事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「炯眼に候」 木下昌輝著 文藝春秋

2019-08-28 | 本と雑誌

時代小説でもっともヒーローとして採り上げられる織田信長。ハンパな形では読者は納得してくれない。そこを、決戦!シリーズの書き手のなかで、朝井まかてとともに頭一つ抜け出した木下昌輝がさすがの手管で。

伝説的な信長のエピソードを、合理的な背景があったと解説するのが基本線。それってミステリじゃないか。

特に、最後の「首級」において、本能寺に信長の遺体がなかったのはなぜかというネタ(というよりトリック)はいい感じでした。有名な作品で1回使われてるけど(笑)

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極私的大河ドラマ史PART39 炎立つ

2019-08-28 | 大河ドラマ

その38「琉球の風」はこちら

さて、7月という中途半端な時期にスタートした「炎立つ」だが、そもそもどうしてNHKは暦年放送という大河の伝統を壊そうと思ったのか。邪推かもしれないが、受信料徴収のためだと思う。

朝ドラと大河はNHKにとって金看板で、徴収率が悪いところをドラマの舞台にするという噂すらあった。まあ、その土地の人たちにすれば、大河ドラマの舞台になれば、それだけで観光客が激増するわけだし、だから招致合戦も熾烈。となれば、一年にふたつの大河があれば、それだけNHKとしてはおいしいことになる……はずだった。

でも「琉球の風」そしてこの「炎立つ(ほむらたつ)」は視聴率的に惨敗。以降はもとの暦年スタイルに戻る。その方がやはり大河っぽいのは否定できない。“今年の大河”“来年の大河”という呼び方がかくて復活することになった。正解だと思います。

さて「炎立つ」は奥州藤原氏のお話。

奥州藤原氏?東北人のくせしてさっぱりわからない。中尊寺は関係あるよね。義経もからんでくるんじゃなかったか……ああ判然としない。まあ、くどいようだけど日本史未履修だし(笑)。

ものすごくざっくり総括すると、東北に独立した文化や政治体制を確立した奥州藤原氏が、しかし源平の争いから源義経をかくまうことで鎌倉幕府に打ち倒されてしまう……合ってますか。

黄金をおごった中尊寺でわかるように、当時の東北地方は金の産地で、奥州藤原氏の繁栄にはそんな背景もあったのでは?いやいや、半可通がうかつなことは言えません。

ドラマは3部に分かれ、第一部が藤原経清が主人公。演じたのは渡辺謙。妻に古手川祐子。第二部は経清の子、藤原清衡が主人公で演じたのは岩手出身の村上弘明。仮面ライダー出身の役者が出世するのは当時から。奥さん役はなんと坂本冬美。

第三部の主人公はふたたび渡辺謙が主演した藤原泰衡。その父、藤原秀衡(渡瀬恒彦)が義経をかくまうように命じたことから滅びへの途は始まった。

源頼朝は長塚京三、義経は野村宏伸。そして武蔵坊弁慶は時任三郎。うーん、いい感じだけれどちょっと地味かなあ。原作は高橋克彦、脚本は中島丈博。いろいろと、もめたらしいです。

その40「花の乱」につづく

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