事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

A (’98 日本 森達也監督)

2008-02-07 | 邦画

Araki 1994年の松本サリン事件や1995年の地下鉄サリン事件などで日本中を震撼させたオウム真理教(現・アーレフ)。本作は、あくまでも中立的立場を固持しつつ、教団の広報担当者・荒木浩に密着取材し、「なぜ事件が起きたのか?」ではなく「なぜ事件の後も信者で居続けるのか?」という点を追求していくドキュメンタリーであるが、その中からオウムのみならず、彼らを糾弾するマスコミや現代社会全般に対しても鋭いメスを入れていくという、まさに日本の闇を突いた衝撃的問題作。
   監督の森達也はTVディレクター時代に、オウムを絶対的悪として描くよう強要するプロデューサーと衝突して契約解除され、以後自主製作として本作を完成させた反骨の人物。観ているうちに、今自分が日本人として日本で生活していることまでも改めて考えさせられてしまう意味でも、必見作といえよう。
(的田也寸志)

 オウム真理教のことは、このドキュメンタリーを観てから語ろうと思っていた。「この1冊」の読者には、森は「放送禁止唄」の著者としてすでに一度とりあげているけれど、この評判になった映画を観る機会がいつのことやら……と思ったら酒田でいちばんでかいビデオ屋にちゃんとありました。

 言うまでもなくこのカルト教団は、弁護士一家拉致・殺害、地下鉄サリン事件、えーとあと何だっけ、というぐらい数々の罪を犯してきた。加えて麻原彰晃、上祐史浩といった一種のトリックスターを輩出した(無責任な書き方であることは承知)ことで、計27名の殺害という数字以上に後世に語り継がれていくだろう。それどころか「え?首都の真ん中で毒ガスを宗教者がばらまいた?で5,500人もの被害が?まっさかー!」と信じてもらえないかも。

 しかしあの狂騒のなかで、わたしは「あ、まずいな」と考えていた。オウム憎しで日本中が爆発するなか、まるで信者たちが“殉教者”に見えてきたからだ……(つづく!)

コメント
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