山裾の斜面で,奇妙なすがたをした葉を見かけました。遠くから見ると真っ赤。近寄ると,茎先に花でも付けているようなすがたの木。といっても,高さが30cmほどのサクラで,赤色部分は葉が萎縮した虫こぶであることは一目瞭然。
帰ってサクラの葉にできる虫こぶを調べたら,サクラコブアブラムシと判明しました。
そのときは,とりあえず虫こぶを割って中を調べました。すると,アブラムシがたくさんいました。「こりゃ,なんじゃ」と思ったほどです。
さらによく見ると,透明感のある幼虫がいました。体長は5mm。パッと思い出したのが,ヒラタアブの幼虫です。この幼虫,アブラムシを餌にしてここで成長しているのかもしれません。いったい何という昆虫なのでしょう。
その幼虫のことが気になってきて,くわしく写真を撮っておくことにしました。
歩く速さは意外に速いので,びっくり。
頭は,先が細くなっている側です。
虫こぶの中にも,どうやら「食べる」「食べられる」食物連鎖が存在しているようです。
このサクラコブアブラムシの生活史にはたいへん興味深いものがあります。越冬態は卵,6月に生まれた有翅虫が二次寄生宿主“ヨモギ”に移って,吸汁生活を送り,秋になって再びここに戻ってくるといいます。
ふしぎな生態です。黙々とヤマザクラとヨモギを往復するとは!