うわあ。さすがだなあ浅田次郎。あまりにもうますぎて現代劇はちょっとしんどい浅田だけれど(このあたりは宮部みゆきといっしょですね)、時代物だとうまさがそのまま感動につながります。
大名ではない旗本の家中で、代々参勤交代をとりしきる御供頭をつとめてきた小野寺家。しかし父親が失火のために亡くなり、経験の浅い、というかまったくない若者がつとめることになる。
現代ならど新人ツアコンがお偉いさんたちの文字どおり大名旅行をやりとげなければならない的なお話。
ピンチになると次々に味方があらわれて若者=一路(いちろ)を助ける展開は一種のファンタジーかなあ、と思わせておいて、しかし物語は次第に別の様相を見せる。
父親の死には事情があり、家中の多くが若者を応援しなければならないようになっているのだ。しかも典型的なバカ殿かと思われた主君が……
時代小説の楽しみとはこういう作品にこそあるんだなあ。
キャラ総立ち。中山道が、人為的な道なのでまっすぐであることが主人公の名前にまで影響している。いやはやうまいっす。表紙はなんとなんと山口晃ぁ!
一路(上) 価格:¥ 1,728(税込) 発売日:2013-02-22 |
一路(下) 価格:¥ 1,728(税込) 発売日:2013-02-22 |