作者来日記念にアップ。
シリーズ三作が中国だけで2100万部売れ、英訳されてオバマ前大統領が絶讃。日本でも驚くほどのベストセラーになっている。というか大騒ぎである。
こんなに騒がれているのだから市立図書館では順番待ちで……ありゃ、ちゃんとありました。近ごろ華文ミステリにはまっているものだから、中国文学の棚をチェックしていたわたしへのSFの神様からのプレゼントかしら。さあさっそく読んでみましょう。
なんといきなり文化大革命のきつい描写からスタート。ヒロインの父親が母親に糾弾され、紅衛兵たちに惨殺されてしまう。話はそこから一気に四十年ほど飛び、その世界では“戦争”が進行している。しかし敵の姿は見えず、戦う相手が誰なのか判然としない……
わたしはSFに慣れていないので確信が持てないんだけど、現代SFの水準ってここまで高いんですか。そして、ここまで大ボラが必要とされる業界なんですかっ。
たとえばこの世界には、ある目的をもったバーチャルゲームがあり(その名が「三体」)、世界史・中国史を思い切り引用した破天荒な世界がくり広げられている。
なかでも笑えたのが、始皇帝の兵1名を1ビットとし、三千万人の兵を使った“人列コンピュータ”(笑)。こんな、人を食ったお話が満載。
しかもホラだけでなく、大人になったヒロインが、中国奥地で白人環境保護活動家に出会うシーン。
「単三電池を使うラジオが置いてある。しかし今は電池を外し、単一電池を接続させていた。」
なんて細かな描写もしっかり用意してあり、小説としてとにかく面白いのだ。華文ミステリにつづいて華文SFもすごい。こりゃあ、和文もうかうかできません。
あのね、第二部はもっとすごいです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます