大分市)高柳和弘
 ⑦何もかも心機一転なる五月 (北海道鹿追町)高橋とも子
 ⑩借景の山万緑を尽しをり (四国中央市)森實英子
 【評】一句目。大きな滝であろう。滝壺(たきつぼ)に落ちる水音が地響きを立てる。豪快な姿まで見えるような一句。二句目。桜にまだ期待を持って訪(おとな)う吉野山。作者の心情の推移が描けた。(後略)

<金子兜太選>
 ①平和こそ山川草木皆笑ふ (川崎市)神村謙二
 ②陽炎や全ての戦争許すまじ (飯塚市)釋蜩硯
 ⑥☆人類史角番にあり夏に入る (東京都)望月清彦
 ⑨からだごと笑ふ乙女の立夏かな (海老名市)川上益男
 【評】神村氏。無邪気に詠(うた)いきった平和の句。釋氏。陽炎の野。うらうらと戦う気配などまったくない。(後略)

□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年5月29日)
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 【参考】
【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~
【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~
【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~
【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~
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【後藤謙次】共謀罪に加計学園問題まで炎上 ~予想以上に高い「6月の壁」~

2017年05月29日 | 批評・思想
 (1)「3・6・9が危ない」・・・・
 日本の政治を読み解くキーワード。「3・6・9」は3月、6月、9月を指す。日本の政治はバイオリズムのように、この三つの月に大きなヤマ場を迎える。
  (a)3月は、年度末にあたり、政府予算を年度内に成立させることができるかどうか。それによって政権の命運が決まる。過去には、予算の年度内成立の壁を越えられずに退陣に追い込まれた首相がいる。〈例〉細川護熙(もりひろ)は、3月中の予算審議を乗り切れず、1994年4月に政権の座を降りた。
  (b)6月は、さらに過激な政治ドラマが繰り広げられてきた。1月に召集される会期150日間の通常国会が会期末を迎える。宮沢喜一は、1993年6月、小沢一郎(当時・自民党議員)の造反によって内閣不信任案が可決される事態に遭遇した。宮沢は衆院解散に打って出るが、7月の衆院総選挙で惨敗。38年続いた自民党一党支配にピリオドが打たれた。6月が国会の会期末であることに加えて、3年に1度、7月には参院選が巡ってくることも政治を流動化させる要因となっている。
  (c)9月には、3年に1度、自民党総裁選がある。総裁選がない年も内閣改造・党役員人事が9月に行われることが慣行化している。今年も9月を視野に早くも人事をめぐる党内の駆け引きが始まっている。
 ・・・・今年は「3・6・9」のうちいつがメーンポイントなのか。ズバリ6月だ。6月をどう乗り切るかで、安倍晋三・政権の行方が決まる、といってもいい。

 (2)会期末は6月18日。残すところ20日ほどだが、残された懸案は例年以上に多い。
  (a)天皇陛下の退位に関する特例法の審議。法案そのものは与野党合意があり、対決法案とはいえないが、問題は法成立と同時に行われる付帯審議の中身だ。付帯審議には法的拘束力はないが、政府は尊重しなければならない。この付帯審議をめぐって自民党と民進党が真正面からぶつかり合う。
  (a-2)民進党は、5月24日、皇族の人数減少に伴い、「安定的な皇位継承」のため「女性宮家の創設」を求める付帯決議案を自民党に提示した。野田佳彦・民進党幹事長は、首相として何度も天皇陛下への内奏の経験があり、皇族減少問題への思い入れが人一倍強い。
  (a-3)対するに、安倍晋三・首相は女性宮家の創設には強い難色を示す。天皇陛下の退位という前例のない特例法は成立の最終局面で思わぬ障害に直面した。安倍がめざした「静かな環境での法整備」が怪しくなってきた。
  (b)最大の「6月の壁」は、共謀罪法案の取り扱いだ。衆院を強行突破し、参院へ送付したが、野党側の抵抗は激しく、18日までの会期内成立は絶望的だ。
  (c)しかも、23日には小池百合子・東京都知事と自民党が、公明党を巻き込んで激突する東京都議選が告示される。

 (3)共謀罪成立を確実なものにするには、国会会期の大幅な延長が必須条件だ。
 ところが、ここにきて政権にとって極めて厄介な問題に焦点が当たる。加計学園(岡山県の学校法人)の獣医学部新設計画をめぐって、再び安倍に絡む「忖度政治」がクローズアップされたからだ。
 さらに、首相官邸と前川喜平・前文部科学事務次官とのバトルが勃発。問題は拡大の一途をたどる。

 (4)加計孝太郎・加計学園理事長は、安倍自身が認める「腹心の友」。この加計学園に地域限定で規制緩和を認める「国家戦略特区」の事業として愛媛県今治市に獣医学部の新設を認めた。
 しかも、37億円の敷地が無償で譲渡され、さらに運営費に充てる資金96億円を愛媛県と今治市が支出することが決まった。
 森友学園問題が表面化したときから、加計学園問題の火種もくすぶっていたが、それが突如として文科省から流出したとされる「怪文書」によって一気に燃え広がった。 
 「朝日新聞」が1面トップで「内部文書」と共に加計学園問題を報じたのが5月17日付け朝刊。この文書には、「総理のご意向だと聞いている」「官邸の最高レベル」などの記述があり、安倍の存在を強く感じさせる内容だった。
 この点を問われた菅義偉・官房長官は、「こんな意味不明のものにいちいち政府が答えることはない」と逃げた。菅は、文書に日付も名前もないことから「怪文書」と呼んだ。
 すると、翌日の朝日は関係者の氏名と日付の入った文書のコピーを掲載した。
 この時点で官邸側は、「文書は前文科次官の前川が意図的に凪がしている」と認定する。前川は、年初に表面化した文科省の再就職あっせん問題の責任をとらされる形で次官退任に追い込まれている。その意趣返し、というのが官邸側の認識だった。
 これとの関係は不明だが、「読売新聞」は5月22日付け朝刊社会面に3段見出しでこう報じた。「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中 平日夜」・・・・記事中には店の料金システムまで事細かに記述されている。全国紙の記事としては極めて異色、違和感を与える記事であった。
 前川も黙っていなかった。5月25日発売の「週刊文春」と同日付けの朝日に、前川の単独インタビューが掲載された。そこで前川は、「行政がゆがめられた」(朝日)と語っている。官邸に対する宣戦布告といえる。
 国有地の払い下げをめぐって問題化した森友学園問題は、所管の財務省が「関係書類は廃棄した」と逃げ切るのだが、一方の加計学園問題は文科省内から文書が流出し続け、加計学園に獣医学部新設を認めた際の文科官僚の元トップが公の場で語る、という異例の展開を見せている。

 (5)「国会を大幅延長すると何が起こるかわからない。閉じたほうがいい。共謀罪法案は廃案にすればいい」
 自民党長老は政権中枢にこう進言している。安倍の足元を直撃した加計学園問題は、思わぬ事態を誘発しつつある。政権内部にも国会閉幕論が台頭してきた。「6月の壁」は予想以上に高い。

□後藤謙次「共謀罪に加計学園問題まで炎上 予想以上に高い「6月の壁」 ~永田町ライブ!No.341」(「週刊ダイヤモンド」2017年6月3日号)
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 【参考】
【後藤謙次】安倍1強時代を揺るがすリスク ~森友学園問題で一躍「渦中の人」~
【後藤謙次】北朝鮮、金正男氏殺害の深層 ~日本政府内に異なる二つの見方~
【後藤謙次】政府与党内の二つの見方 ~北方領土交渉は頓挫?~
【後藤謙次】トランプの地滑り的勝利で始まった未知なる対米外交
【後藤謙次】築地市場の移転延期の決断が小池都知事の手足を縛るリスク
【後藤謙次】幹事長の入院が人事に波及、「ポスト安倍」めぐり早くも火花
【後藤謙次】参院選大勝も激戦12県で大敗 ~劣る「勝利の質」~
【後藤謙次】都知事選で与党分裂の理由 ~自民党内の反安倍勢力~
【後藤謙次】日本が直面する「ABCリスク」 ~英EU離脱で顕在化~
【後藤謙次】甘利大臣辞任をめぐる二つのなぜ ~後任人事と直後のマイナス金利~
【政治】不可解な時期に石破派が発足 ~その行方は内閣改造で~
【政治】震災後2度目の統一地方選 ~異例なほど注力する自民党本部~
【政治】安倍が描いた解散戦略の全内幕 ~周到な準備~
【政治】安部政権の危機管理能力の低さ ~土砂災害・火山噴火~
【政治】「地方創生」が実現する条件 ~石破-河村ラインの役割分担~
【政治】露骨な安倍政権へのすり寄り ~経団連が献金再開~
【政治】石原発言から透ける政権の慢心 ~制止役不在の危うさ~
【原発】政権の最優先課題 ~汚染水と廃炉作業~
【政治】「新党」結成目前の小沢一郎の前にたちはだかる難問
【政治】小沢一郎、妻からの「離縁状」の波紋 ~古い自民党の復活~
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