虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

ツバメ⑭ 飛ぶのが怖い

2014-07-26 | ツバメ
まだ巣立っていない。

親ツバメ、子にえさを運ぶのも大変だけど、大きくなって、飛び立たせるのが最後の難事業。目の前で飛んで見せ、そばによりそって、励まし、せかし、しかり・・・。

子ツバメといえば、下をしきりに見て、怖がっている。巣のふちに足をかけ、今にも飛び立とうとするかと思えば、やーめた、と巣の中にもぐりこんでふて寝することもある。ツバメの親の忍耐強さには驚くばかりだ。親と子は互いにギーギー言い合っている。

「なにしてんの、早く飛びなさい」「いやだ、ぼく、こわいもん」「あんた、いくつになっていると思っているの、いいかげんしなさい」「ぼく、ここがいいもん」「あんたのお友達はみんな、巣立っているわよ、あなただけよ」「だって、飛び方、わからないもの」
「ほら、こうするのよ、ちゃんと見なさい」「見たくない」「もう知らないわよ、お母さん、いっちゃうよ」「ママー、おなかすいた、ごはんをもってきてー」「食べることだけね。体だけは一人前なのに、まったく恥ずかしいわ」「ほら、おじさんたちも来てくれたわ、みんな、待っているのよ」「うるさいなあ、ほっといてくれ、ぜったい、とんでやらない」