逆に言うと、声に出して読まないほうがいい大阪弁。
正月休み、チチの書庫で発見した黒川博行の最新作「暗礁」。
面白いんだ、コレが。
シリーズ前作の「国境」も、やっぱりチチの書庫からかっぱらって読んだのだが、これでハマった。
昔、一度だけチャンドラーを読みふけったことがあったが、ケンカするくらいなら回り道タイプのヒイラギ、2,3冊で飽きた。
――なんだ、日本のハードボイルドにも、面白いのがあったんじゃん。
そう思えたのは、大阪人が書いてる大阪弁だったからだろう。
ヒイラギ釘づけの登場人物は「ヤ」の付く自由業のおっさん“桑原”。
このおっさんのセリフが徹頭徹尾、笑っちゃうまでに無茶苦茶。
その無茶苦茶かげんが、自由業的大阪弁で書かれているから、たまらなく面白い。
でも、きっと。
この面白さは、関西人が読むのでなければ分からんだろーなー。
文庫本にしては分厚いうえに上下2冊に分かれている大作だが、
通勤電車で座れようものなら、1駅や2駅は乗り過ごしてでも読みふけってしまう。
時々ぷっ、と吹き出しては、周りの乗客に不審がられることも請け合い。
ただし、注意点が1つ。
決して声に出して“桑原”のセリフを読まないこと。
それこそ、
「何ぬかしとんじゃ、われ」
とインネンつけられて、無傷で家には帰れませんぞ。
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