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これが毎週火曜日、毎日新聞に連載されている「毎日かあさん」。そのまんまのタイトル(笑)。朝日新聞の【いしいひさいち+しりあがり寿】の強力タッグに対抗するには、もう歩く核弾頭サイバラを起用するしかあるまい。しかし「ゆんぼくん」や「ぼくんち」などで見せた叙情性を発揮してもらおうとでも思った(のだろう)毎日のもくろみは見事にはずれる。だってこの単行本の帯には、こうあるのだ。
「家庭円満マンガを描いていたら、連載中に離婚してしまいました」
……いやはや。おまけに、北朝鮮ネタでギャグをかましていきなりボツ(単行本には収録)になったせいで彼女は毎日に噛みつき放題だったりもする。だいたい、西原が連載するメディアはことごとく休刊や廃刊になっているんだけど、毎日よ、その覚悟はあるのか。
事務職員部報や「この1冊」、そして情宣を通じて、いちばんお世話になったのはやはりこの破滅型鬼畜系マンガ家。よくぞこんな規格外の人間が生き残っていてくれたとつくづく感謝する。しかしそんな彼女が、戦場カメラマン鴨志田穣と結婚し、子どもを二人もつくった経緯には驚かされっぱなしだったが、やっぱりこんな結果になりましたか。これから、日本で最も過激な母子家庭の日常が描かれると思えば、無責任にうれしくもある。
だいたい、彼女の近頃の仕事は暴走のひとこと。妊娠前だったとはいえ、原発のもんじゅに特攻したり(「できるかな」)、設立した事務所の脱税をめぐる追徴課税の値切りをむき出しに描いたり(「できるかなV3」)、38歳なのにホステスにチャレンジしたり(「〃」)、もう止まらない。こんな彼女とコラボレートできるのは、やはり同様に破滅型である伊集院静や白川道ぐらいだろうと思ったら、逆に謹厳実直人柄温厚(に見える)清水義範とのコンビも笑わせてくれる。彼女と同時代に生きている幸運を喜ぶわたしではあるけれど、しかしサイバラ、いったいどこまで行くんかー。
……そして鴨志田との復縁、死別と、西原の人生の荒波はまだまだ続いている。でもわたしはつくづく思う。彼女の作品は、どうしようもなく読者を勇気づけていると。そりゃもちろん怒濤の人生だからってこともあるけど、それ以上の何かがあるような気がするのだ。がんばれサイバラ。