古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

〈四国遍路〉の本

2024年10月04日 20時44分33秒 | 古希からの田舎暮らし
 ぼくは40歳の頃から、〈四国遍路〉の本を図書館の本棚で見ると、借りることにしています。いままでかなりの本を読みました。このたびは、岩波新書の『四国遍路』辰濃和男・著 2001年刊 を借りて読みかけました。著者は朝日新聞の天声人語を担当した人ですから文章も内容もあって、〈読みごたえ〉はあります。しかし30ページほど読んでやめました。いい本ですけど、今のぼくには、ゴチャゴチャ〈思い〉を書き連ねるのを読むのが面倒になりました。出版して一ヵ月で版を重ねていますからよく読まれているのでしょう。
 ぼくは一冊だけ四国遍路の本を持っています。その「四国遍路」の本をいま読みはじめました。その本は、『私のお遍路日記』(歩いて回る四国88ヵ所)佐藤光代・著西日本出版社 2005年刊 です。この本は、何度も読み返えした本です。若い女性が一人で、歩き遍路をなしとげます。悲愴ぶったり、力みすぎたりしないで、素直にはじめての四国遍路をやりとげる。
 お寺の歴史がどうとか、途中の景色がどうとか、何の目的で歩いているか、など面倒な思考は一切ありません。毎日のお遍路の様子を書いているだけです。それを読むのが気持ちいい。一言でいうなら「さわやかです」。
 彼女は本の〈あとがき〉に書いています。引用します。


 お遍路に行ってよかった。旅で想像を越える険しい道を歩き、限界を越える距離を歩いたことで、自信が持てた。こんな自分にもできることがある。自分の足下に分厚い土台(10センチくらいだけど ……)が、できたような感覚がある。何かをつかんで帰りたいと思った私は、そんな自信を得たのかもしれない。   (中略)   すっかり普通の生活に戻って、毎日幸せに過ごしている。


 足下に分厚い土台ができた。(10センチくらいだけど)  と書いてあります。ここを読むとうれしくなる。この書き方が気に入ってます。ぼくは退職して、父が亡くなったとき、道子さんと車で四国遍路をしました。そして、「いつか〈歩き遍路〉をしたい」と心のどこかにずっと思って生きていました。87歳になってもう無理ですが、いままた佐藤さんの本を読み返して、遍路に行った気分になりたいと思います。
 
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