どーも、プーカプカです。
インフルエンザ疑い?で早退して、芸能人の血糖値を24時間モニターするという番組の録画を観ました。
非常に気になった出演者のことを書きます。
気になった人は、クロちゃんと仰る芸人さん(合ってます?)に意見した医師のほうです。
酷いHbA1cを叩きだしたクロちゃん本人ではなく
クロちゃんは、一度、同じ番組で血糖値が良くない事を医師団から指摘され、説教を受け、改善を要求されていたようです。
その時と同じ医師が、クロちゃんの生活密着VTRと、検査数値を見て、怒り、涙をこらえ、絶句し、気を取り直して再び責め、断罪しました。
ハイ、あうとー
フォローに入った別の医師が、クロちゃんが血糖値と真剣に向き合えなかった原因は、高血糖の状態が痛くもかゆくもない為だから、と解説してましたが、糖尿病を診る、指導する医療者は、他の病気とは少し違うと存じます。
病気が見えない、感じられない期間が長く、自覚した時には手遅れのところまで到達しているケースが多い。
この、見えない、感じられないでいる患者に、その事を認識させ、自ら取り組む気持ちになって貰わないと、医療者や同居家族がナニをどう頑張っても、火山に放水し続けるようなモンだと存じます。
誰かと対決する時に、怒り、涙をこらえ、絶句し、責め、断罪しても、何の結果も得られません。
番組内で、それを全部やってしまった医師は、一般内科医でしょうか。
そういう仕事の仕方をなさっていたのでは、早晩、摩耗し疲弊していかれるのではないかと心配になりました。
皆さんは、寺田寅彦という人をご存知でしょうか。
自分は、恥ずかしながら寺田寅彦っていったら文学だか随筆だかの、文化人だと思っていました。
文学者であることは間違いないのですが、それよりも、日本で初めて地震・津波・気象などがもたらす自然災害について研究を開始した、明治大正期の物理学者だったのですね。
関東大震災を経験した彼は、地球科学の専門家として防災の啓もう活動に邁進します。
「天災は忘れたころにやってくる」という警句は、実は彼の文章だそうです。
そんな彼が、昭和十年、中央公論誌上で吐露したことは…
(以下、寺田氏原稿引用)
「災難の原因を徹底的に調べて
その真相を明らかにして、
それを一般に知らせさえすれば、
それでその災難はこの世に跡を絶つ
というような考えは、
本当の世の中を知らない
人間の机上の空想に過ぎない」
(引用終わり)
地球科学者の鎌田浩毅氏は、著作の中で、寺田寅彦の苦悩を引き合いに出しながら、こう書いています。
(以下、「生き抜くための地震学」から引用)
非常事態が起きているにもかかわらず、自分だけは大丈夫、あるいは、まさか自分に被害が及んでしまうことはない、と思うことです。
(中略)
実は、このことは人間にとっては正常な感覚なのです。
「偏見」と言ってしまえば悪いイメージですが、過剰な心配から平常な感覚にもどす認知メカニズムの働きでもあります。
日々の出来事になんでもびくびくするわけにはいかないからです。
(中略)
たとえば、心の負担がある場合に、そのことだけを考えつづけていると、精神は耐えきれなくなってしまいます。
(中略)
人間の心がもつ大切なメカニズムですが、災害などの緊急時に働いてしまうと、大切な命を落とすことになりかねません。
というのは、危機を認識するためのスイッチを、自分から切ってしまうからです。
(引用終わり)
自分は番組を観ていて、クロちゃんは患者としては、ごく普通であり、正常な反応であり、これから先、いくらでも行動変容していける、という感じがしましたが、クロちゃんのVTRと、検査数値を見て、怒り、涙をこらえ、絶句し、気を取り直して再び責め、断罪した医師のほうは、ちょっとヤバいんちゃうかと存じます。
仕事に潰れてってしまうヒト独特のサインが色々出てる←ナニサマ
ココロに残っている一冊があります。
患者が医療者に翻弄されるように、また、医師も患者に翻弄される。
著者は、既に葛藤を乗り越えた、一個の人間としても立派な医師なのですが、多くの医師はそうではないし、誰もが最初は人間としても未熟、医療者としても未熟。
中には、最後まで人間として未熟のままの医師も多いわけで。
モチロン、患者も人間として完成されている訳ではないから、両方の事情と背景がぶつかりあって、治療の現場はてんやわんやです。
著者はしごく真面目に書いた本だと思いますが(大変よい本です)、オモロいです。
腑に落ちるというのか、「糖尿あるある」みたいな
しかしまぁ、我々はクロちゃんの立場の人間ですから、医療者からこういう風に取り扱われるんだ、という過去記事を、ご参考まで。
自分にとっては、まだまだ揺れ動いていた時期の、懐かしい「考え方」です
もう、そんな殊勝な気持ち、あらへんけどな