hiroshi hara: saxophoniste

日々の思考の断片

オクターヴキー

2006-10-02 18:39:52 | sax関係
月曜日は尚美レッスン。
ここは私の母校で、今年度から教えに行っており、1年生三人とアカデミーの1年生(3年生にあたる)を一人、計四人与っている。
ブログに書き出してみるとレッスンばかりだが、先月は本番ばかりだったので、こんなものなのだろうか。

以前から学生をレッスンしていて気になることがある。
それはオクターヴ上のソ、ソ#、ラの音がきれいに出ないということ。
よく掲示板でも質問を受けるが、これは楽器の構造の問題なのだ。

ソ#からラに移るときに第一オクターヴキーから第二オクターヴキーに自動的に切り替わる。
その境い目である音域にサックスの不具合が出てしまうのだ。

セルマーではハーモニクスキー付きの楽器を受注生産しているが、この音域にハーモニクスキーを使用すると問題なくきれいな音が出る。
しかしこれはあらゆる楽器に付いているわけではないので解決にはならない。
やはり奏者が柔軟にその不具合を緩和するしかないのだ。

そこで更に疑問が浮上した。
オクターヴキーを2つにしたということには納得できるが、この切り替えをなぜオートマチックにしてしまったのか。
デリケートなソ#など、人によっては第二オクターヴキーで吹いた方がきれいに出るのではないか。
マニュアル操作にすれば、両方開けるなどの荒技もできるだろうし、この音域に対してもっと自由な操作をさせて欲しいと思うのだ。

もう一つはソ#の連結メカニズムがあげられる。
ソ#の連結もマニュアル操作にすれば、デニソフの二楽章のソとソ#の間の微分音は容易に出せる。
他の木管楽器と比較しても、こんなにオートマチックなのはサックスだけなのだ。

とはいえ、サックスのレパートリーはこのオートマチックな操作性の上に成り立ってしまった。
イベールのアニマートモルトの冒頭部分など、ソ#の連結無しでは演奏できない。
他の作品にしても、サックスの機能的な部分を前面に出した作品は多く、今さらすべてマニュアル操作にシフトできないのが現実だ。
私を含めサックス吹きは、このオートマチックな操作性にすっかり依存してしまっているのではないか。


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