事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ!2021年12月号PART2 10万円

2021-12-21 | 明細書を見ろ!(事務だより)

Bruce Springsteen - The River (The River Tour, Tempe 1980)

PART1はこちら

実は、この「明細書を見ろ!」は児童手当受給者には支給のたびに増刊号をお送りしています。その内容の先取りのようなお話。例の、18歳以下への10万円相当の給付の件です。

・「現金5万円+教育クーポン5万円」か「現金10万円」か

・所得制限をもうけるかもうけないか

・支給は年内か年明けか

……不確定な要素が多すぎます。まあ、政治的な妥協の産物であり、目的もはっきりしていないので(貧困対策なのか景気対策なのかすら不明)仕方のないことなのかもしれません。

教育クーポンが不評なのは(この考え方自体は民主党政権時代にもありました)、事務経費が巨額にのぼること以上に、それがいったいどんなもので、何に使えるかもわからないからでしょう。ただ、全国の学校事務職員は現金支給を切望しているはず。

だって、集金の未納対策に現金ほど有効なものはないから

本校の未納が激減したのには(まあ、未納の保護者が本校の事務職員に会いたくないからかもしれないけれど)去年の給付金の存在があったことは確実です。

いずれにしろ、先進国のなかで子育て支援のための予算が最低に近い日本で、どんな形であれ給付されることは歓迎できます。

酒田市も遊佐町も12月27日一括支給に舵を切ったようです。児童手当支給のシステムを使って。しかし残念ながら本校の児童手当該当者にはまだ支給されません。

それはあなたが公務員だから

酒田市のサイトにはこうあります。

給付対象者:令和3年9月分の児童手当受給者【公務員を除く】

一般の市民には児童手当は市から直接振り込まれますが、該当者にはお知らせしたように、公務員はその所属経由で支給されているのです。だからおそらく一昨年の給付金のように、なんらかの申請行為が必要になるはず。文書が来たらすぐにお知らせします。

本日の1曲もブルース・スプリングスティーン「ザ・リバー」

新シリーズを考えています。お昼の学校放送by学校事務職員(笑)

「この曲は深いんですよ。自分と結婚した相手を幸福にした実感を持てない男が、その妻の若い頃の美しい肢体に呪われるという……ま、中学生がこんなことを知らなくてもいいんですけど」

知らなくていいよ(笑)あ、本気でこのシリーズはやります。

2022年1月号「源泉徴収票を見ろ!2022」につづく

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明細書を見ろ!2021年12月号PART1 年末調整の結果

2021-12-20 | 明細書を見ろ!(事務だより)

U2, Bruce Springsteen and Patti Smith perform "Because the Night" 25th Anniversary shows

人事委員会勧告PART2はこちら。あ、期末勤勉手当号PART2をアップしてない。ま、気にしないで。

明細書を見ろ!と言われても、どうせ毎月たいした違いはないんだから、と思っている人でも、この12月の明細だけはよく見るはずです。だって、いつもの月と手取りが大きく変わっていることが多いので。

それは年末調整の結果が反映されているから。

前にも説明したように、その年の最後の給料で所得税は精算されます。だからこれまで多く差し引かれていた人には所得税が還ってくるし、その逆もあります。

さあ、明細書の中段にある「所得税」の欄を見てみましょう。この周辺は控除する金額が印字されているので、ここがマイナス表示だと、差し引く金額がマイナスなのだから手取りが増える理屈。プラスであってもいつもの月より引き去りが少ない場合、やはり手取りは増えます。

新規採用者の場合はまず確実に手取りは増えているはず。というのも、源泉徴収は、通年に渡って同じような額の給料をもらうという前提で行われているので、3月まで収入がないと年税額は少なくなる道理。まあ、学生時代によほど稼いでいれば話は別ですが。

さて、今年支給されるお金はこれが最後です。ただし多くの年には「差額」というのが年末に支給されるのですが、今年は給料表の改定は行われなかったのでありません。まあ、深く考えないことです。

本日の1曲は「ビコーズ・ザ・ナイト」

スプリングスティーンの曲をパティ・スミスが歌って大ヒット。そこにU2が加わるとなれば……

なぜブルース・スプリングスティーンをやるかというと、ちょっと気になる記事を読んだから。PART2「10万円」につづく

 

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青天を衝け 第40回 「栄一、海を越えて」

2021-12-19 | 大河ドラマ

Culture Club - The War Song (HD)

第39回「栄一と戦争」はこちら

年末。大河ドラマは終末を迎える。赤穂浪士は討ち入りを果たし、竜馬は暗殺され、本能寺では信長が舞うのである。季節感とはこれだ。

これまで描かれてこなかった時代の「青天を衝け」では、たくさんの登場人物がフェイドアウトしていく。

渋沢喜一(高良健吾)は栄一との子ども時代の回想とともに。もっとも幸福な退場かもしれませんね。

嫡男の篤二(泉澤祐希)は廃嫡(死語)され、その長男の敬三が後継ぎとされ、栄一は頭を下げる。この選択は結果として正しかったわけだ。

伊藤博文はご存じのような形となり、そして徳川慶喜は……

「いつ死のうかと思っていた」

というのは本音でしょう。英邁な彼が徳川三百年を終焉させた重みを感じていなかったはずはないし、その重みに耐えた彼の長寿は確かに気が遠くなる。徳川の将軍のなかで最も長く生きたという皮肉。草彅剛の老けメイクと演技はすばらしかった。

渋沢栄一はアメリカで

「NO WAR」

と主張する。それが彼の本気だったかはうかがい知れないけれども、日本人がそう主張しなければならない時代だったのは確かだ。移民としての日本人を守らなければならない時代。大森美香さんが何を言いたいか、はっきりしていました。来週は最終回

本日の1曲は戦争反対をここまではっきり歌い上げたのか、とびっくりなカルチャークラブの「THE WAR SONG」最後まで聴いてね。

 

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直木賞2021年下期

2021-12-18 | 本と雑誌

2021年上期はこちら

2021年下期の芥川賞・直木賞の候補が発表されました。芥川賞の方はもののみごとに誰のも読んだことがないので(笑)、直木賞だけにしぼって予想します。そうです、豊崎由美と大森望の「文学賞メッタ斬り!」の極小版。上期は「テスカトリポカ」のあつかいで大もめだったそうで……

下期の候補は以下の通り。

・『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂冬馬 早川書房

・『新しい星』 彩瀬まる 文藝春秋

・『塞王の楯』 今村翔吾 集英社

・『ミカエルの鼓動』 柚月裕子 文藝春秋

・『黒牢城』 米澤穂信 KADOKAWA

おなじみの面々と新人と。世評で圧倒的なのは米澤穂信ですよね。さて、それでは彼がゲットするのかは微妙なところ。

っていうか彼はこの作品でとらなければ、伊坂幸太郎のように直木賞を忌避するのではないかと思うぐらい。

文藝春秋としても、他社の作品ではあるけれど、どうかこの作品にあげてくださいと思っているはず。あらゆるランキングでトップをとっているわけだから、

審査員に要求されるのは

「もしもこの作品に直木賞をやらないとすれば、その理由を明らかにしなければならない」

ということ。ぶっちゃけた話をすれば、あんたたちこれ以上の小説を書けるのかよということです(笑)。よく考えると洒脱すぎる作品は嫌われる傾向もあるし。それにミステリはまだまだこの業界では不遇だし。

問題は山形と縁の深い今村翔吾と柚月裕子です。まだ読んでいないんでなんとも言えませんが(だったら言うなよ)、今村は次から次へと書いてくれそうなので、今回は米澤穂信と柚月裕子(文藝春秋はそのために自社のために書かせたのかも)のダブル受賞に賭けます。

誰が胴元?

結果篇はこちら

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「ペッパーズ・ゴースト」 伊坂幸太郎著 朝日新聞出版

2021-12-17 | ミステリ

作家生活20年を超えた伊坂幸太郎

そうか、あのしゃべる案山子のお話(「オーデュボンの祈り」)からもうそんなになるんだ。作品リストをながめてしみじみ。全部読んでる。発見する愉しみがないのでちょっとさみしいかも。

さて、久しぶりの長篇書き下ろし。どんなお話かというと、いかにもいかにもな感じ。

中学の国語教師・檀は、猫を愛する奇妙な二人組「ネコジゴハンター」が暴れる小説原稿を、生徒から渡される。さらに檀先生は他人の未来が少し観える不思議な力を持つことから、サークルと呼ばれるグループに関わり始め……。(公式HPより)

檀の不思議な能力とは、他人の飛沫をあびると、その人物の翌日の未来がちょっとだけ見えるというもの。この能力が彼を幸福にも不幸にもする。飛沫による感染だから、これもコロナ小説のひとつにカウントできる。

生徒の書く作中作の登場人物、ロシアンブルとアメショーのやりとりがすばらしい。伊坂幸太郎の作品って、煎じつめれば「へらずグチの応酬」じゃないですか。その才能がいかんなくこのコンビに結実しています。動物虐待への復讐という設定も、「アヒルと鴨のコインロッカー」そのまんまという感じでうれしい。

ただし、ニーチェを読み込むあるグループの動きには、どうにも納得できないものを感じていたんだけど、それをみごとにひっくり返すあたりの企みも、やはり伊坂幸太郎のものなのでした。二十年來のファンでよかった。タイトルに秘められた寓意もすばらしい。

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「この声をきみに」(2017 NHK)

2021-12-16 | テレビ番組

青天を衝け」の大森美香脚本作品。主演は竹野内豊麻生久美子。朗読をめぐるお話。

学生に人気のない数学者の穂波(竹野内豊)は、妻(ミムラ……いまは美村里江)に離婚を迫られるなど、きつい日々を送っている。語る相手を意識していないと学部長に話し方教室を紹介されるが、社会性のない穂波は講師の京子(麻生久美子)と険悪になる。

そんな穂波が訪れたのは、ラジオの人気アナウンサーだった佐久良(柴田恭兵)が主宰する朗読教室「灯火親(とうかしたしむ)」だった。しかしそこで講師をしていたのは京子だった……

毎回、朗読する作品のチョイスがにくい。

「生きる」谷川俊太郎

「ふたりはともだち」アーノルド・ローベル

「氷菓」室生犀星

「回転ドアは、順番に」穂村弘、東直子

「おじさんのかさ」佐野洋子

「HERO」桜井和寿

「くじらぐも」中川李江子

喪失感をかかえた竹野内豊と麻生久美子が、朗読を通じて生きるモチベーションを取り戻していく。大森脚本はかなり周到で、毎回盛大に泣かせてくれます。

エンディングに流れるのはJUJUの「いいわけ」。「逃げるは恥だが役に立つ」と似た趣向で出演者たちが踊ってくれてうれしい。で、うまいのがやはり柴田恭兵。さーすが東京キッドブラザース出身。出演は他に杉本哲太、片桐はいり、近ごろ好きになってきた堀内敬子。

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「透明な螺旋」東野圭吾著 文藝春秋

2021-12-15 | ミステリ

えええ!あの湯川が親を介護!?

タイトルからして、血縁を意識したお話(確かにひっかけてある)。そしてそれだけのお話だったような気がする。主人公が湯川である必要は微塵も感じられず、逆にガリレオシリーズでなければ特徴のないミステリにすぎないのでは?

わたしは東野圭吾が好きだし、ガリレオも大好き。今回のお話はなかったことにしておきましょうよ。いい話ではあるんだけど。

あなたシャーロック・ホームズやエルキュール・ポワロにそんな家族がいる話を……あ、東野圭吾だから読者層のそんなリクエストをちゃーんと計算しているのかなあ。

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彗星の日。

2021-12-14 | 日記・エッセイ・コラム

Best Audio Diva - GiacobiniSuisei No Hi -

「真円の虹」篇はこちら

「伍長、別に職場近くの川にいる鴨をいただいたわけじゃないですよね」

「チキンも食えないのにカモ食べられるわけないだろ。鱈ですよタラ。うまかったー」

「庄内の人間は鱈から逃げられないからなあ」

「警察もうまくまいたし」

「こら」

……ほんと勘弁してほしい。わたしは今日ヘッドバンドにサングラスにマスクという、これ以上ないくらいの怪しい風体で出勤予定(くもりだったのでサングラス排除)

あ、外勤もするんだった。

市役所前には交番もあるんだけど大丈夫かしら……予報にもなかった雨が降ってきました。天罰?

今日は流星雨の日だとか。

わたしの妻も行きつけの店の女将も一度も流れ星を見たことがないという。そんなことがありうるんだろうか。あれはどうしたって“見えてしまう”ものなんじゃなくって?

どちらの女性にも断言する。

「夜空の一点を15分間見つめていたら、必ず見れるもんなんだ

とり・みきの「愛のさかあがり」で知ったことなので間違いありません!

本日の1曲は松任谷由実の「ジャコビニ彗星の日」

名曲。わたしも今日は彼女と同じことに。

 

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「三体Ⅲ 死神永生(上・下)」劉慈欣著 早川書房

2021-12-13 | 本と雑誌

第1部はこちら

第2部はこちら

ついに三部作完結。下巻を午後10時に読み始めて、あまりの面白さにやめられず、み終えたのは午前4時。平日なのに。社会人のやるこっちゃない。

人類に絶望した女性学者が、宇宙に向けてあるメッセージを送る。呼応したのが「三体」と呼ばれる地球外生命体。彼らは高度な文明を持っていて、地球に向かってくる。到達まで400年あまり。人類は迎撃できるのか……これが第一部。

微細な智子(ソフォン)と呼ばれるAIが三体文明によって無数に送りつけられ、秘密の会議すら不可能になる。そのため、人類は面壁者の候補を何人か選び、なにも文句を言わずに彼らの計画を実行しようとする。しかし最後に選ばれたのは……その選ばれた面壁者の驚異的な作戦によって三体と地球の衝突は避けられたかに見えたが、が第二部。日本人はことのほか第二部がお好きらしい。

しかしわたしはこの第三部を選ぶ。ヒロインがコールドスリープするたびに姿を変える地球。学生時代に彼女を好きだった男の究極のプレゼント。三体文明に(ある方法で)潜入した彼が、地球人へのメッセージとして送ってきたおとぎ話の謎。そしてそして、終盤に訪れる破滅的だけれども美しいスペクタクルが泣かせる。

わたしは高所恐怖症だ。ある日、自分が暗黒の宇宙に浮かんでいるにすぎないと気づいてしまい、気が遠くなりそうになったことすら。そんな人間がこの作品を読むのは一種の苦行でもある。えーと、物理的な意味で登場人物たちはみんな足が地についてないです(笑)。

読み終えてみんな考え込むはずだ。神ってなんだと。

すばらしい読書体験。読んでないみなさんはこれから一気読みできるわけだ。うらやましい。だってわたしがしばらく待った第三部は、上巻の最初に前作までのあらすじがなかったら何が何やら(+_+)。

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青天を衝け 第39回 栄一と戦争

2021-12-12 | 大河ドラマ

第38回「栄一の嫡男」はこちら

おっと、草彅剛は今回もちゃんと登場してくれてましたね。そして、あの大坂城からの逃亡についても語る。たくさんの失策をしたと。

継承についてのお話。不肖の嫡男である篤二は、病に倒れた父に「後を頼む」と言い渡されるが、その責任の大きさに恐れおののく。だってあの人(徳川慶喜)だって逃げたじゃないかと。

徳川幕府に限って考えても、先代、先々代と積み重なった歴史の重みに歴代の将軍はびびったはずだ。秀忠家光のころはまだ家康の威光があったかもしれない。綱吉のころもそうなんだろうか。

しかし八代吉宗のように、およそ将軍になるはずもなかった血筋の人間だからこそ、ある種の決断ができたという側面はあったんだと思います。その、本来なら絶対に将軍になるはずもなかった慶喜は、だからこそすごい決断をする。

「光を消す」

旧勢力の象徴にならないために完全な隠遁に入ったと。なるほど。

そこでどうしてももうひとりの人物を連想する。十五代どころか、おそろしいほどの連綿とした血縁でつながったあの一族。かつて大帝と呼ばれ、戦後は象徴と呼ばれた“彼”が、はたしてどのような思いで日々を暮らしていたのか。慶喜のそれに近いものがあったかも。

くどいようだけど、草彅剛の脂の抜けっぷりがすばらしい。そして大島優子の凜としたたたずまいも。SMAPとAKBというアイドル出身のふたりが、この大河で光を見せてくれている。

第40回「栄一、海を越えて」につづく

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