事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「本棚探偵の回想」 喜国雅彦著 双葉文庫

2008-02-15 | ミステリ

本棚探偵の冒険」はこちら。Kikuni02

多分あなたもこの著者の文庫を一冊は持っているだろう。探さなくても、どんなに遠くからでも、どんな極彩色の本に囲まれていようと、黒い背表紙に緑字のタイトルははっきりとその存在を主張している。(「本棚探偵の冒険」喜国雅彦著より)

喜国と同世代であるわたしは、「うん、確かに」とうなずく。

そう。角川の「横溝正史文庫」(ね、持っているでしょ?)

……ギャグ漫画家である喜国雅彦は、同時にミステリマニアであり、なおかつ古書コレクターでもある。彼をその暗黒に誘ったのは横溝正史。推理小説としての面白さはもちろんだが、彼を耽溺させたのはもうひとつの要因。

【この横溝正史文庫のイラストカバーものを、一冊残らず集めてやる!】

こんな目的のためだ。ほんと、しょーもないことに男は血道をあげてしまう。
 ところがこれが困難をきわめる。角川商法の常として映画化が決定するといきなり表紙は映画のカットになってしまうし、消費税導入と同時に昔のカバーがアッという間に市場から消えたりする。

Kikuni03  そして、最も品薄でめったに見つからないとされていた「シナリオ悪霊島」「人形佐七捕物帖」「横溝正史読本」(おっとこれはわたしが持っていたのに!)を大冒険の果てに見つけ、百二十三種をずらりと並べた頃には、もういっぱしの古書マニア=本棚探偵が完成してしまったというわけだ。

 おかげで今では、神田や神保町に出かけるときには、喜国は必ず十万円を用意して歩くくらいになっているようだし、この世界からはもう抜け出せないのだろう。少なくとも彼を経済的苦境から救出するために、くだらねー!と言わずに彼の著書を買ってあげましょうね。ほーんとにくだらないんだけどさぁ、大好き喜国。

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「本棚探偵の冒険」 喜国雅彦著 双葉文庫

2008-02-15 | ミステリ

Kikuni01  十数年前、電車で山形から酒田に帰るときのことだった。ラッシュも終わり、客はまばら。山形市の大型書店でやっと見つけたあるコミックを袋から取り出し、読み始める。

「ぐ」
「ぐぐぐぐぐ」

わたしの発する声だ。あまりのおかしさに大声をあげて笑いたいのに、状況がそれを許さない。死ぬかと思った。このとき読んでいたのが、ギャグ4コマ漫画の金字塔、喜国(きくに)雅彦の「傷だらけの天使たち」(小学館)だったのである。

 彼の漫画の特徴は、およそギャグ系には似つかわしくないオーソドックスな絵柄と、それに反比例するかのようなお下品きわまりない下ネタギャグの連発。脚フェチ・SM・スカトロ・短小・マザコン……たとえば

Kikuni_s 岡村:俺なあ、高校の卒業アルバム見ながら、一日に一人ずつ順番にズリネタにしてな、来年の春までには全員犯してやろうと思ったんだ。
宮本:スッゲェー!!壮大な夢じゃないかー!
岡村:しかし、三日目までは順調だったんだが、四人目の高崎がダメなんだ。どんなにヤラシイ事考えてもイカないんだー!!
宮本:高崎かー!?ああ、神はどうしてこんなにもイジワルなんだー!!
-病室にて。岡村はやつれ果てている-
岡村の母:三ヶ月も部屋にとじこもって、気づいた時にはもう……
岡村:宮本か……結局ダメだったよ。
宮本:バ、バカヤロー。こ、こんなになるまで……
-数日後、パンツを脱いだ宮本登場-
宮本:見てくれー、イッたぞー!高崎でイッたぞー!!見えるか岡村―!
岡村:お前、変態だよ。(絶命する)

……んまーお下品(笑)。今は小学館漫画文庫で簡単に手に入るのでぜひ読んでね。
ところで、そんな喜国の意外な一面をミステリマニアは知ることになる。以下次号

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