ジャコウアゲハの産卵場所は幼虫の食草ウマノスズクサです。ところが,竹や植木鉢,レモンの葉など,そのほかのたくさんのものにも産卵している例があります。このことはすでに書いています。
食草以外に産卵するのは,じつはまったくの偶然に過ぎません。産卵姿勢に不都合が生じたか,まちがった感知によるか,です。事実,わざわざ竹林を訪れて産卵するとか,植木鉢を置いているところに産卵するとか,あるいはレモンの木に盛んに産卵するとか,そんなことはないわけです。
ウマノスズクサの株があるすぐ脇にあるものに,たまたま産み付ける偶発的な事態が生じただけの話です。
この解釈の妥当性を示す例がまたひとつ見つかりました。この例とは,カタバミの葉の裏側に産卵しているというものです。
ウマノスズクサを植えた植木鉢にカタバミが生えてきているので,除草していると,偶然これが見つかったのです。ウマノスズクサの根元にあるために,産卵孔がこの葉に触れて,産卵が促されたのでしょう。
こういう例に出会うと,観察の注意深さがいよいよ必要だなと思えてきます。