事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ぼくたちの家族」 (2013 ファントムフィルム)

2014-11-04 | 邦画

「えーと、鶴岡まちキネでやってる『ぼくたちの家族』を見に行こう」と妻を誘う。

「どんな映画なの?」

「石井裕也って『舟を編む』の監督で……えーとほら、満島ひかりの旦那

「あー、いいわね。誰が出てるの」

「妻夫木聡とぉ、原田美枝子。で、あの人……えーとソルボンヌ大学に留学した」

「はい?」

「息子が常盤貴子と結婚したほら!」

「なが…………ながつか……長塚京三ね!」

コントをやっているわけではありません。五十代の夫婦とはたいがいこんなものです(だと思いたい)。

もの忘れがひどくなった母親(原田美枝子)は、長男(妻夫木聡)の妻が妊娠したお祝いの席で“壊れる”。診察の結果は脳腫瘍。余命一週間。

実は借金まみれである父親(長塚ソルボンヌ京三)はうろたえ、母親にたかっていた無邪気な次男(池松壮亮)は無邪気なままだ。長男は中学時代にひきこもりになった時期があり、そのせいで家族が壊れたのではないかと過剰に反応する。

妻と固まりながら見ていました。だれの家族にも起こりうる話という範疇をはるかに超えて、いま、お前の家で起こっていることだろうと突きつけられる。こんなしんどい映画だったのか……ところが後半、意外な方向にストーリーはすすみ、ラストでは観客は呆然とするくらいに感動するしかけ。すばらしい。今年のわたしのベストワンです。

エンドロールでは、四人家族の名前が最初にいっしょに出てくるなど、登場人物への愛が感じられる。製作はなんと竹内力。いい映画だったなあ。

「世界三大珍味ってなんだったかしら。トリュフと、キャビアと……」

「ほら、あれだよ、肝臓をパンパンにさせたやつ。うーん、あ・い・う・え……」

「それって思い出せるの?」

結局はスマホを使って解決。うちの家族も、彼らと同じ思いをいだきながら、今日ものん気です。

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2 コメント

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あるある (sakurai)
2014-11-06 09:48:10
でも見ているような感覚に襲われましたわ。
マイナスは、予告でほぼ見せてしまったことでしたかね。
予告作った配給会社に喝を入れたい。
返信する
わたしはびっくりでした。 (hori109)
2014-11-06 20:13:29
まさかあんなにポジティブな方面に
ストーリーが爆走するとは。
ラスト近くの次男のセリフに泣けない人は
いないと思うなー(笑)
返信する

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