4年前の今ごろはヴェルディの『ナブッコ』を歌っていた。
本番の指揮にはイタリアからマエストロが来日するというので、
素晴らしく豪華な顔ぶれの指導陣にがっちり半年間教わることができた。
マエストロがみんなの前でア・カペラで歌ってくれた「Va, pensiero」は、
きっと一生忘れない。
そのときの合唱指導の先生が、助っ人で合唱指導に来てくれた!
“大学受験で浪人中”って風情の青年指揮者さんなのだけど、
実にロジカルで淡々としながら、ちょっとシニカル。
「似てるけどちょっと違うな」とか、
「なんかウソツキがいっぱいいますね」とか、
ずり落ちてきたメガネを人差し指で押し上げながら、
眉毛ひとつピクリともさせないで、しらっと言っちゃう。
この独特の物言いが決してイヤミには聞こえなくて、
くすっ、くすくすくす、と笑えてしかたがない。
あぁ、久しぶりの、この感じ。
お懐かしゅうございます。
そんなに広くない世界だと聞くけれど、
色んな指揮者さんがいるなぁ。
だからオペラは、おもしろい~。
※補足
Verdiのオペラ『ナブッコ』って、本当の原題は『NABUCODONOSOR』ていうのね。
人名としての「ナブッコ」は「Nabucco」なんだけどね。
『ナブコドノソール』って言われても分かんないから、“通称”にしときました。
親しい人にがんが見つかったと、数日前に聞かされた。
ごく早期で転移の可能性なし、完治可能という話なので、
そのときは、いたって冷静に聞いていた。
それはそれとして受け止めていても、
色々と考えさせられることはあったりして、
思いがけず、心ここにあらずの何日かを過ごしてしまった。
論文に集中できずにたびたび気を散らせていたり。
いつもなら抜かりなくやっているハズの手配を忘れていたり。
メールの送り先を間違えてたり。
今日こそ頭を切りかえねば、と張り切っていたのに、この天気。
招待されていたシンポジウムをドタキャンして、
ゼミまでの数時間、研究室にこもることにした。
(とか言いながら、こんな原稿書いているが)
自分で自分を叱咤激励するしかない。
こうゆうところは、個人プレーのときのつらさかなぁ。