語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~

2017年05月01日 | 詩歌
【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。

<長谷川櫂選>
 ①二度と来ぬ八十八歳花に酌む (いわき市)坂本玄々
 ③花冷にまた来る老の影法師 (愛西市)小川弘
 ⑥☆亀鳴くや一村挙げて避難中 (名古屋市)池内真澄
 【評】一席。たしかに一生に一度。それどころか、また生まれてきても来るとはかぎらない。大事な一年。(中略)三席。老いというものの影法師。ときおりその姿が見える。

<大串章選>
 ①鞦韆(しゅうせん)は蹴るべし愛は返すべし (諏訪市)宮澤恵子
 ⑩去年よりひとつ歳とる花見かな (焼津市)増田恵津子
【評】第一句。三橋鷹女の代表作「鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし」を踏まえる。「返すべし」が佳(よ)い。(中略)

<稲畑汀子選>
 ①きのふでもあしたでもなきけふのはな (糸魚川市)早津邦彦
 ⑤見えてより天守は遠し花の雲 (枚方市)嶋林岳紹
 【評】一句目。まことに桜ならではの一句。刻々の花の変化に心を寄せる。(後略)

<金子兜太選>
 ①戦争へ回帰しさうな桜かな (東京都)無京水彦
 ⑨☆亀鳴くや一村挙げて避難中 (名古屋市)池内真澄
 ⑩熊野古道神出鬼没の蜥蜴(とかげ)かな (泉南市)藤岡初尾
 【評】無京氏。桜の満開ぶりを異状とも。(中略)十句目藤岡氏。「神出鬼没」が旨い。

□「朝日俳壇/5月1日」(朝日新聞 2017年5月1日)
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