hiroshi hara: saxophoniste

日々の思考の断片

暗譜で

2008-02-27 22:19:36 | 尚美
今日も尚美の実技試験。
まずオーボエを二人聴いた後サックスの一、二年生を聴いた。

尚美の楽曲試験は暗譜で演奏しなければならない。
上手く演奏できた学生はよいが、些細なことで暗譜が飛んでしまい、凍りつく場面が幾度となくあった。

サックスの曲は和声の複雑なものばかりなので、予測が難しい。
様々な状況に応じてしっかり準備しておかなければ、何かのはずみで真っ白になってしまうこともあるだろう。

私は昔、暗譜することに意味を見出せないでいたが、2001年秋、ミュンヘンのコンクールで予選落ちして、その時から自分を戒めるために、今後の本番はなるべく暗譜して臨むことにした。

その年のフェスティバル内で演奏したダール、翌年は吹奏楽との共演、函館でのリサイタルと、すべて暗譜した。
特に函館でのリサイタルは、以前なら何気なく演奏していたラグタイムやピアソラのタンゴエチュードが暗譜しづらく、これまで何でもないと感じていた曲にずいぶん苦しめられることとなった。
逆にメインプログラムだったシューマンの三つのロマンス、ブラームスのクラリネットソナタ第二番、アンコールのクララ・シューマンの作品では、大曲にもかかわらず、調性や和声、形式がはっきりしているため、暗譜する作業はさほど難しくはなかった。

話を戻し、暗譜には当然それ相応の準備が必要になってくるわけだが、暗譜した上で本番に臨むことによって、これまでとはまた違った風景が見えてくるということに気づいた。
まさに獅子搏兎だ。

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