事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

ウラグラ! その4~ビスコ

2007-12-06 | うんちく・小ネタ

Bisco 【ビスコ】
唐:いろいろと日常に軍事関係のものって入りこんでますよね。トレンチコートなんてモロにトレンチ(塹壕)用コートですしね。

神:ビスケットなどというのも、もとをただせば軍用食じゃな。

唐:あ、そうなんですか。

神:もともと、ビスケットのビスというのは二度焼きという意味で、一度火を通した焼き菓子に、もう一度火を通して水分をとばし、持ちがいいようにしたものじゃ。実際に商品としてのビスケットの製造販売を開始したのは明治時代、風月堂の米津松造という人物じゃが、ここのビスケットは日清戦争時、軍事食として大量に日本軍に買い入れられ、今の風月堂の基礎を築いた。

唐:そして、平和時になると砂糖などが加えられて甘いお菓子になり、子ども向けのおやつになったというわけなんですね。

神:いや、完全におやつ化したわけでもないと思うぞ。例えばビスコなどは、子どもの成長に必要な栄養素を含んだ栄養菓子として昭和8年に発売されたが、これも、裏に軍の意を受けた、国民の体位向上をはかる目的があったのではないかと言われておる。

唐:昭和初期どころか、私の子ども時代も体にいいカルシウムなどがたくさん含まれているというので、幼稚園のおやつなんかはいつもビスコでしたよ。あのころ再軍備論がやかましかったけど、まさかそのためじゃなかっただろうな。

神:ビスケットの栄養食料としての欠点は、熱を2度も加えるので、熱に弱い栄養素が飛んでしまうことじゃが、ビスコを発売した江崎グリコは、栄養を含んだ酵母をクリームの中に入れ、ビスケットにはさむことでこの問題を解決したのじゃ。

唐:あ、そうなんですか。私、クリームがダメだったもんで、真ん中にサンドイッチされているクリームは捨てて、ビスケットだけ食べてました。

神:それではなんにもならん。もともと、ビスコのコはコウボのコなんじゃぞ。

070510_21260001 ……ビスコって昭和8年からあったのか!確かにわたしが小学校に入る前からあったけど。死んだ兄と争奪戦を演じた憶えもあるから、かなり好きだったはずだが、こんな歴史があったとはね。そしてビスコは漢字で“美寿菓”と書くので、縁起をかつぐのが好きな中国・台湾では結婚式や新築祝いなどの進物にかかせないものとなったらしい。果たせなかった中国侵略を、軍用食の出自をもつビスコだけは達成したというわけだ。

……裏モノきわまりない醍醐味を、少しは感じてもらえましたか?次回は宗教、オシッコあたりを。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウラグラ! その3~牛乳

2007-12-06 | うんちく・小ネタ

Abe_shinsemia_2 【牛乳と日本人】

神:高度成長期の日本には、抜きがたい牛乳信仰があったのう。

唐:なんでまた、そんなに子どもに牛乳を飲ませたがったんでしょうね。

神:太平洋戦争の敗戦で、日本が未だ西欧、とくにアメリカに及ばぬことを思い知らされ、その反動でアメリカ式生活のシンボルとしての牛乳の地位が上がった。飲まない奴は非国民、みたいなムードはこのあたりから定着したようだな。

唐:日本人の飲乳習慣は、あれはアメリカの占領政策なんですよね。

神:戦争で増産に増産を重ねて、終戦で大量に余った小麦粉と牛乳を日本で消費させようと、パンと牛乳を試食させて、これを普及させようとした。あの頃、くそまずい脱脂粉乳を飲まされ続けて、そのおかげで一生牛乳は飲むまい、と決意した子も多かろうなあ。

唐:そう言えば、小学校のクラスに牛乳がどうしても飲めない女の子がいましたが、担任の女教師がなきわめくその子の顔を押さえつけて牛乳飲ましていましたね。

……脱脂粉乳、あったなあ。わたしは確か小学校中学年あたりまで飲んでいたような気がする。今でもあの味を、瞬時に思い出すことができる。確かに、うまいもんじゃなかった。なきわめくほどではなかったが。たまにココア味の、今で言うミルメークみたいな粉末がついたときは、それはもう嬉しくて嬉しくて。

W_03_250x250_webimage  今でも学校給食のお世話になっているわたしは、おそらく日本の42才(当時)のなかでは有数の牛乳消費野郎だと思う。少なくとも一日一本は飲んでいるわけだから。ウチでも宅配の牛乳をとっていて、朝もはよから中国人のお姉さん(ものすごく背が高い)が瓶入りの牛乳を配達してくれている。子どものときから母親に「ほれ、牛乳きた。“コピッと”飲んでいげ!」としつけられていたし。あ、コピッと飲め、という表現はすべての家庭で使うものだと思っていたら、あれはうちの母親オリジナルだと気づいたときはショックだったなあ。瓶牛乳を飲んだとき、残った牛乳がコピッと音たてるじゃないですか(笑)。あれからきてるらしいんだが。

 おかげで180を超す身長になったと思いこんでいて、子どもにも「大きくなりたかったら牛乳のめ。」と堀家の指導をくり返すわたしも、牛乳信仰から離れられていない。でも給食のない日にわざわざ買ってまで飲もうとまでは思わないのだが、なかには駅のスタンドで「おばちゃん、“白”ちょうだい。」と牛乳をオーダーし(黒はコーヒー牛乳?)、一気のみしていくサラリーマンも多いというから、日本人のなかに、牛乳という存在はもうしっかり確立されているのだろう。乳脂肪分解酵素を、全日本人の95%が持っていないと言うのに。

Milkgoto 画像は、このあたりの事情を文学にまで昇華させた阿部和重の「シンセミア」ぜひ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウラグラ! その2

2007-12-06 | うんちく・小ネタ

Heston2 【体で感じる女性、脳で感じる男性】

唐:男性と女性で、快感に差があるんですか?
神:男女の肉体的な構造を見てみてもわかるが、例えば性感帯の分布も、男性のそれがほとんど性器周辺に集中しているのに比べて、女性はほぼ、全身に広がっている。

唐:乳房、耳たぶ、脇腹、脚の先……なるほど、いずれも男性からすればなんだ、というようなところで感じてますね。

神:もし、セックスの際に女性が感じるのと同量の快感を男性が受けたとすると、その膨大さにオーバーフローしてショック死する、としている研究もあるくらいだからな。

……あ、やっぱりそうだったんだ。昔、本宮ひろ志の「俺の空」(笑)で、女性は男性の8倍の快感を得ている、というセリフに考えこんだ経験があるけれど、あれはホントだったのかなあ。

唐:ゲイやSMといった性的嗜好が西欧に比べ、日本ではあまり一般化していないのは、日本人がA型民族だったからではないか、という説もある。A型男性にとってセックスは日常の一部、つまり衣食住とともにあるもので、マンネリ化したセックスでも飽きることなく、同じパターンでも同じ場所でも十分に楽しむことができるとか。ここらへん、アメリカのように、どんなに愛し合った女性とでも、平均で80回セックスをすると飽きが来る、という統計が出ている国の国民とは全く違うようだ。

Planetoftheapes ……わーははは。そんなはずあるか。かなりトンデモが入っているぞ。でも、ネタとしては最高だ。

唐:日本人は今、世界で最もセックスレスな国民になっているという。その現れが、バイアグラの消費量で、日本は先進国中最低。発売元の製薬会社は大儲けのアテがはずれてガックリしているとか。

……あの薬の消費量だけでセックスレスと決めつけるのは乱暴というものだろうが、世界一薬漬けな国民が、バイアグラにだけは手を出さない背景には、いったい何があるのだろう。少子化の証左?必要がないくらいビンビン?

【中年以降の精力保持】
唐:そもそも、男のアレに、本当に打ち止めってあるんですか?最後の一発がオナニーだった、なんてことになると、ややアワレですが……

神:いや、むしろ、若いうちにたくさん放出しておいた方が、性機能は長持ちするというのが現在の医学的見解じゃな。(略)オトコは42歳を過ぎると、睾丸が一年々々縮んでいくそうじゃ。ただでさえ精力が弱るわけじゃから、何かそこに刺激がないと、本当に立たなくなってしまうことになる。

……うーん、ここはうかつにコメントできないな。

唐:実は人間、中高年になったからといって、そう精力が衰える生物ではないという。やはり、考え方の問題らしい。若い頃の、セックスできればどうなってもいいや、というヤミクモさがなくなり、先のことを考えてしまうため、つい引っ込み思案になってしまうのである。

この本、別にセックスがらみのネタだけが載っているわけではもちろんない。カルトといえば、やはり映画関係。

【猿の惑星】
Planetoftheapes35dvd 唐:しかし、旧作を見直しても、猿のメイクがセンセーショナルなほどよく出来ていたことはわかりますが、シリーズ化されるほどヒットするようなもんでもないと思うんですがねえ。

神:あれはキリスト教文化、白人優位主義文化、そして進化論文化の社会で、そういう世界基準をもっている人間にとっては大ショックの映画なんじゃ。まあ、裏者的知識のある読者には説明の必要もないと思うが、原作の小説を書いたピエール・ブールが戦時中、日本軍の捕虜になった経験から書かれた作品じゃ。彼らにとり、白人たちの軍隊がアジア人に破れて捕虜になるという体験は、天地がひっくり返ったような衝撃だったろう。ネコがネズミに齧られたようなものじゃ。

……あ。確かに意表をつかれた。猿=日本人というベタベタな比喩だったのか。おっと引用はスペースをくう。次号に続く!くれぐれも話半分にきいておいてねこのネタは。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ウラグラ!」~ベスト・オブ・裏モノの神様~

2007-12-06 | うんちく・小ネタ

Uragura 唐沢俊一著 アスペクト刊

 著者の唐沢俊一は1958年生まれ。一番有名な活動はトンデモ本を糾弾するト学会の一員であることだろうか。弟は版画マンガ(笑)等で知られる唐沢なおき。奥さんはこの本でもイラストを載せているソルボンヌK子である。私の好奇心の方向と似た関係のカルト評論家であるため、んもーどんな場面でもこの男の影がちらつくと言ってもいいくらいだ。弟が描いた似顔絵はもう記号に近くなっているため、ひょっとしたら見たことのある人もいるかもしれない。ウラモノをとりあげる彼のホームページも爆笑なのでお好きな方はどうぞ。

Tonndemo  ト学会に関しては、エセ科学本(UFO、ノストラダムスetc.)をせせら笑ううちに、むしろト学会側の方がトンデモ本に近くなってしまう傾向があるのだけれど、いくらなんでも我田引水が過ぎやしないかと思っていた竹内久美子の利己的遺伝子関係(人間はわがままな遺伝子ののりものに過ぎない)を一刀両断してくれて、わたしの一時の遺伝子狂いを沈静化させてくれた恩義もある。そっちもお試しを。ま、利己的遺伝子論自体は至極まっとうな考え方だったのだけれど。

 「ウラグラ!」は、唐沢のアンテナのおもむくままに、【裏的】な事物をとりあげた週刊アスキーの連載をまとめたもの。唐沢と神様の対話、という形をとっている。あ、わたしの知り合いにはパソコン狂いが高じて息子に“あすき”と名づけたトンデモ野郎もいるが、このことを知ったら唐沢は狂喜しただろう。とにかく世の中のすべてに突っ込みたがる人だから。

Karasawa  では次回からその一部をご紹介。最初は“裏”といえばやはりこれ……

※2007年現在、唐沢はもちろん「トリビア」の大ヒットでいっきにメジャーになった。それが幸せなことなのかはまた別の話だろうが。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする