古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

『アファナーシエフ・ロシア民話集』を持っています。

2014年03月07日 04時13分07秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
 中学から高校にかけてぼくが読みふけった本に『アファナーシエフ・ロシア民話集』があります。辞書のように分厚くて重い本でした。なぜそんな本が我が家にあったのかわかりません。表紙は千切れてなくなっていました。まだテレビ放送のない時代でしたし、好奇心旺盛な年頃でしたから、学校から帰ると繰り返し繰り返し読んだものです。
 いつの間にかその本は消えてしまいましたが、後年復刻版を古本屋さんで見つけました。うれしかった。いまも手元に置いています。
 元の刊行は大正13年で、訳者は中村白葉と米川正夫でした。
 復刻版のほうは5分冊になっており、昭和52年に現代思潮社から出版されています。いまもページを開くと「日本昔話」とはまったくちがう世界が広がり、トイレ本棚に置いてときどき読んでいます。なんというか、スケールがちがうというか、人間観がちがうというか、道徳観がちがうというか、この本だけの持つ世界があって、いまでも異世界へワープします。
 短い話を一つ引用してみます。なお戦前の本をそのまま復刻しているので旧かなづかい・旧字体です。


                 狐と蟹

 狐と蟹とが話合ってゐます。狐が言ひました。
『どうだ。駈けっこをしようか?』
『うん、やらう。一、二、三』
 走り出しました。
 狐が駈け出すや、蟹は狐の尾に噛りつきました。狐は決勝點まで走り着きましたが、蟹はまだ離れません。狐は蟹が何處にゐるかと思って、後ろを向いて自分の尾を見ました。蟹はやっと狐から離れて言ひました。
『なに、俺はもう先刻からここで君を待って居たんだよ』
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