どーも、プーカプカです。
ところでウチは浸水被害に遭って引っ越した経験があるのですが…
お役に立つなら、こんなもんが必要とならない事が一番ですが、床上浸水のことを書いておこうと思います。
当日のうちに住替えを決断したので、2~3か月住むためだけの処理にとどめたから、あまり参考にならないかもしれませんが…
被災したという事実を目の当たりにして数時間は、おそらくきっと
茫然
それとも
呆然
どっちの漢字が適切なのか
そんな状態から抜け出せないと存じます。そんな時、やることが分かっていれば、ココロは後から付いてくる!
とりあえず被災処理ロボットと化して、動き始めるのです。自分のためにも。
床上浸水したら、まず、写真を撮りまくる。
家の中も、出来れば外も。
水が引いたら、外壁で水位がどこまであったか分かる場所を選んで、地面から定規やメジャーを当てて写真を撮る。
保険の請求や被災認定に使うこともあるし、日常生活に戻った後には心配してお見舞いを持ってきてくださった方に見せると盛り上がります。
他にも遠く離れて住んでいて危機感の無い次男あたりに見せると、ビックリして力を貸してくれるかも。
スケッチブックとマジックを一家に一冊
「あれ買ってこなくちゃ!」とか
「あすこに電話して手配しなくちゃ!」とかを
作業している各人がバラバラに思いついたり、同時進行で手配する事柄が多すぎるので、全員が書き込む大きなスケッチブックを一冊用意して、そこに書き込む。
事が完遂されたら、書きこんだ部分をガーっと消す。
メモ用紙だと、書いた紙がどっかへいったり、手配が終わったのか分からなくなったりします。
百円ショップやホームセンターでクロックスもどきを買う。
家の中を靴で生活するのは中々大変です。
我が家の場合は300円ショップで家族の人数分、クロックスもどきサンダルを買い、後に、業者や来客用にホームセンターで買い足しました。
業者は、保険会社派遣の人や(被害を見積もりする)、畳の処分を依頼した時の下見やら、結構出入りすることになります。
クロックスもどきサンダルは、サッと着脱できるし、次に書く最初の三日間の水との格闘でも支障が無いし、安価で、色もたくさんあるので用途別に決めて使うことが容易です。
百円ショップやホームセンターで透明書類ケースを複数買う。
色んな方面に手続だらけになります。
我が家は10個買って、足りなくて、三か月後くらいからバインダー方式に変更しましたが(そうです、延々と書類仕事が発生します!)
案件ごと、人間毎(高齢者であれば福祉方面の手続きも増える)
書類が散乱しないように、必ずケースに分けて戻すようにしました。
水が引いたら水洗い
水が引いてから最初の3日間が勝負だそうです。
あらゆるものを水洗いします。
一度洗っても、乾くと再び土を噴いてきたりするので、そうしたらまた洗う。 床より上の物を洗ったら、床そのものを洗い、畳があれば家の外に出して、床板を洗い、床板を剥がして家の基礎部分を洗います。
基礎部分は必ず洗います。
水が残っている場合が多いので、「電動ポンプで排水&高圧洗浄ホースで水洗い」が望ましいけど、近隣一帯が皆同じように浸水していると、役所で借りられないかもしれません。
手作業でも頑張りましょう!
なお、この時の水道代は莫大なものになります。
自治体によって、浸水直後の水道代は減免するところ、全く考慮しないところ(我が家だ…涙…)
対応は色々ですが、洗わなければ家そのものの寿命がすぐに尽きる事になるので、水道代のことを考えている場合ではありません。
完全に洗い流したら、今度は完全に乾かします。
停電していなければ、床に扇風機を降ろしてでも乾かします!
ここでどれだけ乾かしたかで、今後の家の寿命が決まります。
消毒
家の基礎が乾いたら、消毒剤を巻きます。
普通、役所が配布してくれます。
自分で取りに行く必要があるとは思いますが、無料で配られるので貰いましょう。
ちなみに、我が家は惨状を認識した瞬間に住み替えを決意したので、今書いたことの中では
「運び出しが必要なサイズの家具の水洗い」
「床板を剥がして基礎を洗い流す」
は省略しました。
住み替えまでの2か月ほどを無事に住むために、床下収納庫をごっそり外して、そこから基礎部分にむかって高圧洗浄ホースで水を撒き、消毒薬を入れました。
とりあえずの生活
いつまでも靴の生活は疲れるので、畳を棄てた部屋に、ホームセンターで売っている組み合わせマットを敷き詰めました。
被災時、97歳の祖母が同居していたので、祖母のベッドからキッチン、トイレへの導線全部に敷き詰めました。
ジグソーパズルみたいになっている、風呂場の滑り止めマットみたいな素材のやつです。
水に浸かった街は、乾いてから暫くも衛生状態が心配なので、食事の際の手洗いや、食品の加熱には注意しました。
浸水後、修理するにしろ住み替えるにしろ、決心するのには時間が必要でしょう。
色んな情報が入ってきますし、余計な口を挟む人も出てきます(特に近親者)。
一緒に住んでいた家族、自分が頼ると決めた人との間で、愛を確かめ合いましょう(笑)
ホントーに雑音が色々と入ってくるので、大事な事は「当事者」だけで日々確認し合いましょう。
他人や専門家に相談するのは、その後です。流されてはいけません。
支援(保険)
風水害への支援、というのは実は緩慢です。
保険の話でいうと、火災保険の分類になり、「火災保険にくっついてた普通の保険」と「浸水を想定してかけていた保険」に分かれるようです。
我が家は損害保険会社勤務の家族が居たので、浸水を想定した保険でした。
その場合は、保険会社から家全体の損害を査定する係員が来て、それとは別に我が家でリストアップした「浸水して使えない家財道具とその値段」を提出しました。
しっかり掛けていた保険なので、引っ越し代金と新居の家財道具がギリギリ賄える額が出ました。
それでも被害額から考えたら全然って感じです。
普通のご家庭では「火災保険にくっついていた水災補償」程度だと聞くので、その場合は床上浸水したセンチ数によって、事務的に保険金が出るそうです(当時)。
ご近所でそのタイプの保険だった方と、我が家では、保険から出たお金に10倍ほどの差がありました。
ただ、長年の掛け金の事を思うと、どっちが得か…とは言えませんね。
どっちのタイプの保険にしろ、実際の被害に対して焼け石に水程度で、そして受け取るまでに時間がかかる、というのが現実でした。
支援(行政)
保険以外に、行政の支援があると思います。
まず、おそらくはゴミ捨てについては1~2か月は無料で大規模に行われるようです(我が家の時に全国の事例をネットで調べまくりました)。
この際、思い切って捨てましょう。
無料期間を過ぎて自分で捨てるとなると、全て「お金お金お金」の世界になってしまいます。
被災者の数によって、国からの復興支援が決まります。
このシステムが不可解で不快なんですが…
一定数の被災者が居ると、国が「支援適用だ!」と宣言します。
この「一定数」って、自治体の人口比でやるみたいなんです。
我が家の場合は、近隣4~5市でゲリラ豪雨被害があったけれど、適用された市は3市です。
適用が無かった市には、赤十字が支援金を用意したと聞きました。
このように書くと、我が家が国から支援して頂いた…ように思えますが、実はそうではありません。
国の支援には規定があって、それが大層厳しいもので、数千戸が対象になったその時に被災家屋で、適用された家は1軒も無かったのです!
築50年の木造家屋が床上浸水したら、せめて一部損壊とかだと思うのですが、また、国も「水災の適用は柔軟に考えるように」という指針を出したこともあるのですが、ともかく我が家の時は1戸たりとも適用されなかったのです。
そうなると、お住まいの自治体が頼りになると思います。
自身が被災してからネットで調べて初めて理解したのですが、自治体の支援はバラバラです。
支援そのものが無い自治体も多くあります。
そうかと思えば、国の基準に達しない被災でも、こまかく支援してくれる(引っ越し代想定の支援金等)自治体もあります。
まさか引っ越す時に「水災に遭った時にどう助けてくれるか」で住所を決めたりしませんよね…
ともかく、自治体からの支援は「殆ど無い」という前提で動いた方がよさそうです。
ちなみに我が家では
・市からのお見舞金(床上浸水)2万円
・その見舞金申請に添付しろと云われて取った住民票代金に対し、被災者から怒りの声が寄せられて、住民票代金は還付となりました。
・先に書いた水道代は、水道局に一か月の猶予で正式見解を求め抗議してみましたが、減免は全くなく、翌月に5万円ほど支払いました…
・高齢者3人に対し、後期高齢者の祖母の医療費の減免や介護保険利用料の減免、後期高齢者ではない両親が未だ支払続けている社会保険料とか税金の一部減免は期限を切ってありました。
しかし既にリタイヤした年寄りばかりなので、そもそも減免を喜ぶほど支払っていない、という現実があり、メリットは殆どありませんでした。
このように、金銭面の支援って殆ど当てになりません。
そして復旧作業は実はご近所がライバルになったりもします。
業者の数は限られているので、のほほんとしていたら、色んな事が2~3か月待ちになったります。
ご近所にアンテナを張って、ちょっとでも感じの良い仕事ぶりの業者をみつけたら、アタック!というのも有りだと思います。
我が家は住み替えを即決したので、普通は工務店がやってくれる仕事を工務店に頼めず、困ってしまって「便利屋さん」という職業の方を初めてお願いしました。
すると、これがとても良くって、同じような事情で困っていた高齢のご近所さん達もその業者を頼りました。
まず間違いなく工務店は取り合いです。
実際に工事しなくても、被害見積もりを保険会社へ出す場合にも必要なので(しかも複数必要だったりする)、近隣と情報交換しながらも上手に立ち回る必要がありました。
あ~なんだか腹黒い話になってきましたが(笑)
家の中も外も皆(水災って地域丸ごとになりがちなので)気が立っているので、大きく深呼吸して、大きな心の人間のふりをし「命はあったんだから!」と無理矢理思い込んで、ストレスを軽減しましょう。
そう、命は取られなかったんです。それが重要です。
何もかも後始末が終わるまでの間に、おそらく1度は、関係者誰もかもが、おかしくなると思います。
読んでおく価値はあると思う
「災害時のこころのケア」 (日本赤十字社)
風水害が被災者の心身の健康にもたらす影響に関する研究(兵庫県こころのケアセンター ) (※人命にかかわるような大規模災害の場合)
サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き(兵庫県こころのケアセンター )
多分ね、一度くらいはおかしくなるのが正常だと思いましたよ。
あれ以来ずっとおかしいままなんですけどね。
長々書き連ねましたけど、要は、「水災は自力で復活しろ」というスタンスの国で生活しているってことなのです。
自分はそれを知らずに、すごい期待を抱いて被災生活をスタートさせちゃったので、がっかり感の凄いことったら、ほんまもう、落ち込みまくりだったので。
最初からそういうルールを知って世の中に出て行っていたならば、と思い、無駄かと思いつつも書いてみました。
ご参考までに、一般的な(住み続ける前提での)浸水後の処理のリンクを。
●床上浸水被害時の家屋や家財の消毒は。
●床上浸水対策
●リフォーム屋の提言
●大量に床上浸水した場合の処理例
●床上浸水7年後の床下[炭]
●床下浸水後の対処について [床下浸水後の対処]
●床上浸水に床下浸水…水害で火災保険は支払われる?
●集中豪雨で家屋が床上浸水や竜巻の被害に遭われた方はまずは写真を撮りましょう
●水害の際の感染症対策マニュアル資料編
●床上浸水後の片付けに必要なものは?
●床上浸水したとき、どうすれば?
●家が浸水した場合にしなければならないこと
●災害時のための覚え書き
●床上浸水体験記(1)-処分したもの、大丈夫だったもの